20周年。の娘。たち

二十歳のモーニング娘。(初回生産限定盤)(DVD付)
 「モーニング娘。まるっと20周年スペシャル!」という番組が、3月31日の深夜から4時間にわたって放送されました。何せ、20年間のシングル曲を一挙放送、というわけで、かつてファンだった(苦笑)ワタシとしては、こりゃ観なくちゃ、ということで、録画。
 BSは、たまにこういったマニアックな企画をしてくれるから、嬉しいわよね。それも、国営放送だもの。(前回の記事で取り上げた「弟の夫」も、そうでしたわね。)
 結局次の休みの日に番組を一気見して(正直、すご〜く疲れた・・・)、モー娘。は、つんくのライフワークとして(ひとりのプロデューサーの“おもちゃ化”していることなど)その是非はあるものの、20年というその歴史だけで充分、存在価値あるグループになっていたということがわかったのよね。
 継続は力なり。
 つんくは、彼本人には色々なことがあったけれど、基本は変わらない。こと娘たちに賭ける情熱と愛情に関しては。(ニンゲンはどうあれ、そう簡単に変われるものではないのだ。)
 デビューから数年は、テレビ番組(「浅ヤン」)とリンクしてのメンバー選抜や脱退をライブ感覚で追う企画やユニット活動など、アイデアの勝利。つんく自身が番組で振り返っていたように、モー娘。という素材を題材にしてさまざまなアイデアが溢れ、それがことごとく当たっていた時期。
 しかしメンバーも時代も、目まぐるしく変化を繰り返す中、変わらない(変われない?)プロデューサー・つんくのアイデアは少しずつ枯渇しはじめて、モー娘。人気は下降線をたどり、試行錯誤の時代が続くのね。
 そして時が経過して、ある時期から、メンバーの顔ぶれと本人たちの指向でグループの方向性が変わり始めて(つんく曰く「ヘタな娘がひとりもいなかった」という、いわゆる“プラチナ期”など)、最終的には時代の中での立ち位置が大きく変化していくようになる。
 今や、アイドルという定義は大人数のグループでこそ成り立つ時代であり、歌ではなくキャラで売る時代であり、テレビで見るのではなくライブで直接“会いに行く”時代に変わっていて。しまいには中学校の授業にダンスが科目として採り入れられるという、20年前には想像も出来なかったことが現実化していて。少女たちがより現実的に「クールにダンスしながら歌う、憧れの対象:アイドル」として彼女たちを見るようになってきたということね。モーニング娘。は、大人数&口パク&握手作戦で売るアキバ系とは一線を画す「実力派」として、いつの間にかその地位が確立していたわけで。
 その、地動説から天動説に切り替わるような発想の転換が、このグループへの評価のカギなのだろうと思う。20年が経過するなかで、いつの間にかその存在が「異色」から「定番」になっていた、そんな感じ。
 
 とはいえ、今では多人数アイドル群雄割拠のなか、メンバーが何人いるのか、誰が誰なのかも全くわからぬまま、ただ茫然と彼女らを見つめるだけの50代半ばのワタシ。残念ながらワタシにとって今のモー娘。は、いわゆる「地下アイドル」と変わらなかったりもするわけで。(ファンのみなさま、ごめんなさい。)
 アイドルそのものが全体にマニアックなものに「個別化」「分散化」してメインストリームから再び遠ざかりつつあるように感じる昨今、これからどのようにその存在価値をキープしていくのか、見届けていきたいと思う。
 
 最後に時代の中で産み落とされた隠れた名曲の数々を紹介しておきますね。
Memory 青春の光」(1999)。海外録音。つんく曰く「好きなことをやりすぎた」。ヤグチのファルセットのハモリにゾクゾク。
 
THE マンパワー!!!」(2005)。これは初期モー娘。の中でダンスフォーメーションの複雑さでトップクラス。目が離せません。
 
リゾナント ブルー」(2008)。プラチナ期のカッコよさが表れた傑作。
 
時空を超え、宇宙を超え」(2014)。新生モー娘。クール・ジャパンの流れで海外でも人気が出始めたころ。