筒美ソング マイ・ベストテン 〜その1

 このブログにおいて常に上位安定の検索キイワード、それが、「筒美京平」さん。つまり「筒美京平」を辿って、間違ってこのブログに来ちゃってる人が多い、ということだ。俺のフェイバリットアーティストは太田裕美さんだから、このブログでも、彼女にたくさんの曲を提供した筒美先生に言及する機会が多かったのは間違いないけれど、そもそも俺が歌謡曲好きになったきっかけは子供の頃に聴いた「ブルーライト・ヨコハマ」だったりするので、自分の音楽遍歴自体、筒美作品抜きには語れないことも確かなのだ。
 今回はそんなわけで大袈裟にも「筒美ソング マイ・ベストテン」というテーマを選んでみた。なんたって筒美ソングとの付き合いは実に40年近くに及ぶので、星の数ほどある名曲の中から10曲を選ぶのは正直至難の業なのだけど、とりあえず以下のとおり基準を決めて選んでみることにした。
①1歌手につき1曲のみとする。
②シングルA面に限る。
③出来るだけ各年代バランスよくチョイスする。
以上。③の「年代」は本来配慮する必要は無いのだけれども、しばりを多くしたほうが却って10曲を絞りやすいということもあったので、敢えて基準に入れてみた。
 さて、いよいよマイ・ベストテンの10曲の発表といきたいところだが、その前にまずは選外作品11位〜20位の10曲を紹介することになってしまったことをお詫びしておきたい(結局10曲に絞れなかったんじゃん、てことで。笑)。
 惜しくもトップテン選外の曲たちはこんな感じです。年代順に紹介。

 これは外せないよね。俺も子供の頃よく口ずさんだ覚えがある。誰もキーヨのように上手くは歌えないけれど、みんなが気持ちよく口ずさめる歌。これこそが歌謡曲だよね。

  • 真夏の出来事(平山三紀 71年) ドーナツ盤メモリー~平山三紀

 筒美先生の秘蔵っ子ミキさんの代表曲。タモリ倶楽部「廃盤アワー」ではずっと1位だったような気がする。ミキさんの魔女声に詞・曲・アレンジが渾然一体となって聴くほどに魅力が滲み出してくる永遠のスルメ・ソング。タンタン、タタンタ・・・とイントロからずっと続くリズム・パターンがクセになるのよね、これ。

  • 処女航海(優雅 74年)
  • ドリーム岩崎宏美 76年)

 続いては筒美アレンジのカッコ良さにシビれる2曲。
アイドル・ミラクルバイブルシリーズ 優雅 筒美京平を歌う アンド・モア 「処女航海」は台湾出身の優雅(YU−YA)のデビュー曲。クラヴィネットをフィーチャーしたクールなアレンジにソウルフルな優雅のボーカルが乗って跳ねる跳ねる。S・ワンダー「迷信」の換骨脱胎というか本家をも凌駕しかねない完成度。知られざるジャパニーズソウルの傑作。岩崎宏美 30TH ANNIVERSARY BOX 
一方の宏美さんは言わずと知れた筒美ディスコの歌姫。「ロマンス」から始まるカタカナタイトルソングには名曲が多いが、その極め付けが「ドリーム」。この曲におけるファンキーなブラス&リズム隊のカッコよさはアイドルとか歌謡曲の枠を超越して、今もなお遥か高みから低迷するJ-POP界を見下ろしている、といった感じ。

 ヒロミ・ゴーは筒美ポップス史上の最重要人物だから、イイ曲が多くて選ぶのに困るんだけど、特に「小さな体験」「君は特別」「恋の弱味」といったソウル・ディスコ路線に名曲がゴロゴロ転がっている。でもここは肩の力が抜けて大人のヒロミのダンディズムが漂う、この小粋な隠れた名曲をチョイス。とにかくお洒落な歌謡ポップスです。

  • オリエンタル・ムーン(金井夕子 79年)

 前回の日記でも取り上げたばかりの夕子りん。今の俺の中ではイチ押しの曲なのです。筒美流ポップスのおいしいメロディーをこれでもかと詰め込んだ、帝国ホテル製・洋風幕の内弁当みたいな曲。お腹いっぱいになります。

 こちらも日記で取り上げたばかりの優ちゃん。この曲にはキラキラした中にちらっと見え隠れする哀愁があって、どうしてもそれがこの曲がヒットしていた当時の、浪人生活をしていた自分の心境(希望と不安に揺れ動いていた、あの頃)とオーバーラップしてしまうのね。言わば俺にとっての「胸キュン」ソングNO1なのです。

 薬師丸さんの「のっぺり」としたファルセットボイスから究極のエレガンスを引き出した、極上の筒美メロディーにただただ酔うばかり。このメジャーキイとマイナーキイの絶妙なブレンドこそ筒美ポップスの真骨頂だ。武部聡志のアレンジもGOOD。

  • STRIPE BLUE(少年隊 87年)BEST OF 少年隊

 「君だけに」「ABC」など、少年隊にも筒美先生の佳曲はたくさん提供されているけれど、ジャニ系きっての「ショウビズ系」グループだった彼らにまさにピッタリの、ソリッドなスピード感に溢れる快作。青い水平線を滑るかのような広がりを感じさせるサビがとても心地良い名曲。

 90年代の筒美ソングの代表。06年にアムロちゃんがカバーしたのも記憶に新しい。筒美先生は90年代に入ってブランクがあったが、五線紙の上を踊るようなメロディーの優美さは健在で、天才メロディーメイカーの枯れることの無い才能を印象付けた1曲。
 マニアの方には、え?こんな曲を選ぶの?とか、これが選外なの?とかいろいろご意見もあるでしょうが、いい歳してくだらないことしてるよね、っていうのがイチバン尤もなご意見かもね。なんて、ちょっと自己弁護めいたことを言いつつ、次回のトップテンにつづく。