いざ、久々の海外へ。スウェーデン旅行〜出発まで〜

 お久しぶりです。あっという間に師走、というか年の瀬を迎えてしまいました。
 
 実は先日、ワタシ、久しぶりの海外旅行をしてきました。今までの数少ない海外旅行体験ではアジア方面が多かったのですが、今回の旅行先はなんと、スウェーデン

 実は現地に住む日本人の友達が夏に日本に一時帰国したときに、会話の中でさりげなく「ところで、いつスウェーデンに来ます?」と誘ってくれて、そのとき二つ返事で、「11月に、行きます!」と答えていた自分がいたのでした・・・。
 いまスウェーデンに住む彼とは、生まれ育った環境も、その後それぞれが歩んでいる道も全く違っているのですが、ひょんなことからご縁を頂いて、彼が一時帰国するたびに交流を重ねてきました。そして世界を股にかけて生きている彼がその生活の拠点を移すたび、私も彼の住む国を訪問させて頂いたりして、早や10年の間柄になります。とてもパワフルにオンリーワンの人生を切り拓いている彼に会うたびにワタシは大いなる勇気を頂いて、狭い島国の中だけで人生を重ねていく自分もそれなりに、日々訪れる可能性を大切に拾い上げながら、それに感謝して生きていかなければいけないな、と強くそう思わせてもらえるのです。
 素敵な出会いは、人生の宝物。つくづく、そう思います。
 
 さて、北欧への旅行、冷静に考えれば、時間もお金もそれなりにかかることを覚悟しなければならない事であり、真冬の北欧となれば装備も充実させる必要があったりするわけですが、しかしそんなことはすべてさておいて、返事をしてすぐに、ネットで航空券を手配しているワタシがいました。

 もちろん、この機を逃せば北欧など恐らく一生縁がないであろうことも、また、間を置けばまたあれこれ逡巡して結局は実行には移せない不精で臆病な自分であることもわかっていましたので、まずは行動したところもあります。でもやはり、それ以上に「行きたい」という強い気持ちが私をそうさせていたように思います。振り返ると、スウェーデンという土地との「ご縁」が私を動かしていたところがあったのかも知れません。
 
 幸い、ずっと前にお付き合いしていた彼から強く勧められて加入していた、ユナイテッド航空のクレジットカードのマイルが死ぬほど溜まっていたので(公共料金の引き落しでカードを使えば、毎月マイルが自然に貯まっていくのです)、往復航空券はマイルですべて手配できました。でも実はこれが海外旅行に不慣れな、五十路を迎えたオッサンにはかなり難儀なことでして、結局はネットしながら何度もユナイテッド航空にヘルプコール。(ユナイテッド航空から届くコンファメーションメールは全部英語だったので、チンプンカンプンで(汗))。
 今回の旅行を通じて痛感したことは、人生経験は、いざという時の心強い味方であるのは確かなのですが、同時に、なまじ経験値があるがゆえに、心の中にありとあらゆるおそれや心配事を呼び込んで不安を煽る「厄介者」でもあるのだ、ということでした。
 まず、昭和に育った年代としては、いくらネットで予約が出来ても、やはり手元にチケット本体が届かないと、どうも落ち着かないのです。その後も何度も決済メールを確認した挙句、航空会社のサイトでシートの予約をしても、出発前日にチェックイン出来てもまだ安心できずに、当日の空港カウンターで搭乗券が発行されてようやく、ホッと胸を撫で下ろす始末。。。
 それ以外にも、パスポートや航空チケットの心配に始まって、エコノミークラスで半日近いフライト時間が耐えられるのだろうかとか、現地で迷ってしまったらどうしようとか、時差ボケの心配とか、乗り換えは間に合うだろうかとか、言葉は通じるのか、果ては外人CAに冷たくされたらどうしよう…とか(苦笑)。航空チケット予約から出発当日まで、ワクワクというよりは不安と心配の方が勝っていたのは確かでした。結局はすべて杞憂に終わったのですけれど、歳をとるほどに何事にも腰を上げるのが億劫になるというのは、こういうことなのだなと、痛いほどにわかりました。
 ただ、こうも思えたのです。逆に色々と不安であるからこそ、自ずと準備にも慎重になるし、いざ事件が起きたときの対処法(こうすれば何とかなるはず!という安全弁)も無意識のうちに頭の片隅に用意していることに気付いて、あー、これが不惑ということなのかも知れない、と。若いころは体力に任せて突進して、そのぶん失敗も多かったけれど、歳を重ねて体力も衰えてきたいま、それをカバー出来るのは、そうした失敗体験を重ねてきたからこそ蓄積できた「智慧」なんだよな、と。(我ながら「エラソーに言ってやがる」と思いますけどね。笑)。
 

 そして、いよいよ出発。日本からスウェーデンまでの直行便はまだ無くて、私が往路で利用したのは、LOTポーランド航空でした。「成田→ワルシャワ」間のポーランド航空と、「ワルシャワストックホルム」間はLOT傘下のユーロベルリン便。ワルシャワ行きの飛行機では、3列席のど真ん中の席で、前後左右アングロサクソン系またはラテン系(「非アジア」系)の人々に囲まれて、緊張しながらもいよいよ異国に旅立つ実感が湧いてきます。機内では通路側のポーランド人らしい年配の男性が荷物を頭上ラックに入れるのを手伝ってくれたり、食事時は決して美味しいとは言えない同じ機内食を狭い椅子で肩を寄せ合って食べたり(「パスタ」のサイドディッシュに「日本そば」、そしてパンが添えられるという、サプライズメニュー!)、どちらかが立ち上がったチャンスに合わせて一緒にトイレに向かったり、会話はほとんどなくてもそれだけで、異人種の異邦人同士がなんとなく親近感を共有出来てしまう気がするのが、不思議でした。当初の不安はどこへ、こうして往路の機内で早くも「人類皆兄弟的」な、安っぽ〜い地球人感覚に浸りきってしまったワタシ、単純ですね(笑)。
 
 日本の中で日本人に囲まれて生活しているとどうしても、無意識に小さな差異を探し出して「他人」の線を引いて自分を守ろうとしてしまうのだと思います。そうしておかないと、おそらく自分も同じく持っている日本人としての嫌な部分が、あまりに周囲の人々の姿から見え過ぎてしまうからかも知れません。でもいざ国を一歩出れば、歴史、文化、習慣、気候、肌の色・・・、あらゆるものが違う環境で育ってきた人々ばかりであり、最初から自分と違っているのは当然であって、そうなれば逆に同じ人間として、共通の部分を肯定的に探し出さざるを得なくなるわけです。違っていて当然だけれど、同じ人間には違いない、ということ。

 他人に対するそうした見方や心の持ち方を、ずっと忘れていたのかもしれない。ワルシャワ空港の待ち合わせ時間に早くも「旅人」気取り、空港内のビアパブでひとりビールを飲みながら、そんなことを考えていた私でした。
 
旅立つまでが随分と長くなってしまいました・・・。以上がエピローグでして、スウェーデン旅行本編は、また次回記します。