70万PV記念〜独断で選ぶユーミン・アルバムベストテン

 お陰様で7/19未明に70万ページビューを達成しました。
 ここのところ平均すると約半年で10万ビューのペースでして、アクセスが一日数件だった開設当初を振り返ると、このブログも成長したものだなと感じています。みなさま本当にありがとうございます。
 さて、70万回閲覧記念企画をどうしようか、考えていたのですが、、、40周年&紫綬褒章叙勲記念、ユーミンにしました!
 とはいえ、独特の厳しい審美眼に加えて彼女の音楽に対しての格別な愛情をお持ちのユーミンファンも多いなか、私なんぞが勝手にランク付けしていいものかと腰が引ける部分もあるのですが、タイトルに「独断」という冠をつけることで、あくまでもhiroc-fontana個人の趣味ですから!と宣言してごまかしちゃおうかと(笑)。コアなファンの方、怒らないでね(笑)まあ、コアなユーミンファンもそうでない方も、そんな感じで楽しんでいただければ幸いです。
 ところで、この企画を進めるにあたってユーミンのアルバムを時間の許す限り聴き直してみたのだけど、そうしたらホント、どれもこれも本当に良く出来ていて、改めて、すごいな〜と思った次第。独創的かつ絵画的な歌詞に、柔軟性に富んだカラフルなメロディー、そして松任谷ダンナのツボを押さえたオシャレなアレンジと、三拍子揃ったこれぞ総合芸術。そしてあの個性的な歌声!今回聴き直してみて初めて(笑)ユーミンの声は究極の“癒やし声”だった(但し90年代半ばまでね 笑)、と気づいたの。
 そんなわけでとりあえずは、ユーミン万歳!

 では、参りましょう。
 
1 時のないホテル(80.6.21発売・最高位3位・売上15.6万枚)
時のないホテル ユーミンが単なる恋愛の教祖サマではない、ことがわかる。ストーリーテラーとしてのユーミンの魅力と実力が存分に発揮された傑作。この作品は「愛聴盤」として単独で記事にしていますのでこちらを。
 
2 Pearl Pierce(82.6.21、1位、33万枚)
PEARL PIERCE 聖子三部作提供時の頃の作品で、とにかく上質なポップスの作り手としてのユーミンが楽しめる1枚。まずタイトル曲「真珠のピアス」でオンナのネットリした情念にノックアウトされながらも、そのあとは「夕涼み」「ランチタイムが終わる頃」など全体的にミディアム系の曲が中心で、夏特有の気だるい雰囲気を纏った味わい深い作品集。
 
3 MISSLIM(74.10.5、8位、26.8万枚)
MISSLIM 荒井由実時代・初期ユーミンの才気迸る作品。今となれば誰でも知っている「定番曲」がぎっしりで、文字通り捨て曲なしの名盤。「瞳を閉じて」「やさしさに包まれたなら」「海を見ていた午後」「魔法の鏡」etc.この密度はスゴイです。
 
4 OLIVE(79.7.20、5位、13.2万枚)
OLIVE これは「時のないホテル」の前哨戦という感じ。ファッショナブルなジャケットとは裏腹に、遠距離恋愛の切ない一瞬を見事に切り取った「青いエアメイル」、自殺した女性を歌った「ツバメのように」、晩秋の風のなか恋人のもとを去る主人公「りんごのにおいと風の国」など、内省的で濃密な内容の1枚。
 
5 TEARS AND REASONS(92.11.27、1位、146.4万枚)
ティアーズ・アンド・リーズンズ/松任谷由実 90年代メガヒット時代の作品の中ではこれがイチバン好き。全体に地味目な印象ながら、ポップな「ミラクル」や美メロ炸裂の「私らしく」など、メロディーメイカーとして唯一無二の存在感を示した1枚。ラストの「Carry On」はワタシの大好きな、名曲中の名曲。
 
6 ひこうき雲(71.11.20、9位、25.9万枚)
ひこうき雲 今も色あせない瑞々しさを漂わせる奇跡的なデビュー作品。宮崎監督の最新映画のCMスポットで今ガンガン流れている印象的なタイトル曲をはじめ、センチメンタルな「曇り空」、ポップな「紙ヒコーキ」など詞も曲も実に様々なタイプの曲が並んでいて、当初からそのただならぬ才能が爆発、という感じ。
 
7 14番目の月(76.11.20、1位、30.7万枚)
14番目の月 ユーミンは「荒井由実」時代ですべてを語れる、みたいに言う方もおられるのだけど、結局は私も好きなアルバムを挙げていけばやっぱりこの時代の作品の密度と鮮度に惹かれてしまうのは確かで。。。“つぎの夜から欠ける満月より・14番目の月が一番好き”とは、なんという切り口でしょう!もはや「哲学」ですわ。
 
8 悲しいほどお天気(79.12.1、6位、17.3万枚)
悲しいほどお天気 78〜80年のこの怒涛のリリースにはオドロキね。そのうえ(セールスは奮わなくとも)内容的に“捨てアルバム”がない、という充実ぶり。この作品、美大の頃の思い出を綴ったタイトル曲をはじめ、72年10月9日「ジャコビニ彗星の日」の体験記やら盛岡旅行記「緑の町に舞い降りて」など私小説的色彩が濃厚な1枚。ライブの定番曲「DESTINY」はこの盤に収録。
 
9 Wings of Winter, Shades of Summer(02.11.20、2位、18.2万枚)
Wings of Winter, Shades of Summer こちらは2000年代からのエントリー。『SURF&SNOW』の第2弾を狙って制作されながら、全7曲入りという体裁に終わったあたり、ユーミンはもう限界か?と思わせながら、フタを開ければ粒揃いの7曲が並び、大御所の健在ぶりを示してくれた作品。“夏モノ”ではイントロのギターからして切なさ一杯の「ただわけもなく」、“冬モノ”では静謐な美しさを湛える「雪月花」が秀逸。
 
10 流線形’80(78.11.5、4位、12.5万枚)
流線形'80 「ロッヂで待つクリスマス」「埠頭を渡る風」「入江の午後3時」など、リゾートを舞台にした作品を中心に据えて、のちのバブル期を予感させる6th。“時代の一歩先を行く”伝道師ユーミン誕生、というべき1枚。一方「静かなまぼろし」「かんらん車」といった曲ではナイーブな感性全開で、このダイナミックレンジこそがユーミンなのね。
 
 うわー、あとね、あとね、「昨晩お会いしましょう」も「NO SIDE」も「REINCARNATION」も「DAWN PURPLE」も「Cowgirl Dreamin’」も「そしてもう一度夢見るだろう」も「Road Show」も好きなんだけどな〜。10枚だけ選ぶのはやっぱり難しいわ。
 というわけで(汗)、選外になってしまったアルバムから、私の特に好きな10曲と印象的フレーズを最後に付け加えさせていただいて、この企画を締めます。長くなってゴメンナサイ。ユーミンだもの、許して。

  〜米軍基地に住む女友達が去った朝に〜
 「見送る約束 寝すごした日には
  古い滑走路に夏草だけ揺れてた」

  • 雪だより(『SURF&SNOW』より)

  〜スキー仲間から手紙が来て〜
 「エッジのキズを息かけてみがく それは素敵な季節のはじまり」

  • 手のひらの東京タワー(『昨晩お会いしましょう』より)

  〜高層ビルから見えるタワーがあなたへのプレゼント〜
 「本当は金色のエンピツ削りなの 手のひらに包んだ 東京タワー」

  • 心のまま(『REINCARNATION』より)

  〜ヨットでの長い航海のなかで〜
 「私が好きなのは嵐のあと 光る水平線
  しけた海もやがて月を映す 銀の鏡になる」

  • 経る時(『REINCARNATION』より)

  〜桜並木の見える古いホテルのロビーから〜
 「四月ごとに同じ席は うす紅の砂時計の底になる」

  • NO SIDE(※同名アルバムより)

  ラガーマンの彼を遠くから眺めている〜
 「肩を落として土をはらった ゆるやかな冬の日の黄昏に
  彼はもう二度とかぐことのない風 深く吸った」

  • ダイアモンドダストが消えぬ間に(※同名アルバムより)

  〜独り過ごすクリスマスと彼と潜った夏の海の思い出が交差する〜
 「はじめまして 碧いラグーン 紅珊瑚のトナカイたち」

  • 遠雷(『DAWN PURPLE』より)

  〜別れを迎える二人の情景(パターン1)〜
 「黙ったまま流れる午後 窓つたう雫
  冷めたカップ ペイズリーの煙草のけむり」

  • 最後の嘘(『Cowgirl Dreamin'』より)

  〜別れを迎える二人の情景(パターン2)〜
 「上手に後悔するために 二人はひたすら黙り込む」

  • コインの裏側(『Road Show』より)

  〜男と別れる理由はわからぬまま車に乗る女。そして雪が降り出す〜
 「舞いだした白い羽根 受け止めて ワイパーを動かさず」

 素晴らしい曲はまだまだいっぱい。それらの曲もいつか、取り上げたてみたいと思ってます。
 最後までお付き合いありがとうございました。