J-popがオトナだった時代〜『ボサノバタイム』
- アーティスト: オムニバス,五十嵐浩晃,麻倉未稀,郷ひろみ,門あさ美,長谷直美,森山良子,松田聖子,山口百恵,丸山圭子,八神純子
- 出版社/メーカー: Sony Music Direct
- 発売日: 2008/07/02
- メディア: CD
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参考過去ログ→「コンピレーションCDに思うあれこれ」
でも、今回紹介する『ボサノバタイム』は素直に“あ、いいわ”って思えたのね。そう、そういえばワタシも過去のエントリーで「歌謡ワルツ」とか「まったりソング」とか「ベタなサマー・ソング」とか、擬似コンピレーション・アルバムを勝手に(笑)企画してきたわけなのだけど、この『ボサノバタイム』というCDは、文字通り“ボサ・ノヴァ”のリズムに彩られたオシャレなJ-pop(というか、歌謡曲ね。)のヒット曲を集めたコンピレーション・アルバムで、あれ?企画を盗まれたかしら?みたいな(笑)。もう、hiroc-fontanaとしては“ありがとう!”みたいな(苦笑)。
ラインナップは、丸山圭子の76年のヒット「どうぞこのまま」をオープニングに、先日も“思い出のメロディー”(!)で変わらぬ歌声を披露した八神純子の名曲「思い出は美しすぎて」、ケイスケ・桑田が憑依したみたいな歌い方になっちゃった中村雅俊の大ヒット「恋人も濡れる街角」と続く。その後も文字通りエバーグリーンなピュア・ソング・尾崎亜美「マイ・ピュア・レディ」、サーカス「Mr.サマータイム」のあとには本家・ハイファイセットの知る人ぞ知る名曲「メモランダム」、そして我らが太田裕美さんの渋いヒット「恋愛遊戯」、松本隆つながり南佳孝「日付変更線」が来たかと思えば、裕美さんの親友マチコたんの超名曲「ブルー」まで・・・もう、たまんない!
その他渋いところでは、ちょっとゲイチックな魅力の五十嵐浩晃「愛は風まかせ」、当時はイイ女路線だったのに(・・・笑)な麻倉未稀「ミスティ・トワイライト」、結局ナゾの美人シンガーのまま終わった門あさ美「ファッシネイション」などなど。ここでしか聴けない曲も満載で、コンピレーションCDとして価値が高い!と言えるラインナップ。
そして白眉は、かつてこのブログでも取り上げたセイコの隠れたボッサの名曲「Vacancy」収録・・・と言いたいところだけど、やっぱりソニーだけあって、モモエさんの「夢先案内人」のボッサ・リアレンジ版(アルバム「百恵回帰」に収録)とかヒロミ・ゴーの「ハリウッド・スキャンダル」のボッサ(95年版)まで入れちゃったりで、ちゃっかり専属アーティストを贔屓(&アルバム宣伝)しちゃってるあたりが、やれやれ・・・みたいな。
さて。ちなみにボサ・ノヴァのリズムっていうのは、基本は8ビートでチャカ・チャカ・チャカ・チャカと刻みながらも、裏拍の強調とシンコペーションが加わることで、独特の落ち着いたリズム感が醸し出されるのよね。最近ではバカボンやらのアニメ・ソングをとあるフランス人のボサノバシンガーがオシャレに歌って話題になっているよね。俺が思うに、日本語ってのはもともとリズムが単調だから、エイト・ビートのボサノバには良く合うんだと思う。ボサノバのリズムによってちょっとオシャレ感が加わるし、だから、ボサノバ歌謡にも名曲が多いのね、たぶん。
それにしてもね、「Mr.サマータイム」や「恋愛遊戯」がフツーにヒットしていた時代っていうのは、なんと、J-popが「成熟」していた時代なんでしょう。。。こんな曲を流行歌として聴いていたなんて、ホント、世の中みんながオトナだったのね。
さて、ところでこのCD、もうひとつ大事な何が抜けてる感じがするな、という印象があったのね。それは何かずっと考えていたのだけど、その原因のひとつは多分これだ!と気がついたのだ。
ユーミンの「あの日に帰りたい」。
これを入れればほぼ完璧な選曲だったわね。。。
(それと、しつこいけれどもうひとつだけ言わせて。百恵を無理やり収録するくらいなら代わりにジュンコの「もう一度だけふり向いて」を入れてほしかった・・・。アレもボサノバの名曲なのよね。)