メモランダム2015.5.24

  • 音楽の洪水に溺れかけて

 通勤時に愛用しているヘッドフォンステレオを上位機種に買い替えたことは先日記事にしました。とにかく容量が大きくて、ポップスなら20000曲くらい入ってしまうらしいので、4月に買い替えて以来、ほとんど毎日聴いていても、まだ録音したCDの半分も聴けていません。。。
 私の場合、ヘッドホンステレオに入っているCDは、年代でいうと60年代から2015年まで、ジャンルもアイドル歌謡から洋楽、ジャズ、果てはエンカまで(笑)、もうあらゆる音楽が"ごった煮"状態でありまして、それらが次々と20,000曲も出てくるわけですから、ふと、こんなことを思ったりします。
 もう、新しいCDは要らないかも。と。
 これはあくまでも個人的な感覚ですが、実際、音楽産業は既に飽和状態で、行き詰っているように思えるのです。ポピュラー・ミュージックが音楽的にもシステム的にも1970年代〜80年代ころに今の形に出来上がってから(←これも個人的な見解ですが)、すでにほぼ半世紀。その中でバリエーションとして常に新しいアーティストや音楽が出てきてはいるものの、それはアーティストもリスナーも世代交代しているからこそ成り立っているだけであって、歌詞やリズムやメロディは組み合わせで無限大に新しいものが生まれるものとは言え、完全に「新しいもの」はもはや生まれて来ないのではないか、と。
 聴いたところによると、これまでのヒット曲の"ビッグデータ"をコンピュータ処理すれば、簡単にヒット曲を生み出せたりもするそうですし、作曲にコンピュータの作曲ソフトを使う、というのも当たり前になりつつあるとか。
 昨今のヒットチャートを見ると、初週に上位にランクインして翌週には圏外に消えてしまうようなものばかりで、そのぶんレコード会社もリリース濫発で回していかなければ商売にならないはずです。
 そのうえ、ネット社会になってダウンロード配信が出だしてさらに状況は複雑になりました。誰も知らないような曲が、閉じられたファンの間だけで聴かれる。いま流行している音楽さえ、つかめない時代です。そんな中、私のように昔の音楽をいまだにCDというフォーマットに頼って聴く世代向けには、どっさりと70年代〜90年代の音楽が手を変え品を変えて"復刻盤"として供給される。
 生まれて50年の間に聴いてきたアノ曲コノ曲がすべて手に入る時代。とても幸せな時代には違いないのですが、その間にもすっかり長命になったあの頃の自分のアイドルたちが次々と「新譜」やベスト盤をリリースすればやはり聴きたくなるわけで、私はもう、たくさんの好きなアーティスト、大好きな曲たちの"大海"に浮かんで転覆しかけている小舟のようです。
 
DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム
REFLECTION{Drip}初回盤
_genic (CD+DVD)Bibbidi-Bobbidi-Boo(初回限定盤A)(DVD付)葡萄(通常盤)
 
 
 
 そう考えると、かつて輝いていたアーティストたちが、次第にマンネリズムに陥って、過去の焼き直しや閉塞感に満ちた抜け殻のような作品しかリリース出来なくなっても仕方ないことなのかも知れませんね。彼らもおそらく、音と情報の洪水の中で、溺れかけているに違いないですから。。。
 

  • 我々は情報をスルーし、権力からスルーされる

 「平和安全法制整備法案」なるものが閣議決定しました。
 確かに近年の、お隣のそのまたお隣の図体が大きなアノ国の動きは薄気味悪いですし、どこか行き当たりばったりのこの国とは違い、着々と戦略的に覇権を広げている気もします。
 でも、だからといって、こんな風に事が進んで行ってしまって良いのでしょうか。
 安倍政権の言論統制(こう言ってしまっていいと思います)のもと、これからの国のあり方を大きく左右することが、ごく一部の人々たちだけで次々と決められていく中、淡々とその経緯を伝えるだけになっている、マスコミ。
 そして沢山の情報が垂れ流され、こうした重大な事柄でさえ多くの無意味な情報と一緒くたにして、ただスルーしてしまう私たち。。。
 本当に、これでいいのでしょうか。
 
 ところで私、このブログを始めた10年前は「護憲派」だったのです。でも今は違います。こんな、閣議決定で解釈がいくらでも変えられる憲法なんて、意味がないと思うからです。
 だからと言って、安倍ちゃんの言うように9条を改正して、自衛隊国防軍として位置付けたい、などと言うわけではありません。自民党がそこまでして軍事的脅威から日本を守りたいならせめて、96条の縛り(=改憲には国会議員の2/3の賛成と国民投票過半数の同意)を越えて、国民投票で正々堂々と改憲に動いて欲しい、そうして国民全員がじっくりと考えていけるように持って行ってほしい、そう思うのです。
 
 そう言えば、ギチギチのカトリック国と思われたアイルランドで、何と国民投票同性婚を認める憲法改正案が可決されました。国民性、と言ってしまえばそれまでですが、皆が幸せにより良くなるためにはどうあるべきか、国民が真剣に議論し、関わり、世の中を変えていくという当たり前のことが出来て“いない”この国の政治的貧しさに、思わず溜息が出てきます。自戒を込めて(苦笑)。