つぶやき〜生と死を見つめて

 50を越えたゲイの俺には、結婚なんてもうとっくに関係のない話なのだけれど、福山雅治さんや千原Jrくん、それに爆笑の田中くんが相次いで結婚するというニュースには、何となく心がさざめくのを感じた。
 取り残されたような焦りと、裏切られたようなガッカリ感、そして俺はやっぱり少数派であるという諦め、そういった幾つかの感情が入り混じった、何ともモヤモヤとした何かだ。
 ゲイの世界では、40代以上で独身イケメンの男性芸能人がいれば大概「お仲間さん」の噂がまことしやかに囁かれるのが常。(「友達の知り合いが、昔バーで会ったって…」みたいなハナシね。)ちょっと前なら織田くんや阿部ちゃんなんかがそうで、福山さんも例外ではなかったのね。そこには、彼らが自分たちの“仲間”であってほしいという「淡い期待」が確実にあるわけだけど、でも結局みんな結婚してしまったわけでね。色んな意味で、現実は厳しいというか。(彼らが向き合っている“彼らの現実”も厳しいのかもしれないけどね…フフ。)
 俺ももちろん、そんな(淡い期待を抱いていた)一人で、まあ噂の真偽はどうあれ、少なくとも彼らのような中年で独り身の芸能人が活躍してくれることだけで、確かに勇気をもらっていたわけよね・・・結局は。中島みゆきさんの曲「二隻の舟」じゃないけれど、波の遥か向こうで、独り頑張って船を漕ぐアナタがいるから、自分も頑張って海を渡って行ける、みたいな世界ね(うわっ、こうして書くと、さぶいわね!笑)。
 だから今回、超大物独身だった福山さんの結婚は、自分が意識していた以上に、俺にとっては心理的ダメージが大きかったのかもしれないな、なんて思っているのだ。
 
 それにもうひとつ。
 川島なお美さんが亡くなったことも、少なからず影響しているのかな?なんてことも思ってるのね・・・。川島さんと同世代の俺にとって、がんという病気は他人事じゃない。普段は「いつ死んでもいいや」なんて強がっていても、いざそれを宣告されたとすれば、動揺は必至。とてもじゃないけど、川島さんみたいに強く生き抜くことは出来ないと思う。
 いまは苦しんで死ぬことが怖いけれど、これから年齢を重ねていけば、「死」それ自体よりも、いざそのときに大切に思い、思われる人がそばに誰もいない、その事の方が恐くなるような気もするのね。なお美さんと、ダンナの鎧塚さんの最後のやり取りなんかを聞くと、あ〜、素敵だなって・・・余計にね。。(結婚発表が相次いだ裏側には、川島なお美さんの死が少なからず影響していたのでは?と俺は勝手に推測しているのだ。)
 とはいえ、例え結婚したとしても、必ずどちらかが先に亡くなるわけだから、結局は最後は独りなのは同じなのだけれどね。その意味で、若い奥さんをもらった福山さんはズルいな、なんてことも思ったり(苦笑)。
 あと、もう一人、乳がんになっていたことを公表した北斗晶さんのケースも、考えさせられたわね。愛するダンナや家族がいるからこそ、頑張れるのだろうけど、一方では彼らを残して自分だけが先に逝ってしまうかも知れないという現実を目の当たりにすることは、きっと別の辛さがあるのではないかな、と。
 そんなふうに考えると、独りでさっぱりと生きて、死ぬことも悪くないや、なんて思えてきたりもしてね。
 そんなこんなをアレコレ考えてはみても、最後は結局、今、こうして51歳の俺が一人で生きている現実を受け止めて、この生を全うするしか、ないわけで。
 人それぞれ。ということ。
 それで自分を納得させるわ。。。