お初・セイコの2000年代を振り返る

 昨年、無事30周年のアニバーサリーイヤーを終えたセイコさん。コアなファンの間ではかなりの盛り上がりをみせたような気がするのだけど、いかがだったかしら?それにかつてのファンの復活や若いファン層の拡大という意味でも、それなりに効果があったのかも?なんて思う。My Prelude(初回限定盤)
 さて、セイコさんの歩んできた30年というと、ファンの間では「無敵&黄金の80年代」に対して「セルフ化でイマイチだった90年代」というような構図でほぼ定着している感があるのだけど、そういえばその次の「00年代」は?というとまだきちんと検証されていないのよね。今年デビュー31年目、聖子さんも晴れて4ディケイドに突入したことだし、そろそろ直近の10年間を振り返ってみても良い時期かも、ということで、今回、2000年代のセイコさんをいち早く振り返って検証しちゃおうと思います。
 まずは早速2001年以降のアルバムの実績から(ベストアルバム、企画アルバムを除く)見てみましょうか。


・2001年 6月 LOVE & EMOTION VOL.1  19位
・2001年11月 LOVE & EMOTION VOL.2  43位
・2002年 6月 area62       (記録なし)
・2004年 6月 Sunshine           6位
・2005年 4月 fairy              7位
・2005年12月 Under the beautiful stars  34位
・2006年 5月 bless you          14位
・2006年12月 Eternal II          52位
・2007年 6月 Baby's breath       19位
・2008年 5月 My pure melody      15位
・2010年 5月 My Prelude          4位

 ディケイド3周目のスタートは原田真二の、カラッとしているようで実はアクの強い音楽性が色濃く反映された2001年のミニアルバム2部作、『Love&Emotion Vol.1〜2』。LOVE&EMOTION Vol.1(紙ジャケット仕様)こちらは賛否真っ二つ(笑)。21世紀にかける気合は翌年の全米発売盤『area62』で結晶。インディーズリリースのせいか殆ど話題にはならなかったけれど、海外向けに好き勝手やったセイコが生んだ最後の仇花(笑)ともいうべき傑作でした。area 621年空けての『Sunshine』(2004年)は、25周年を機に古巣のソニーに戻っての発売ということで、ベスト盤を絡めた大々的なプロモーションが当たって久々にアルバムトップテンに返り咲いたのよね。こちらは原田真二と80年代に組んだ名盤『Pineapple』を意識したというだけあって、ポップで爽やかな、近年の中では会心の出来栄えかと。パッコン!と大股開きしたジャケットにはちょっと引いたけどね。。。Sunshine(通常盤)(CCCD)ここまでが“原田真二との蜜月”時代。
 続く2005年『Fairy』は、サウンドプロデュースに鳥山雄司を迎えてオーケストラを多用した上品でゴージャスなサウンドが特徴の意欲作。fairyこの作品は個人的にスキ。年末にはこの路線の延長線上でバラード中心のミニ・アルバム『Under the beautiful stars』発売(ごめんなさい、これは未聴なの)。
 2006年は、まさかの小倉良とのコラボ復活で賛否両論渦巻いた『bless you』。だけどこの作品、やっぱりセイコ&小倉の相性の良さが現れた、隠れた名盤だと思うのよね。bless youタイトル曲も良かったしね。その年末には何を思ったのか、アノ90年代のヒット作の続編『Eternal II』をリリースするも、80年代の洋楽カバーで7曲入りという、何とも中途半端な内容で、既にコアなセイコファンにさえ忘れられた作品かもね。この時期のセイコさんは、活動は精力的だった反面、Crazy.Tや藤井隆とのデュエットとか、PawPaw名義でのアニメ主題歌とか、ちょっとした思いつきばかりで動いてた感も。
 この後はいよいよ作詞だけでなく作曲もすべて自作しての2枚の力作をリリース(2007年『Baby’s breath』、2008年『My Pure Melody』)して、シングル盤を含めて意外な高評価を経たのは記憶に新しいところ。Baby’s BreathMy pure melody
 そして1年置いての2010年、満を持して発表された30周年記念盤『My Prelude』は、またまた(やっぱり・・・)気心知れた小倉良と手を携えた作品で、これにはもはやファンもお手上げ(笑)。でもフタをあければ30周年効果で、まさかのオリコン4位という好セールス。内容的には良くも悪くも2000年代のセイコさんを象徴する作品と言えたのかも。
 さて、こうして見ると00年代のセイコさんは、90年代の曲のクレジットがまるで金太郎飴のように「Seiko Matsuda&Ryo Ogura」ばかりだけだったことを思えば、原田さんや鳥山さん、「bless you」の上原くん、そして小倉良単独や本人名義の作品など、それなりに色々な人とのコラボを模索していたようにも見える。(そうそう、矢島美容室DJ Ozumaだったしね。)ただ、それが余りに支離滅裂な印象を受けるのは、なぜかしら(笑)?アイドルみたいに歌わせて(DVD付)
 あとは、声ね。彼女の声の衰えはこのブログでもたびたび言及してきたことだけど、実は、これを書くにあたって、2004年の『Sunshine』を聴き直してみたの。そうしたら、2010年の『My Prelude』と声の調子はほとんど変わってない・・・というか、後者の方が声が出てる!ということに気がついたのだ。おそらくは、00年代後半から自作曲が圧倒的に増えてきたことと関係しているのかしら、なんてことも思うのだけど。つまり、自分で作った自分が歌い易い曲、しか歌わなくなってきているセイコさん。。。ということね。
 シングル盤を見てみると、その傾向が顕著かも。バラードばっかり!デビッド・フォスターの悪影響かしら(笑)。とはいえ、曲のクオリティは総じて高くなっているし、あとはどれだけセイコさん本人がこれらの曲を今後、大事に歌っていくかにかかっているように思うのだ。

2001年・あなたしか見えない   30位
     ・愛♡愛〜100%♥Pure Love〜 49位
2002年・素敵な明日   29位
2003年・Call me     17位
2004年・逢いたい    12位
     ・Smile on me(SEIKO with Crazy.T)18位
2005年・永遠さえ感じた夜   34位
     ・I'll fall in love   30位
     ・しあわせな気持ち   28位
2006年・bless you      29位
     ・WE ARE.(PawPaw名義) ※記録なし
2007年・涙がただこぼれるだけ  38位
     ・真夏の夜の夢(松田聖子×藤井隆名義) 36位
     ・クリスマスの夜  34位
2008年・花びら舞う季節に   32位
     ・Love is all    32位
     ・あの輝いた季節   30位
2010年・アイドルみたいに歌わせて
     (矢島美容室 feat.プリンセス・セイコ名義)16位
     ・いくつの夜明けを数えたら  12位

 それにしてもデビュー30年だというのに、いまだにシングルでは殆どの曲の最高位がトップ40位内、アルバムでも20位以内をキープしている、というアーティスト・パワーはやはり他に類を見ないものだと思うのよね。まあ、25周年、30周年というアニバーサリー毎の盛り上がりでキープしているところも正直あるのかもしれないけれど、そろそろアニバーサリーで使えるタマも出尽くした感のある31年目のセイコさん、果たして40周年に向けての10年はどんな顔を見せてくれるのか、注目しつつ応援していきたい、と強く思っているいちファンの俺なのだ。くれぐれも甘い期待はし過ぎないように注意しつつね・・・(笑)
 そうそう、00年代を一言で表すとしたら。。。
「アニバーサリーで支離滅裂な00年代」ではどうかしら(笑)
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