黄昏が眩しい

 今日はまっさらな休日です。朝から一日、家にいます。誰とも会う約束もなく、家にいます。
 朝、少し遅めに起きて、掃除をしたり、洗濯をしたり、布団を干したり、暑さですぐに乾いてしまった洗濯ものを取り込んだり。そしてかなり前に送られてきていたのに放っておいた保険の更新書類を仕上げてポストに投函しに行ったりしているうち、あっという間にお昼になってしまいました。
 冷凍しておいたパスタソースで簡単に昼食を済ませて、洗いものをするついでにシンクを久しぶりに磨いてみたりもして。そのあとはハードディスクに録画して溜まったままの映画をディスクにダビングしながら観ているうちに、うつらうつら・・・。
 小一時間、眠ったでしょうか。いつの間に部屋に西日が差し込んでいます。私の部屋は西向きなので、黄昏どきがとても眩しいのです。
  
 少し前までは、何の予定もないまっさらな休日の一日は、もっと嬉しいものだったような気がします。
 でも、いまは、違います。こうして、仕事に忙殺されて普段は出来ていなかったあれこれを、ここぞとばかり詰め込んでみても、以前はそれだけで得られた達成感や充実感はもう、ありません。
 
 梅雨明けすぐの爽やかさがまだ残る夏の朝、東側の小さな窓から微かに差していた太陽の光が、知らぬ間に力強く熱を湛えながら屋根の上を移動して、最後はどこかくすんだ色を帯びながら西の窓から容赦なく部屋の壁を焼き、そして遠いシルエットの向こうに沈んでいくのを夕闇の薄暗い椅子の上で茫然と眺めている私は、いま、言いようのない焦燥感に駆られているのです。
 
 こうして過ぎてゆく日々の果て、やがて訪れる人生の黄昏どきを、私はうまく受け止められるのでしょうか。
 独りの部屋に差し込む黄昏の眩しさが、どこかうら寂しく感じられて仕方がない私がいるのです。
ALWAYS 続・三丁目の夕日 オリジナル・サウンドトラック