『re:evergreen』My Little Lover

　My little loverの新作。

re:evergreen

　これまでもその頑固なまでの「変わらなさ」については言及してきたし（関連記事はこちら）、だからこそ、この人達（というか、“マイラバ”ニアイコール“akko”「個人」なのだけど）の作り出す音楽をhiroc-fontanaも「変わらず・ずっと」聴き続けてきたわけで。でもまさかここに来て小林武史とヨリを戻して（正確には「再会して」）、20年前にリリースされた1stアルバム『evergreen』の世界を再構築します、なんてこと、まさか想像だにしなかった展開なのよね。
　俺としては、さりげなく変わらないそのスタイルが好きだっただけであって、それ（“変わらなさ”）を“目的”（ウリ）にしてしまうのは、ちょっと違うんじゃないかな？なんて思ったのだけど…。
　でもいざ聴いてみたら、ふーん、なるほどね、って納得したりもして。アッコのアイドル声にドラムンベースを中心に据えた生音系のサウンド。結局はやっぱり！そしてこれぞ！マイラバ！で。20年前とほとんど変わらない音世界を聴かされて、最後には「あの頃から、マイラバサウンドには、J-popという安易な括りには収まりきれない、新しい何かがあったのよね。」なんて。その瑞々しくてちょっとだけ青臭い曲たちを聴いて、改めて新鮮な感動を覚えたりして、最後にはマイラバ再評価！に行き着くシカケ？なのかしらね。
　収録曲を見ても、もろ「Man＆Woman」の焼き直しな「pastel」、「Yes〜freeflower」のリズムパターンを思わせる「今日は雨降りでも」、「バランス」や「ターミナル」は「Hello,Again〜昔からある場所」を偲ばせる哀愁ロカバラと、あのころと全く変わらないマイラバ曲が並んでいる。そしてラスト曲は「re:evergreen」で、メロディも詞の世界もそのままファーストアルバムのエンディング曲「evergreen」の21世紀版が用意されている。

枯れてしまった夢も　しぼんでしまった恋も
咲かない花も　沢山あるけど
小さな想いがまた　あなたと巡り会えて
動き出す
　　　　　　「re:evergreen」曲：小林武史

　20年前は夢見ていた「エバーグリーン」が、今は心の中に確かな確信として広がっている、そんな感じね。これは20年間、ひとり、マイラバサウンドを瑞々しいまま守り続けてきたガンコなアッコちゃんだからこそ、表現できる世界なのかも。
（でもそんな曲を、離婚して、バンドからも一旦手を引いた“元ダンナ”が作って彼女に歌わせちゃうのも、何だかな・・・と思ったりする。）
　まあ思いはフクザツながら（苦笑）、久々に引きの強いマイラバで、ヘビロテしてます。
　そうそうこのアルバム、なんと本家『evergreen』のリミックス盤がカップリングされた２枚組。それもちょっと、なんだかな〜、なのだけど、まあ全体に雰囲気はそのままイイ音で生まれ変わっていて、こちらも結局は愛聴しちゃってます。それにしても２０年前と声が全然変わらないアッコさん、スゴイ。歌い方はアイドルチックでも、やっぱり音大出、なのね（汗）。
　収録曲「ターミナル」は映画主題歌。

　でも、俺はこの癒し系マイラバが、やっぱり好きだったな〜。「深呼吸の必要」。