忍び寄るオヤジの影・・・

 いくら俺がフケ専だからって、暗闇でオヤジに襲われた、とかいう類のハナシじゃなくってよ。ごめんなさい。
 今日、夜のニュース番組をボーっと見ながら、俺、耳をほじってたのね。そしたら、「ぞりっ」て何かが指先に触れたのだ。
 何だろう?
 もう一度指先で感触を確かめてみたら、やっぱり何か細いものが、指先に絡んでくるような気がしたので、そのまま指の腹で引っ張ってみたら、耳の穴の皮膚が突っ張る感覚が・・・。
 「耳毛」だった。。 それも、極太のヤツが1本。
 あわてて洗面所の鏡の前に行って、鋏で切ったのだけど。ちょっと落ち込んだ。
 そういえば、ウチの親父も、爺ちゃんも、晩年は、溢れる耳毛がまるでバンパイアのようっだったっけ。四十路を越え、いよいよ忍び寄るオヤジの影。。もともと俺は親父ゆずりで体毛も濃いから、血は争えないんだけどね。それは仕方ないにしても、俺、ふと数十年後の自分を、耳毛ぼうぼう、おまけに眉毛ぼうぼう、の「村山富市」に重ね合わせてしまったのだ。うわ気持ち悪い。
 そういえば、ピアスを開けた耳たぶから出た白い糸を引っ張ると失明する、なんていう都市伝説があったね。
 幸い、俺の場合は「真っ黒な毛」だったからね。白髪じゃなかっただけ、良しとする?