ベストテン・クラシックス〜1984年年間アルバムチャート

 久しぶりのベストテン・クラシックス、今回は今から30年前の年間チャート、それも初企画! アルバムチャートを振り返ります。
 この時代、洋楽、アイドル、ポップス等々、今見ても非常にバラエティに富んだ面々が揃っていまして、本当に音楽界全体の黄金期だったのかな、なんて思えます。どうぞお楽しみください。
 
 まずは1984年のアルバム、第10位!1983年12月5日発売の杏里『TIMELY!』です。Timely!!(紙ジャケット仕様)1983年は杏里さんブレイクの年。もちろんこのアルバムにも大ヒットした「CAT'S EYE」「悲しみが止まらない」収録。「オリビアを聴きながら」でのデビューが1978年ですから、杏里さん、5年目にしての第一線浮上。。。遅咲きでした。でもこの後は"タツロー・オンナ版"的なアルバムアーティストとして90年代まで安定した人気を得ます。
 
 第9位!ここで聖子たん登場!!6月10日発売の『Tinker Bell』。Tinker Bell化粧品のCMソング「Rock'n Rouge」の大ヒットで、当時、テレビはおろか街を歩けばポスターがあちこちに貼られていたりで、聖子さんを目にしない日はなかったほど。ご本人が超多忙を極めていたせいか、このアルバムは収録曲数が9曲と、通常より曲が少なくて、レギュラーアルバムとしてはちょっと消化不良な印象もありました。。。とはいえ年間9位ですからね、絶好調な聖子さんでした。(詳細は過去ログ:「セイコ・アルバム探訪2」をご覧くださいませ。)
 
 続いて1984年のアルバム第8位は。。追悼。大瀧詠一『EACH TIME』です。不朽の名作として名高いロンバケ(1981年)に続くこのアルバム、二番煎じ?いやいや、確実に内容は前作より濃くなっているのですが、売り上げではさすがにロンバケに及ばず。しかし年間8位は立派なものですね。シングル「フィヨルドの少女」、稲垣潤一もカバーした「Bachelor Girl」収録。
 
 第7位に参りましょう。2度目の登場となる聖子さん。1983年12月10日発売の8th『CanaryCanaryです。前年、隠し玉的CMソング「SWEET MEMORIES」の大ヒットでまさに国民的スターにのし上がった聖子さん、“スイメモ”の大人っぽい雰囲気そのままにシックにまとめ上げたこのアルバム。収録シングルは「瞳はダイアモンド」1曲のみで、今振り返ると聖子のディスコグラフィの中で異色な、渋い雰囲気の作品。私は当時このアルバム、死ぬほど聴きまくりました。(こちらは過去ログ:「セイコ・アルバム探訪18」をご覧くださいませ。)ちなみに聖子さん、80年の『SQUALL』、82年『Pineapple』、83年『ユートピア』、86年『SUPREME』、87年『Strawberry Time』と毎年のようにアルバムチャートに名を連ねていて、この1984年はなんと2枚も。凄かったのね。

 さて第6位は・・・。
 ここでライヴァル登場。というわけで中森明菜『メモワール』です。BEST AKINA メモワール(紙ジャケット仕様)こちらはデビュー作「スローモーション」から6thシングル「禁区」までのシングルにアルバムからのピックアップ曲で構成した初期ベストで、発売は1983年12月21日。その後アキナは86年に『BEST』というベスト決定盤を出すわけで、そちらの大ヒットの影で少し影の薄いアルバムではあるけど、初期アキナのエッセンスが濃縮された1枚、と言えるのかも。ファンにとってはおそらくコレクターズ・アイテム。
 
 ベスト5に突入。1984年のアルバム第5位は、松任谷由実『VOYAGER』!VOYAGER出ましたユーミン!1983年12月10日発売。このアルバムからですね、年末はユーミン、が定着したのは。『昨晩お会いしましょう』から始まる第2次ユーミン・ブームの中でこのアルバムを見ると、前作『リ・インカーネーション』の続編的なスピリチュアルな部分(「青い船で」「不思議な体験」)あり、当時作品提供していた原田知世の持つ少女の神秘性を前面に出した作品(「ダンデライオン」「時をかける少女」)ありで、明確なテーマが感じられない分、少々地味目な印象を受けます。しかしながら嵐の前の不安を煽る「TYPHOON」や、夜の展望台での乾いた別れの風景を鮮やかに綴る「私を忘れる頃」など、ハデ目な曲の狭間にきらりと光る作品が埋もれているのはユーミンならでは。これも当時、よく聴きました。
 
 そして第4位は、当時大人気だったこの人たち。チェッカーズのファーストアルバム『絶対チェッカーズ』。絶対チェッカーズ発売は1984年7月21日。この年、年間シングルではチェッカーズがトップテンに3曲(「涙のリクエスト」4位、「哀しくてジェラシー」5位、「星屑のステージ」8位)も入って、まさにチェッカーズの年でもありました。ちなみにこの年、明菜も3曲年間トップテンに入っていて(「十戒(1984)」6位、「北ウイング」9位、「ササンウインド」10位)、翌1985年も同じ2組がやはり3曲ずつ年間チャートに登場していたりするので、30年前のチャートは、何だかAKB&嵐ばかりが出てくる近年のチャートに似ていたのですね。。。
 
 続いていよいよ年間アルバムトップ3!
第3位は、サザンオールスターズ『人気者で行こう』です。人気者でいこう(リマスタリング盤)大好きでした〜、このアルバム。大ヒットシングル「ミス・ブランニューデイ」をはじめ、原ボーの「シャボン」、ジューシィ・フルーツへの提供曲「海」、その他にも「夕方HOLD ON ME」「女のカッパ」「Dear John」などなど、シブくて大好きな名曲ばかり。夏はサザン、が定着した感のあるこのアルバムが大ヒットしたこの年、私は大学一年生で、夢と現実の落差に戸惑う毎日を過ごしてました・・・。色んな意味で、忘れられないアルバム。
 
 第2位!なんと洋楽アルバム。映画フットルースサウンドトラック盤です。フットルース前年1983年は『FLASHDANCE』。そのブームに乗って、フラッシュダンスの男の子バージョンのような映画でサントラも大ヒットしたのがこの「フットルース」。ケニー・ロギンスのタイトル曲をはじめ、デニース・ウィリアムスの可愛らしいポップス「Let's Hear It For The Boy」(この曲、大好き!)、マイク・レノ&アン・ウィルソンのあま〜いラブソング「Almost Paradise」、日本では大映ドラマのイメージがつきまとうボニータイラー姐さんの「Holding Out For A Hero」と、この盤からも次々とヒット曲が生まれました。でも、肝心の映画の方は?というと・・・ストーリー、全然覚えてないっす!(笑)たしかに観たんだけどな。
 
 さて、1984年の年間アルバムチャート、第1位は。

マイケル・ジャクソンスリラー』です。もう、説明不要ですね。全世界で1億枚以上(!)を売り上げたといわれる、20世紀ミュージックシーンのまさに金字塔。発売は1982年の12月10日で、日本でも前年の1983年から2年間にわたって売れ続けました。収録曲9曲のうちシングルカットが7枚。すべてビルボードでトップテン入り。そしてミュージック・ビデオに初めてダンスやストーリー性など、音楽と一緒に楽しむ要素を盛り込んで訴求力を与えて成功したのもこの作品からでした。マイケル、本当に偉大でしたね。

スリラー

スリラー

  
 というわけで、洋楽が1位・2位独占という、いかにも80年代前半らしい年間チャートながら、いまだに語り継がれる名盤揃いの、贅沢なチャートという気がします。(ちなみにすべて現役で入手できるアルバムとしてカタログに載っているというのもスゴイです。)今回、40代以上の方には特に楽しんでいただけたのではないでしょうかね? では、また。