夢の中へ〜究極の「まったりソング」特集

 数年前のことだけど、当時付き合っていた人がお店をやっていて、店で流すBGMを探してたの。それで、俺は自分の好きな曲をピックアップしてCDに焼いてその人にプレゼントしたのね。そうしたら、ある日その人から「なんだか眠くなる選曲だよね」なんて言われてちょっとムッとしたことがある。
 でもね、言われてみると俺、そういう曲が大好きなのかもしれない。つまり、静かで、テンポがゆったりしていて、アコースティック、キイはメジャーで、どちらかというと淡々とした曲。ドラマチックな盛り上がりはあまりなくて、だからいわゆるバラード、というのとはちょっと違う。
 それはひとことで言えば、眠気を誘う「まったりソング」。
 そういえば若い頃、これはスゴイ、と感動した曲があった。ロバータ・フラックの「The First Time Ever I Saw Your Face」という1972年の曲なんだけど、これを大学生の頃に初めて聴いてすごく感動して、当時一緒に音楽サークルで活動していた親友に聴かせたら「オレ、こういうの駄目。」の一言で片付けられたのだっけ。この曲こそ知る人ぞ知る、超スローテンポの究極の「まったりソング」だったから、当時から趣味は変わってないのかもね。
 そんなわけで今回は(ちょっと開き直って)、暖かくした冬の部屋でまどろみながら聴くのにぴったりな、おすすめの「まったりソング」を集めてみました。ちょっとした癒しの曲集です。さてあなたは、最後まで眠らずに読むことができるか(笑)?
 まずは、ここで何度も取り上げているマイラバ風と空のキリムもともと小林武史サウンドプロダクトはとても好みだったのだけど、近年のアコースティック&癒し路線は、俺にとってはツボにはまりまくりなのです。「風と空のキリム」。凛とした空気の中を漂うAKKOの優しい声に癒される。
 次に、前回紹介した平原綾香の「明日Jupiter~平原綾香ベストは、近年のまったりソングの金字塔でしょう。イントロもアウトロもなく、ゆっくりと歌が始まって、たいした盛り上がりもなくすっと終わる。いわば歌の室内楽みたいです。同様の歌姫系アーティストでは、元ちとせいつか風になる日」。いつか風になる日こちらはオキナワの平和な午後のまどろみを感じさせてくれるようなゆったりした曲調で、思わずハンモックで昼寝したくなるのよね。
 大御所たちも素敵な「まったりソング」を書いてます。まず山下達郎の「蒼氓僕の中の少年は、ケースケ桑田夫妻も加わったというエンディングのコーラスをはじめとして、温かくて柔らかいサウンドが人のぬくもりを感じさせてくれる名曲。そして井上陽水の「結詞ガイドのいない夜。こちらは一転して音数の少ないアレンジと硬質な陽水さんのボーカルが雪景色のしんしんとした静けさを感じさせてくれる曲。以上2曲ともに漢字2字のタイトルでCMソングという共通点がある。このテの曲は美しい画面と相性がいいのかもね。
 続いては、70年代当時から独特の才気溢れる音作りでオンリーワンの地位を確立していたオフコースオフコース・グレイテストヒッツ 1969-1989「さよなら」とか「Yes No」とかハデなサビを持ったヒット曲の印象も強いけれど、彼ら、実は国内でのまったりソングアーティストの草分けかも。「生まれ来る子供たちのために」「言葉にできない」は、今でこそ名曲として語り継がれているものの、発売当時はその曲調のあまりの地味さからか、ヒットチャートでは見向きもされなかったのよね。
 さて、アイドル分野でのマッタリ系はどうか、というと、やっぱりインパクト重視のアイドル界ではあまり見当たらない・・・と思いきや、あるんですね。というか、わがセイコさんは歌謡界に「マッタリ系」を広めた伝道師、と言っても過言ではないかも。それは「小麦色のマーメイド」。[rakuten:disk-otsuka:529177:image:small]スローなリズムとエッジを抑えたサウンドが、まるで気だるい夏の暑さを表わしているようで、こんなジミでマッタリした曲を真夏の勝負曲に持ってきて、しかも大ヒットさせたセイコは、やっぱり偉大だと思う。ただし、最近の自作バラードはあまりにワンパで退屈で、別な意味で眠くなっちゃう・・・ファンとしての苦言ね(笑)。
 一方、明菜の場合はやっぱり「ど」マイナー、「水に挿した花」が秀逸。水に挿した花もともと彼女のウィスパー唱法はどこかぼんやりとして捉えどころが無い印象なのだけど、この曲はそんな彼女の独特な歌い方がピアノ中心の抑えたバッキングと溶け合って、オンリーワンのマッタリ世界を創出。ぼんやりとこの世界に浸っていると、いつの間に魔女アキナの魔力に惹き込まれていたりしますので、ご用心。
 アーティスト女優・ミポリンも、まったりソングがお得意。ジャジーな「Midnight Taxi」、COLLECTION IV/中山美穂[CD]【返品種別A】オーガニックな「幸せになるために」。そしてミステリアスな「マーチカラー」。どれもマッタリとしながらも独自の空気感を持った曲たち。ささやくようなミポリンのボーカルが、心地よい眠気を誘うこと受けあい。
 そうそう忘れちゃいけない、ジュンコ・桜田も、活動後期に「夕暮れはラブ・ソング」というムーディーなマッタリ系ソングをリリースしてたのよね。[rakuten:rdownload:10787876:image:small]ホントに盛り上がりも何にもない、ジミ〜な曲ながら、これは聞くほどに味が出る深町純作曲の知られざる名曲。ただしジュンコの粘り気たっぷりのボーカルは、マッタリというよりネットリ系かもね?
 その他の男性ボーカルでは、山崎まさよしOne more time,One more chance」とか、森山直太朗」がオススメ。
 ただしおそらくもう、あなたはこれらの曲を最後まで聴かないうちに、夢の中かもしれないけどね・・・。

 今日もお付き合いありがとうございました。おヒマなヒトは、こんな曲を集めてベッドのお供にいかがでしょう?