そしてコイズミ復活?

 小泉人気再燃か? というわけで、今回は小泉さんのことを書きたい。但し、キョンキョンね。
KYON3
 2002年末発売3枚組「Kyon3 - Koizumi The Great 51」をよく聴く。デビュー20周年を記念して発売された、いわゆるコンプリートベスト盤。1〜2枚目がシングル集、3枚目はアルバムからのピックアップによる「裏ベスト」という構成。このCDセット、デザインが凝っている割にブックレットがノベルティ価値全く無しのお粗末さだったり、選曲もあんみつ姫名義の「クライマックスご一緒に」が外れていたりでファンの間ではあまり評価が芳しいものではないようだ。でも、単純に彼女のキラキラとしたヒット曲群が好きな俺としては、このベスト盤で十分OK。一応全曲リマスタリングだしね。特に89年から99年のシングル集であるDisc2がお気に入り。
 このCDセットの曲を改めて見てみると、歌手として、いわゆる第一線での活動期間としては、小泉今日子って本当に驚くほど長期間にわたって上位をキープしてたんだ、ってことがよくわかる。83年「まっ赤な女の子」での本格的ブレイクから、95年にロングヒットした「Beautiful Girls」までの途切れることない13年間。
 例えば松田聖子は80年にデビューしてから今日まで、一応トップ歌手として君臨しているけれど、常に第一線かというと、歌手としての成績では90年代以降、数えるほどしかトップ10ヒットが無いのね。その間にはアメリカでの活動など、事実上活動休止していた期間も多かったりするわけで。そういった意味では、実際第一線にいた時期は、もしかしたら小泉今日子より短いかもしれない。聖子が25年間を生き抜いて来たのは、歌以外の部分での絶妙なタイミングでの話題提供(スキャンダルを含め)によるもの、とも言えると思う。
 一方、小泉今日子の場合、凄いのは「途切れることなく13年」ということだ。90年代は、よりアーティスト志向を強め、年に1〜2枚のシングルしか発表しなくなる彼女だが、それでも、最高位14位に終わった「Beautiful Girls」までの曲はすべてトップテンに送り込んでいる。実際に90年代に入ってからの自作詞の曲、そして歌声は、ますます瑞々しさを増していったように思える。俺がこのベスト盤でDisc2を愛聴する所以だ。
 ここで、キョンキョンの歌唱力について書いておきたい。彼女、デビュー当時からあまり歌唱力では評価されなかったけど、実際、時々音が思いっきりフラットになったりして、危ういことは確か。しかし「まっ赤な女の子」でハジけてからは、そんな未熟な歌唱テクニックを補って余りある、独特のニュアンス唱法を身につけていたように思う。「艶姿ナミダ娘」での女の子の切羽詰った恋心の表出や、「ヤマトナデシコ七変化」での「アハ〜ン」というため息のゾクゾクするなまめかしさ。それがひとつの完成を見るのは「なんてったってアイドル」で表現した、ちょっとハスッパであっけらかんとしたティーン・アイドル像だ。作られた「歌声」ではなくどこまでも地声に近い「喉声」で歌われる、しかしニュアンスたっぷりのその歌唱だからこそ、秋元康が演出したフィクションにあれほどリアリティを与えられたのではないか、とも思う。
 そして、80年代後半から90年代は、新進気鋭の若手ミュージシャンと組んで、よりスムースに、時にハスキーな、独特のウィスパーボイスへと進化していく。名曲「あなたに会えてよかった」のブリッジ部分、「思い出が、星になる〜」のワンフレーズに込められた、切なさ、憧憬、諦め、そして微かな希望。ただのテクニックではない彼女ならではの何かが、そこには集約されているように思う。彼女の歌唱力は、もっともっと評価されてもいいのに、と思うのは俺だけなのかな。
 さて、常に「自分を見つめて」(←この曲も好きで、随分勇気づけられたものだ)、自らの足で次のステップへと進んできた、キョンキョン。その歩みが決して進む道を踏み誤ることがない、優れた時代感覚と感性に裏打ちされているものであることは、確かだ。
 2005年現在、彼女は、結婚を機に抑え気味になった仕事のペースを今もキープしていて、第一線から退いているように見える。最新アルバムは2003年に発売の「厚木IC」。この中で、この秋、竹中直人が映画化して話題(一部で)のハナレグミ(スーパーバタードッグの)「さよならCOLOR」なんかをいち早くカバーしていたりする。サスガ!としか言いようがない。女優業としては、地道に舞台や、違った意味で話題作となってしまった映画「空中庭園」に出演。
 コイズミ復活、の準備は着々と進んでいるのか?
 俺は期待しているよ。