私のシャンハイ

 久々の海外旅行をしてきました。中華人民共和国・上海です。
 尖閣問題や防空識別圏の一方的な設定、大気汚染や食品汚染問題など、日々のニュースでは日本からすると好ましくない話題のみが伝わってくる、かの国。
 実際私が「上海に行ってきま〜す」と言うと、周囲は「なんで行くの?」というような冷やかな反応ばかりだったのですけれど、今回は現地に住む親友に会いに行く目的があったので、どんな反応があろうと「行くものは行くのよ!」という感じで日本を飛び出した私でした。生来の好奇心が疼いたこともありますが、正直、何も理由なしにたった一人だけの旅行だったら、上海を旅行先には選ばなかったかもしれませんけどね。。。
 でも。。行って本当に良かった!今はそう思ってます。
 まず心配していたPM2.5は、私が現地に降り立った前後から奇跡的に低い数値に下がって、快晴の空はさすがに日本の“冬晴れ”とまでの青さではないものの、ほんのうっすらとモヤがかかる程度で、日本でいうと、少し空気が澱んだ夏の朝の空に似ていました。それでも友達が言うところでは、“今日はとても気持ちの良い日”とのことで、私はラッキーだったのだと思います。
 街はどこも平日にもかかわらず人の賑わいが絶えることなく、それだけでこの国の活力を感じるには十分でした。マスクをしている人はたまに見かける程度で、私もマスクをせずに街中を歩きましたが、建設ラッシュと冬の乾燥のせいか多少の埃っぽさは感じるものの、空気の汚染は感じませんでした。
 国際都市・上海をこの目で実際に見て受けた第一印象は、とにかくダイナミックだな、ということ。
 戦中(戦後)にフランスやイギリス統治下にあった事実を雄弁に物語る、石造りの豪奢な建築物があちこちに残る町並みは、一見して歴史の重さがのしかかってくる重厚な印象ですが、[:W240:right]実際にはそこに移り住んだ現地の人の生活の場になっていて、石造りの屋敷の窓から飛び出た物干しに洗濯物が所狭しとぶら下がっていたりで、そうしたアジアならではの濃密な生活臭が立ち込めていました。また古い建造物を改築したオシャレなカフェやブティックがポツポツと街並みの中に自然に溶け込んだりしていて、それは日本で言えばまるで青山や表参道を歩いている感覚だったりします。
 つまり、歴史的なものと近代的(最先端)なものと、それから猥雑な生活臭と、それらをすべて呑み込んでなおも急激に変化を遂げる都市、それが上海。私が感じたダイナミックさとは、そこなのだと思います。
↓昔ながらの長屋の前にピカピカのスポーツカー。

 コンビニには商品があふれているし、街を歩く若者は総じてオシャレ。スタバもあれば(写真は“スタバっぽいもの”ですけど)ショッピング・モールにはブランド店がひしめく。上海はもはや我々のイメージする中国ではなく、資本主義にまみれたごく普通の国際都市、と言うのが正しいようです。近未来的なデザインの「東方明珠塔」をバックに記念写真を撮る人々の顔には、豊かさを満喫する幸せが満ちている気がしました。そして、この繁栄をとことん享受しようという貪欲さと、これは今この時だけのチャンスだと言わんばかりのどこか醒めたようなしたたかさも。。何となくですけどね。

 私も、それら幸せそうな群衆にまみれて外灘の夜景を楽しみながら、この豊かさの一方で農村地域は貧困が広がっていて、果たして上海で消費生活を満喫する中国人たちは、同じ国の中で貧困にあえぐ人々のことをどのように思っているのだろうか、そんなことを考えたりしていました。(翻って、そういう自分は、自分の国で助けが必要な人々のことを真剣に考えたことがあるのか?なんてことも。。。)
 経済特区として資本主義的繁栄の先端を行く上海とはいえ、やっぱり中国は中国。歩道を我が物顔にバイクが走り抜けたり、すれ違ったオジサンが突然“ピッ”と手洟(はな)飛ばしたり、かと思えば向こうから精悍な軍人が隊列組んで行進してきたり、車に乗せてもらって高速道路を走ればどこも渋滞のうえ、車線の割り込みが当たり前でまるでカーチェイスのようだったり、何だか目が回りそうなシーンの連続でした。
 一方では、現地の女の子のチャーミングさには目がウロコだったし、犬や猫をとても愛情をもって飼っている人が多かったし(食べたりなんかしない!)、おじさんおばさんたちも思ったよりフレンドリーで可愛らしい人が沢山いて(とある観光名所のぽっちゃりしたおじさん警備員の柔和な笑顔にノックアウトされたhiroc-fontana(笑))、日本の中で言う“いわゆる中国人”のイメージとはずいぶんと違った印象を受けたのです(まあ、国際都市・上海だったからかもしれないけれど。。。)。これも、行ってみて良かった、と思うことの一つ。
↓綺麗な公園でゲームに興じるお年寄りたち。これは“中国ならでは”といった風景ですね。

「国」をひとつの総体として好き嫌いを決めてしまうのは簡単ですけど、やはりその国で実際に生活する人々を想像して、機会があれば、触れ合ってみてから判断しないといけない、などと思った次第です。
 もちろん、グルメも堪能してきました。
↓小籠包。カニミソのスープがジュワー。

↓上海なのに、四川料理(苦笑)。見るだけで汗タラタラ。

 
 上海。羽田から飛行機でたったの3時間。。。近いのに遠くて、やっぱり近い場所。そんな感じでした。

 
BGMとして、オール上海ロケのマイラバ「STARDUST」をどうぞ。