BOXセットの価値について。言わせて!

 迷っていた『岩崎宏美30th anniversary box』購入に踏み切った。岩崎宏美 30TH ANNIVERSARY BOX
某オンライン購入サイトで「残り2セット」と表示されていたのにつられてしまった。CD7枚、DVD3枚セット定価25,200円也。今年の夏のボーナス唯一の嗜好品購入だ。
 岩崎宏美は70年代の全盛期から大好きな歌手だし、今や数少ない日本を代表する「現役の」実力派ポップスシンガーの一人であると思っている。俺にとってそんな存在である彼女の、歴史の集大成たるBOXセットに購入意欲が掻き立てられないはずもない。昨年4月の発売時からチェックしていた俺が、しかしどうしても手を伸ばせなかったのは、その価格のせいだ。
 BOXセットで言えば、山口百恵の『MOMOE PREMIUM』は約3万円、CD24枚。南沙織『CYNTHIA ANTHOLOGY』が14,000円、CD5枚・DVD1枚。そしてアイドル系BOXセットの先駆けたる、太田裕美太田裕美の軌跡』は11,000円、CD6枚だ。それに比べて、やはりこの岩崎宏美BOXは高すぎる印象が強かったのだ。BOXセットにもかかわらず1枚2,500円相当とは、どうも足元を見られているような印象があり、1年以上手が伸びなかったのだ。(ちなみに桜田淳子『そよ風の天使』が15,750円、CD5枚・DVD1枚。これも1枚2,500円相当で一緒。レコード会社(V社)の販売方針なのかも。)
 どうも、CD,DVDのBOXセットというのは強烈にマニア心をくすぐる分、その価格は青天井になりがちな気配がある。限定生産などの希少価値を付けることでプレミア価格で販売することが可能だからだ。「これだけしか作らないけど、欲しい?じゃあ、買えば?但し、高いよ。」そう言われている気分になる。特に、往年のアイドル系はCDで全曲コンプリートできていない場合が多いから、最近続々と企画が立ち上がっているA級崩れのアイドルには特にそんなケースが増えているような気がしてならない。(ちなみに○原芳○プレミアムBOXはCD6枚、DVD1枚で18,900だそうな。俺は買わないけど。)
 さて、件の『岩崎宏美30th anniversary box』。なんやかんや言って、とても充実してました、「買い」です(笑)。これはさすがに、歌手そのものの実力でもあるし、それ以外にもブックレットやパッケージの造りがとにかくしっかりしてる。保存版としてしっかり持ってて下さいね、というレコード会社の姿勢が伝わってきて、とても好印象。
 リマスタリングされて収録された阿久−筒美ラインによる初期の名曲群の素晴らしさはいうまでもなく、過去のライブ音源からの編集で構成されたDISC-7が俺としてはベスト。「愛の賛歌」「明日に架ける橋」「ジョリーン」「コパカバーナ」「ザナドウ」等など、選曲ははっきり言って疑問だらけだけど、これらのベタな曲たちを無理矢理な日本語訳詞でまるで自分の持ち歌のように歌い上げてしまう歌手、岩崎宏美。まるでトロール船のように網にかかった観客を強引に陸(宏美の世界)に引っ張りあげてしまうようなその実力に完敗(もしくは乾杯)だ。特にこのCDは、デビュー当時からのライブ音源を集めた内容だけに、デビュー当初からすでにそのライブで発揮されていた、彼女のまだ知りえなかった真の実力と魅力を改めて知るには良い1枚であった。(ちなみに数多い彼女のライブアルバムは現在すべて未CD化だそうだ。)
 でも、俺の査定はどう見ても20,000円かな?(高いには変わりない。だって、やっぱり太田裕美BOXがすべての基準だもの。)