『tutumikko』
- アーティスト: 太田裕美
- 出版社/メーカー: SPACE SHOWER MUSIC
- 発売日: 2014/04/02
- メディア: CD
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期待し過ぎたのか。。。オールド裕美&筒美ファンの自分にはもう一つ、しっくりこない。太田さんの声は低音も高音もよく響いていて心地良いのは変わりないし、この新作でやりたかったこともわかる。
それでもニュー・アルバム『tutumikko』を何度聴いても、残るのは違和感ばかり。(あれだけブログで勧めておいて、これは無いだろう、と自分でも思うのだけど。)
太田裕美オフシャルサイトでアレンジャーの宮川弾さんがこう書いている。
いざ打ち合わせに行ってみたら、
「ただの『アコースティックアルバム』みたいのじゃダメですよ」
という雰囲気がヒシヒシと。
ああ、これ本気のやつかー。
ボクも腹を括らなきゃダメなんだなと感じました。
安全パイよりも、あえて冒険が必要なときってあるんだ。
崖かもしれないなら飛ぶしかないんだ。
確かに、
ボクとしても「ゆったり懐メロ」じゃなく
現代に対する「ポップス」として送り出したい。
もう正解だけを気にするのはやめよう。
そう思った瞬間、アタマの中で聴こえてきた音があったのも事実です。
その意気込みはわかるけれど、少し肩に力が入り過ぎた感じか。
レゲエの「レイン・ステイション」、バックで終始マーチ風ドラムが刻む「私は忘れない」、ボサノバの「夏のクラクション」、アップテンポでバンドサウンドでタテノリな「人魚」・・・。「ゆったり懐メロ」を脱するにしても、ここまで原曲のイメージを“壊す”必要が果たしてあったのかな、と。
“数々の名曲に新しい命を吹き込んで現代の新しいポップスとして蘇らせたい。”というのは、良くある決まり文句のひとつ。もしかしたらその意味では成功しているのかも知れないけどね。そう、宮川さんは頑張ったのだと思う。
でも。私はダメでした。。
太田裕美さんの独特の憂いのあるボーカルや、筒美作品ならではの日本人の心の琴線に触れる絶妙なコード展開が、このアレンジでは残念ながら消えてしまっているように思えて。。
もしかすると発売が待ち遠しすぎて、原曲のオリジナルアレンジに太田さんの声を乗せた“脳内Mixバージョン『tutumikko』”を繰り返し聴きすぎた後遺症?なのかもしれないけれど(苦笑)。
やはり自分は、太田さんがしっとり歌う「人魚」が聴きたかったし、かつての「木綿」のような、ふるさとの素朴な哀愁味が溢れる「私は忘れない」を聴きたかった。太田裕美というシンガーは、単なる「ポップス」の範疇を越えて、もっともっと声でいろいろな表情を見せられるような気がするから。。。その意味でも、少し物足りない気がして。
でもこれからきっと、現実の『tutumikko』を繰り返し聴いて、このサウンドに少しづつ慣れていけば、大好きなアルバムになっていくかも?柔軟性をすっかり失っている頭の固いオジサンとしては、それに期待するしかない(笑)。
太田さん、ファンのみなさん、今回はどうしても良い事が書けなくて、ごめんなさい。