ふたりの歌姫の2015

 10月に入りました。
 明菜が5年ぶりの復活を果たし、一方の聖子は大トリの大役を果たして、大いに盛り上がった昨年末の紅白。あれからあっという間に9カ月が経過してしまったわけね。。。
 そして迎えた2015年秋。
 9月30日、中森明菜さんの50歳記念(苦笑)、今年2枚目にして通算50枚目のシングル「unfixable」発売。

unfixable(初回限定盤)(DVD付)

unfixable(初回限定盤)(DVD付)

 来る10月28日には、松田聖子さんが松本隆松任谷由実松任谷正隆の黄金トリオと31年ぶりにタッグを組んだ35周年記念シングル「永遠のもっと果てまで」が発売されることに。 21世紀を迎えて15年経って、80年代を代表する二人のアイドルが、こうして揃って現役として新曲を発表してくれている今この瞬間が、少し大袈裟だけれど何だか「奇跡」のようで。(特に、アキナのここ数年の状況を顧みれば余計にね。)
 
 さて、早速、二人の新曲を聴いてみたhiroc-fontanaであります。
 嬉しかったのは、どちらも80年代から支持されてきたそれぞれの個性が充分に発揮された新曲であったこと。
 まずは明菜「unfixable」。まさかの海外ライターによる、全編英語詞シングル。
 彼女自身がもともと洋楽志向であるのはもちろん、「アキナは洋楽だ」ということは、このブログで何度か言及してきたことでもあるけれど、今回の新曲はまさに完全な“洋楽”。英語詞の曲はオリジナルアルバムとしては過去に『CROSS MY PALM』('87)CROSS MY PALM(紙ジャケット&SACD/CDハイブリッド仕様)であるとか、近年では『DIVA』('09)DIVA(初回限定盤)でもすでに披露していて、特に『DIVA』では見事にイングリッシュをキメてくれているアキナではあるけれど、50歳を迎えたこの時期にこの路線で来るとは、何ともアキナらしい、というか。彼女はやっぱり既定路線を守るよりも、それを裏切ることで自分らしさをキープしたいのだな、とね。
 洋楽とは言っても、これまで明菜が得意としてきた"吠え吠え"の「ロック路線」(笑)ではなく、とても内省的な印象のミディアム作品で、アイルランドや北欧音楽の路線(エンヤとかビョークとか)に近い感じ。ネットのレビューで誰かか書いていたけれど「雨粒が絶え間なく落ちてくる感じ」、まさにそんな印象(重苦しい感じ)のメロディーを、アキナの囁くような抑えたボーカルが幾重も重なりながら淡々と紡いでいく、そんな作品(言葉はほとんど聴き取れない)。たぶん、有線から流れてきたら絶対アキナだとはわからないと思う。これが今の日本のヒットチャートで上位にランクインするとすればオドロキだけれど、明菜ファンの底力を思えば充分それもあるかも知れないし、そうなったとしたら、とても嬉しい。アキナちゃん、そこを狙ってるのかしらね。
 あとは1月のNHK番組で本人が語っていた「制作中のオリジナル・アルバム」が無事完成することを祈るばかり。ただ「unfixable」とカップリング「雨月」を続けて聴いていると、余りに重くて滅入ってしまうところもあって(モノクロの付属DVDの明菜のやつれ具合も痛々しくて)、思わず「明菜ちゃん、あまり急がなくていいよ」と声を掛けたくなってしまう、hiroc-fontanaなのだ。
 
 さて、一方の聖子たんの新曲永遠のもっと果てまで/惑星になりたい(初回限定盤C)(カセットテープ)は、このほど全編を聴く機会を得まして、やはりサビだけ聴いて感じた印象とは違う、深い味わいのある作品だったことに安心してね(そう、ユーミンの曲はもともと“サビ一発勝負”のような曲は少ないのですよね。。。)。35周年でファンの期待(外注を!松本隆作品を!ユーミン作品を!(苦笑))にしっかり応えてくれたことに、ただただ感謝です。(でもジャケット写真の方は、あ、またあいつが撮ってる写真ね・・・という感じで、やれやれですが。)
 言葉を削いで行間で語る詞に、最初の印象は淡泊だけれど噛みしめるほどに味の出る美しいメロディー。新曲は、出だしのコードからしても、あの“淡いピンクのお花の歌”の21世紀バージョンのように思えたのよね。大人しい曲だけど、秘めた力が確かにあるような気がする曲。
 ユーミンのHP(インターネットラジオ)ではこの曲、かなり前に企画が決まっていて春ごろにメロディーは出来上がっていたというハナシ(つまり曲先)。松本さんの詞の出来上がりが遅れていたようで、この時期の発売となったらしいのね。近日、NHK松本隆さんの45周年番組が放送されるようで、そこで3者(松本さん&ユーミン&セイコたん)の共演もあるらしくて、そちらも楽しみです。(なんでも聖子さん、収録後に“強い女”の先輩であるユーミンにねぎらわれて、ユーミンにしがみついて嗚咽したとか・・・。その辺のエピソードはユーミンHP「USO-RADIO」9・25号で聴いてみて下さいね。)
 ちなみにカップリング曲「惑星になりたい」もユーミン作曲だそうで、こちらはアップテンポの作品とのこと。こちらは未聴ですが、今から楽しみ。
 
 ということで、二人の歌姫、それぞれの方向で、2015年・充実の秋を迎えて、まずは 万歳!