太田裕美コンサート2014「雨女の恩返し・tutumikko」

 当ブログのコアな裕美ファンとのお約束通り(笑)、参戦してまいりました。太田さんデビュー40周年コンサート。
 2014年3月21日。会場は渋谷区文化総合センター大和田・さくらホール。

 あらこの会場、私の知り合いのアマチュア合唱団が使ったホールだわ・・・なんてことに気が付いて。おそらく普通に考えれば太田さんクラスのアーティストなら、このホールのたった700席程度の収容数じゃあ、収まらないのじゃないの?なんて思いつつ・・・。実際に当日券の問い合わせもかなりあったようだし。
 ただ、8年前にリリースした久々のアルバム『はじまりはまごころだった』のお披露目ライブは渋谷AXだったし、昨年の「まごころ39」ライブは3回とも渋谷Mt.Rainierホールで。振り返れば彼女のライブの原点は渋谷“ジァンジァン”だったのだよな、なんてことを鑑みるに、「渋谷」という街は太田裕美さんにとっては何か特別な場所なのだろうな、なんてことも思った。
 まあ、今回の会場は規模こそ小さいものの、座席をはじめとてもシックなつくりで音響も良くて、太田さんの手作り感たっぷりのライブには打ってつけの会場だったような気もする。
 開演は17:30。席のほとんどはいかにも太田さんファンらしい、スクエアで素朴な感じの40〜50代の男性ファンで埋め尽くされ、女性や若者はちらほら(苦笑)。今回太田さんはモスグリーンのドレスとその下に黒いチュチュのスカートにブーツ姿で登場。白い肌が映えて、とても還暦近くには見えない輝き(笑)。
 そして一曲目「振り向けばイエスタディ」。そう、今回はタイトルに「tutumikko」と冠した、「筒美ソングス」づくしのコンサート!それはそれは素晴らしい内容でございました。セットリストは以下の通り。

ピアノ弾き語り
 1.振り向けばイエスタディ(1978年・13thシングル)
 2.恋愛遊戯(1977年・8thシングル)
 3.ピッツァハウス22時(1978年・アルバム『ELEGANCE』)
ハンドマイク
 4.遠い夏休み(1976年・アルバム『手作りの画集』)
 5.しあわせ未満(1977年・7thシングル)
 6.雨の音が聞こえる(1984年・25th結婚記念シングル)
ギター弾き語り
 7.恋人たちの100の偽り(1977年・10thシングル)
 8.煉瓦荘(1978年・アルバム『ELEGANCE』)
 9.スカーレットの毛布(1978年・アルバム『海が泣いている』)
ハンドマイク
10.赤いハイヒール(1976年・5thシングル)
11.九月の雨(1977年・9thシングル)
12.ドール(1978年・12thシングル)
アルバム『tutumikko』よりお披露目
13.タイムマシーン(原曲:藤井フミヤ
14.真夏の出来事(原曲:平山三紀)
15.レイン・ステイション(原曲:天地真理
16.ROMANTICが止まらない(原曲:C-C-B
17.強い気持ち・強い愛(原曲:小沢健二
エンディング・観客はスタンディング
18.木綿のハンカチーフ(1975年・4thシングル)
アンコール(ピアノ弾き語り)
19.雨だれ(1974年・1stシングル)
20.魂のピリオド(1998年・同名ミニアルバム)

 最初の3曲を聴きながら思ったのは、太田裕美さんに提供された筒美作品(のメロディ)が、ずば抜けて洗練されている、ということ。これらの曲たちは、例えばコード進行にしてもメロディの構成にしても、いま聴いても全く古さを感じさせなくて、いわゆる懐メロ歌謡曲歌手が歌う類の曲とはレベルが違うな、と改めて思わされたのね。間違いなく「聴く」ことに集中できる“オトナの”コンサート。だから、居心地が、いい。(まあ、最後の「木綿」では太田さんの「みんな、立っちゃう?」の一声で、珍しく観客全員スタンディングに手拍子で盛り上がりましたけどね・・(笑))
 それと今回、太田さんの曲間の飾らないトークの面白さも、改めてスゴイなと感じたところ。それぞれの曲への思いやそれにまつわるレアエピソードなど、コアなファンが聞きたい内容がてんこ盛りのトークも、間違いなく太田さんのコンサートの醍醐味のひとつ、ね。
 たとえば、今回久しぶりに歌った「恋人たちの100の偽り」をなぜいままで封印していたのか(曲の内容が当時の太田さんには「重かった」etc.)、とか、新作『tutumikko』関連では、事務所の先輩・天地真理さんとの交流から「レイン・ステイション」を選んだという経緯や、『tutumikko』では名アレンジで筒美作品に新しい命を吹き込んでいるアレンジャー・宮川弾さんとの縁が大瀧詠一さん『A LONG VACATION』(「FAN×4」での太田さんのワンフレーズ“散歩しない?”に宮川氏が強く惹かれたことが発端)A LONG VACATION 30th Editionであったこと、そしてその大瀧さんは『tutumikko』録音開始の日に亡くなりコンサート当日(3月21日)に“お別れ会”が開かれているというフシギな因縁、などなど。
 演奏曲数は20曲と決して多くはないのに、いつも太田さんのコンサートが充実していると思えるのは、やはりこうした「ここだけの話」トークが極めて面白いからだろうと思う、おそらく。
 さて、そんな40周年コンサート、太田さんの声は特にファルセットが絶好調で、「赤いハイヒール」の歌い出し“♪ ねえ友だちなら〜”のアカペラ部分など、澄み切った声がとても自然に伸びていて、全盛期にも迫る勢いだったように思う。それから「煉瓦荘」「遠い夏休み」(どちらも大好き!)といった隠れた名曲(レア曲)はもちろん、新作からはジャズアレンジの「ROMANTICが止まらない」(妙に色っぽかった)、ラテン風味の「真夏の出来事」など、見事に裕美色に染めあげた素晴らしい聴きものになっていて、選曲的にも申し分なし。大満足のコンサートでしたわ。
 当日はBS収録のためのカメラも入って、最初は少し緊張もあった太田さん(オープニングで「雨女の“逆襲”!」とか言っちゃってた (笑))だったけれど、的確な手振りを交えた歌の表現力はビジュアル的にも素晴らしかったので、3月30日の番組放映が今から楽しみ。→「BSジャパン 太田裕美40周年ライブSP〜音楽と歩いた青春〜
↓お気楽なカバー・アルバムと違います!気合い入ってます!(by裕美)

tutumikko

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