歌姫の失われた90年代・セイコ編〜その1
明菜に続いて、今回はセイコ。われらが松田聖子!の90年代を振り返ってみようと思うのだ。
セイコさんの90年代を振り返るとき、まず、80年代終盤の動きを見ないといけないのね。88年のアルバム『Citron』を最後に松本隆センセイとの決別後、89年にはサンミュージックから独立。その後1年ぶりに発売されたシングル「Precious Heart」で連続ナンバー1獲得記録が途切れちゃう。おまけに同年から紅白歌合戦からもしばらく姿を消すことになり。(その後94年に復活。)89年も押し迫ったころに発売された全曲自作詞のアルバム『Precious Moment』も散々の評価で、最高位6位に終わり、売上げは『Citron』の半分にも及ばず、みたいな・・・。
そんな不穏な空気の中で、セイコたんの90年代はスタートしたわけね。おまけに事務所を独立してまで気合を入れまくっていた全米進出も中途半端な感じで終わってしまい・・・セイコさんにとっては90年代が明けても順風満帆の船出という感じではなかったのよね。
でもその後は、シングル「きっと、また逢える・・・」(92年)「大切なあなた」(93年)をはじめ、「あなたに逢いたくて〜Missing you〜」(96年)では自身初めてのミリオンヒットを達成するなど、散発的ではあるけれどヒット曲をしっかりチャートに送り込んで、まずまず持ち直した感じのセイコさん。とは言っても80年代と比べると、やっぱりそんな立派な成果さえもどこか「薄っぺらさ」が漂ってしまう感じがするのはなぜなのかしら?
まあそれについてはあとでまたしつこく追求していくとして、ここで彼女の90年代のオリジナルアルバムのセールスを振り返っておきしょうか。
どうよ、この立派な成績。1年に1枚ずつ律儀にリリースし続けるのもスゴイけど、なんと97年『My Story』まではすべてアルバムチャートトップテン内に送り込んでいるのよね。『Vanity Fair』の35万枚っていうのは「あなたに逢いたくて」のヒットに拠るところが大きいとは言え、80年代の全盛期に迫る売上げだったりして。ただ、シングルでは大きなヒットの無かった95年の『It's Style'95』のナゾの好成績も考えると、90年代中盤のセイコたん、ナニゲにアーティスト・パワー大復活の好調な時期だったのかもしれない。
ただね、ただですよ。熱心なファンのひとりとしてもね、90年代、この10年間のセイコさんがリリースした百数十曲(アルバム10枚だから、そうよね)の中で、印象に残っている曲って何?と考えると、ホントに思い浮かぶのは上に挙げたシングルヒットくらいの数曲だったりして、やっぱりセイコさんの90年代って、それこそ「失われた10年」としか言いようがないくらいなのだ。
前回の日記で取り上げた明菜、彼女の90年代が一見地味でありながら、フタを開けたら実に内容の濃い10年だっただけに、やっぱりセイコの10年についても、しっかり検証して(半分言い訳をからめて)そこに何か光るものを見出したいわけ、ファンとしてはね。
そんなわけで、熱くなり過ぎていつの間にか1回の文章量では収まりきれなくなった気配なので、次回につづきます。