通勤電車の忌々しい人々〜立ち位置、ヘン

 通勤電車に毎日乗っていると、イライラする。自分の前側のスペースは確保するくせに、背後がいくら混みあっていても全然詰めようとしないリーマン(使えなそう。。)とか、わざとまわりの人と反対向きに立って人々の視線のやり場をかき乱す女子高生(おバカそう。。)たちとか、ドアが開いても真ん中から一歩も動かずに電車をフン詰まり状態にさせるオバハン(性格悪そう。。)とか、その「存在のしかた」そのものが迷惑な人たちが多くて。
 今朝は、少し空(す)いている電車に乗った。俺は扉から少しだけ奥に入った位置でつり革につかまり、文庫本を読んでいた。乗客の多い駅に止まり、すぐにつり革一本分あけた隣に人が立った。それでもさほど混んでいなかったので、身体は自分の「なわばり」をしっかり確保できていて、不快感はなかった。しかしそれも束の間、俺の肩越しに一本の男の手が伸びてきた。隣の人と俺との間に1本余っているつり革につかまろうとしているのである。
 奥のつり革はまだ沢山余っているし、俺が立っているのとは反対側のシートには、つり革につかまっている人さえまばらだ。なのに、なぜ、こんな窮屈な場所に立とうというのか!肩越しに伸びる手の持ち主は、大きな鞄を下げた中年男性。背が低いため、つり革に手を伸ばすのがやっとで、俺の背中に身体をぴったりくっつけるような体勢になっている。(タイプじゃない男だから全然嬉しくないし。)おまけに大きな鞄は床に下ろしてしまったから、急に足元まで窮屈になってしまった。
 おまえ、その立ち位置、ヘンだろ!なんでわざわざこんな窮屈なところに立つんだよ!空いてる場所はほかに一杯あんだろうが!
 そう吐き捨てて、ひと睨みしてから、場所を移ろうか。
 そう思った。そんなことできるはずないけど。でもなぜか「動いたら俺の負けになる」ような気がしたから、俺は意地でもその場所を動かず、その男のために身体をずらして空間を空けてやることもしなかったのだ。
 そして、いくつ目かの駅で、その男は降りていった。つり革一本あけた隣の人と一緒に。二人は会社の同僚か何かで、俺の後ろにいた男は、単に同僚の近くにいようとしただけ、らしいのだ。
 んなら、知り合いらしく会話ぐらいしろよ!
 俺、心の中で悪態をついたけど、なんだかすごく空しかった・・・。