Dreams Come True「琥珀の月」
- アーティスト: DREAMS COME TRUE,吉田美和,中村正人
- 出版社/メーカー: エピックレコードジャパン
- 発売日: 1995/03/25
- メディア: CD
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さて、「琥珀の月」。アルバム『DELICIOUS』(95年)の一曲。もう10年前の曲なのだが、時々この曲が聴きたくなって『DELICIOUS』をプレーヤーのトレーに乗せる。吉田美和はもう結婚したけど、この曲を聴く限りやっぱり中村正人とデキてたんじゃないかな。そう思わせるくらいに詞と曲のコンビネーションがいいのだ。
吉田美和の詞って、フツウの女の子の気持ちや日常をすごく鮮やかに切り取っている、というような評価が一般的だろう。ユーミンと比較されることもあったように思う。でも、絶対に違う。ユーミンはどこか高みから一般市民の恋愛を見ているのに対して、吉田美和の視点はどこまでも「プライベート」だ。「図書館で借りた空の写真集(眼鏡越しの空)」とか、「あなたが好きなモンティ・パイソン(go for it!)」とか、この曲に出てくる「ブーツの色に似ている月の色」とか、これは実体験で出会わないと出てこないキーワードだ(想像で生まれたものだとすれば凄すぎないか?)。その結果、ユーミンの詞のシチュエーションはとても「普遍的なリアル」なのだが、吉田美和の詞世界は下手をすると「「オシャベリ好きな女の子がお茶しながら自分のことを駄弁ってる」的なリアル」。
この曲でもそんな吉田美和ワールドが広がっているのだが、前半、淡い好意を抱いている彼と「友達になる」計画で誘いをかける彼女の小さなエピソードが、イギリス民謡風の牧歌的なメロディーとアレンジで綴られる。そしてドオオ〜ンという低音とともに、混沌とした間奏のあと後半のコーラス。結局二人の関係に進展もないまま、彼に対する切ない気持ちだけが募っていく自分に気付く彼女。この後半部分のメロディーが、前半のメロディーのモチーフをそのまま短調(マイナー)に持ってきているのだ。ここが凄い。歌詞は前半の情景中心の描写から、彼女の心情の独白に移る、見事な対比。そして曲調の劇的な変化。こんな曲、タダモノには作れません。それが、二人の合作、っていうところもまたオドロキなのである。
ちなみに、同様のアイデアで作られた曲としてはKinki Kidsの「好きになってく 愛してく(’00)」というのがあったような・・・。これについてはコメントを控えさせていただきます。