太田裕美コンサート2013〜まごころ39(秋冬編)

 10月25日(金)、今年の太田裕美さんの集大成「まごころ39」2日間、その第一日目に行ってまいりました。会場は夏に開催した2Days公演「フォークな夜」「ロックな夜」と同じ渋谷Mt.Rainier Hall。今回もチケットはあっという間にSOLD OUTだったとか。雨女の裕美さんらしく、今回は雨どころか2個の台風が手を携えて列島を脅かしつつあったその夜、俺は仕事を早引けして、風雨が強くなる前にと考えて午後5時前に渋谷に到着。ファミレスで安いグラスワインを飲みながら開場を今か今かと待っていたのだ。
 幸い台風の影響はほとんどなく(太田さん“念力で進路を逸らした”と言ってた。雨女にはそんな力もあるのね (笑))、何事もなく時間通りに開場となり、会場は妙齢の男性・女性で満員に。そして開演。
 太田さんは白いレース付ドレスの下に、黒いインナードレスと黒ブーツ姿で登場。あ、白ヒロミ(フォーク)と黒ヒロミ(ロック)の融合ね。そしてピアノ1本でオープニング曲を披露。76年の冬に発売された名盤『12ページの詩集』から、爽やかなファルセットが冴える「一つの朝」。うわ!この曲から来たか〜!!
 というわけで(笑)、今回はホントに渋いレア曲のオンパレードのそれはそれは素晴らしいセットリストでした。演奏曲は以下の通り。
(毎回のことですが、記憶たよりですので、抜けや順番違いがあるかもしれません、あしからず。)

〜〜ピアノソロ弾き語り
1.一つの朝(76年 アルバム『12ページの詩集』)
2.君が言った ほんとの事(06年 アルバム『始まりはまごころだった』)
3.グレー&ブルー(74年 アルバム『まごころ』)
〜〜ミュージシャン2名が加わって 
4.茶色の鞄(76年 アルバム『手作りの画集』)
5.カーテン(76年 アルバム『12ページの詩集』)
6.最後の一葉(76年 シングル)
〜〜MC「もうすぐデビュー40周年。ということで(笑)。」
7.Happy Birthday To Me(80年 アルバム『十二月の旅人』)
8.雨だれ(74年 シングル)
9.雨の音が聞こえる(84年 シングル)
〜〜ハンドマイク
10.九月の雨(77年 シングル)
11.さらばシベリア鉄道(80年 シングル)
〜〜ギター演奏
12.上弦の月(99年 記念BOX『太田裕美の軌跡』)
13.スカーレットの毛布(78年 アルバム『海が泣いている』)
14.Nenne(78年 アルバム『海が泣いている』)
〜〜MC「時間は無限にあるようで、ひとつひとつの事を考えると、出来る回数は限られているんですね。私も明日突然、声が出なくなるかもしれない。今のうちに心残りのないように良い曲を歌っていきたい。」
15.振り向けばイエスタデイ(78年 シングル)
16.魂のピリオド(98年 ミニアルバム『魂のピリオド』)
〜〜アンコール
17.金平糖(11年 シングル)
18.心のたからばこ(01年 シングル「パパとあなたの影ぼうし」B面)
E.G&Per:岩井眞一、A.G:河口修二

 それにしても、20曲弱の演目のなかでシングル曲は3分の1程度で(あの“太田裕美の代名詞的な曲”を今回はやらなかったし)、それ以外は1974年のデビュー・アルバムから2006年の最新アルバムまで、30年以上にわたる埋もれた名曲ばかりでコンサートを開いてしまえる、“昔アイドル”太田裕美って、なんて懐の深いアーティストなんでしょう。。。
 そして裕美さん、声は絶好調とまではいかないものの(少し低音で伸ばすとフラットになったりして 汗)、MCで“いつ声が出なくなるかもわからないし、声の出るうちにと思って、今回は敢えて音域の高い曲に挑戦した”ということで、非常に音域の広い曲にも果敢に挑んで相変わらず美しいファルセットを見事に響かせてくれていたのね。声量や歌唱力では彼女に勝るシンガーは数多いるのかもしれないけれど、やはりこのファルセットのゾクゾク感、これは唯一無二のもの。それから何より、シングル・アルバム問わず自分の持ち歌を愛し、様々な曲を心から楽しんで歌い演奏している彼女がとても素晴らしく思えたし、こちらもとてもリラックスして楽しめたのね。ベテランシンガーとして、大ホールでしっかりとした舞台装置と大勢のミュージシャンを従えての「リサイタル」というのもたまには良いかもしれないけれど、まず自らが音楽を楽しむことこそが大切に違いない太田さんには、いかにも今回のライブのようなラフな手作り感こそ、お似合いだと思えたのよね。
 コンサート後半、「今年、京都〜東京〜名古屋と曲目を変えて開催してきたソロ・コンサート“まごころ39”もこの10月一杯で終わりなんですね。11月1日からはとうとう40周年に突入します。」そんなMCの流れから、いよいよ太田さんからのサプライズ発表が。
 なんと来年の春に向けてニュー・アルバムを制作中!という話。会場からはおおきな拍手。太田さんの40周年、来年が楽しみですう〜。
 「茶色の鞄」に「カーテン」。「スカーレットの毛布」、そして「魂のピリオド」!その夜、大好きな曲たちに導かれて、私の頭の中は遠い日の思い出が走馬灯のように駆け巡り、眼には幾度となく涙が溢れ出てきてどうしようもなかった。ありがとう(39:サンキュー)、裕美さん。そして50周年に向けて、これからもテキトーにインチキしながら(笑)頑張ってほしいわ。

12ページの詩集

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