あの頃、ベストテン番組は玩具(おもちゃ)だった(?)

 チャート番組が好きだった。俺が小学生から中学生を過ごした70年代後半、週末のラジオはベストテン番組花盛りだったから、それを書き留め、自分独自のチャートを集計するというのがあの頃の楽しみだった。(なんて暗い子供だったんだろ。)参考データは以下の5つ。

それを毎週ノートに記録して、それぞれ1位35点、2位32点てな具合に点数を付ける。5番組全部で1位なら総合得点175点で文句無しにその曲は総合1位だけど、例えば①1位が3番組でもあと2番組が3位なら163点、②1位が2番組でもあとは全部2位なら166点となり、②が総合1位になったりする。その辺が面白かったんだな。「渚のシンドバッド(PL)」「イミテイションゴールド(百恵)」「勝手にしやがれ(ジュリー)」が三つ巴で首位を争っていた77年夏のチャートなんて、とても面白かった記憶がある。
 また、コーセー歌謡ベストテンでは他の化粧品会社のCM曲は全然チャートインしなかったり、全日本歌謡選抜はなぜか榊原郁恵がトップテン常連だったり、全国歌謡ベストテンはデータがやたら古かったりと、個別に見ると歪みが気になるチャート番組もあった。でも俺の集計では妙に信憑性のあるチャートが出来上がるのが、子供ながら「してやったり」だった。ロイジェームスの不二家歌謡ベストテンは朝早かったから、寝坊して聞き忘れた時は1日ブルーになって、仕方ないからチャートを捏造しちゃったりして、その辺はやっぱり子供だけど、納得いかないから翌週の放送で「先週よりワンランクダウン」とか言うのを必死に書き留めて、訂正版を作ったりしてね。
 そして日曜の夜、集計が終わったノートを見ながら、俺がDJになりきって、「さて、今週の第10位は、先週と変わらず、太田裕美「九月の雨」です・・・」と想像のベストテン番組が始まるわけ。
 残念ながら、そのノートは捨ててしまったからはっきりしないが、77年から80年頃まで続けていたように思う。やめた理由は、高校生活が週末まで侵食してきてとてもラジオ三昧は出来なくなったことと、山口百恵が引退してしまったことだったかも知れないがよく覚えていない。いずれにしても、俺の歌謡曲好きは、チャート番組好きから始まっているわけで、最近のチャートのつまらなさには寂しいものがある。