太田裕美コンサート2016レポ

 東京では今年最初の太田さんのソロコンサート、2月6日(土)の第1日目に行って来ました。会場はすっかりお馴染みになった渋谷区文化総合センター大和田「さくらホール」。太田さんとしては小さめの会場で手作り感とまごころ溢れるライブをしたい気持ちと、その一方で近年は年々太田さん再評価の動きが確かに高まっているようで、東京ライブは毎回ソールドアウトとなってしまうことへの対応もあったのでしょう、今年は2デイズのライブ。
 hiroc-fontanaは開演20分前に到着。会場入り口は既に長蛇の列で、その殆どが見たところ50代以上の熟年男性(そういう私も…苦笑)で、その奥様らしい妙齢の女性がちらほら、という感じ。1月16日にBS-TBSで放送された「僕たちは昭和を生きた」は、太田さんの半生にスポットライトを当てた、まさにファンとしては保存版というべきステキな内容だったのだけど、番組中ずっと画面左上に番組名と一緒に「太田裕美 60歳」というテロップが表示されていて、あらら…という感じだったのね。でも確かにね、相変わらずの若々しさと美しさを保っている太田さんだけを見ている限りは、思わず時間が止まったような錯覚に陥るのだけれども、40年の歳月は確かに流れているわけで、列に並ぶファンの年齢層の高さに今更気づいて、容赦なく表示された太田さんの年齢テロップが改めて受け入れられた感じ。
 そうは言いつつきっちり17時半に始まったライブに登場した白いフリルドレス姿の太田さんを目にした瞬間、やはりいつも通り、あっと言う間に40年前にタイムスリップ。特に今回の裕美さん、高音の伸びが素晴らしくて声の方も絶好調、本当にその歌声を聴く限りは、30〜40年前の全盛期に戻ったようでした。
 そんな素晴らしいライブ1日目の、これまた素晴らしすぎたセットリストは以下の通り。今回は初めて「冬」がテーマの曲を集めたコンサートになったとのことで、その意味でも貴重でした。(こちらも絶好調だったMCトーク(hiroc-fontanaの意訳です。かなりアレンジが入ってますがご容赦のほど・・。)も、どうぞ。)

〜ギターを手に〜
1.朝、春になあれ(1978年「背中合わせのランデブー」)
2.スカーレットの毛布(1978年「海が泣いている」)
(裕美MC:作詞家・岡本まさみさんが昨年11月に亡くなられたことを突然聞いてビックリして。Youtubeで数十年前にテレビの旅番組で共演したときの映像を見返して、優しいお人柄を改めて思い出して、お亡くなりになる前にもう一度お会いしておけばよかったと後悔しています。岡本さんから頂いた歌を歌うことで私の気持ちを届けたいと思います。)
3.Smile(1981年「君と歩いた青春」)※ピアニカ演奏
4.ロンリー・ピーポーII(1983年「I do, You do」)
〜ピアノ弾き語り〜
5.白い季節(1974年 1stシングルB面)
6.雨だれ(1974年 1stシングル)
(裕美MC:デビューに当たって筒美先生とお会いして「太田裕美用メロディーA」「メロディーB」みたいな感じで2曲を聴かせて頂いた。「白い季節」は今歌っても、音程が高いわ〜。もしこれがA面になってずっと歌うことになっていたら、きつかったかも。。。(もう、今回が(歌うのは)最後かも。)A面が「雨だれ」で良かった〜。(会場、爆笑))
7.青春のしおり(1975年「心が風邪をひいた日」)
(裕美MC:昨年の松本隆さんの45周年記念コンサートで大橋純子さんと楽屋が隣になって、御主人の佐藤健さんと何十年かぶりに再会。佐藤氏が作曲したこの曲と「一つの朝」は両方とも大好きな曲で、今もコンサートで歌っていることを佐藤さんにお話ししたら、とても喜んでくれました。)
8.海が泣いている(1978年「海が泣いている」)
9.海に降る雪(1980年「十二月の旅人」)
10.最後の一葉(1976年「12ページの詩集」&6thSG)
(裕美MC:冬の曲はやっぱり少し「暗い」ですね(笑)。次からは少し元気になる曲を。1983年にニューヨークに行った経験は私にとってかけがえのない体験。若いうちにやりたいことが出来たからこそ、今の落ち着いた私の人生がある。もしそうでなかったら、昔ヒット曲があっただけの、ただの「飲んだくれ」になっていたかも(会場、またもや爆笑)。帰国後すぐに発表したアルバム『Far East』から2曲聴いて下さい。)
11.Kiss Me(1983年「Far East」)
12.Midnight(1983年「Far East」)
〜ハンドマイク〜
13.しあわせ未満(1977年 7thシングル)
14.木綿のハンカチーフ(1975年 4thシングル)
〜スタンドマイク〜
15.ガールフレンド(2014年「tutumikko」)
(裕美MC:ここまで歌わせて頂いたのは全部、筒美先生の曲ですね。カバーアルバム「tutumikko」を作るにあたって、色々な歌手の筒美作品を聴きましたが、贔屓目もあるかもしれませんけれど私が筒美先生から頂いた曲は、どれもイイ曲ばかりだったな〜、と改めて思いました。)
〜ハンドマイク〜
16.ドール(1978年「ELEGANCE」&12thSG)※熱唱!
(裕美MC:エンディングはまたシブイ曲です(笑)。筒美先生から「また一緒にやりましょう」とお声掛け頂いたのが1998年。その時に最初に出来たのがこの曲で、オフィシャルホームページのタイトルにもなりました。再会まで20年のブランクがあったけれど、ゴールデントリオの間にある密度は20年間変わらずに保存されていたように感じました。)
17.水彩画の日々(1998年ミニアルバム「魂のピリオド」)
〜アンコール〜
18.強い気持ち・強い愛(2014年「tutumikko」)
19.さらばシベリア鉄道(1980年「十二月の旅人」&19thシングル)

 まず、オープニングの優しさ溢れる曲「朝(あした)、春になあれ」に意表を衝かれ、3曲目、岡本さん追悼の「Smile」の、太田さんが本当に泣きそうになりながら歌いきる姿に私も思わずウルウルでノックアウト。その後も「白い季節」では、キイが高いとは言いながらもオリジナルキーで見事に歌いきる太田さんの美声に痺れて、怒涛の「冬曲」のあと、久々にアルバム『Far East』でニューヨークテイストに酔わされて・・・。「ドール」の熱唱のあと、これも意表を衝くシブイ逸品「水彩画の日々」で締め。ステキすぎ!
 途中、初めて太田裕美コンサートに参加したファンを拍手の数で確認した裕美さん(hiroc-fontanaの分析ではここ最近の中ではかなり多かった印象。2Days開催効果ですかね?)。今回のシブイ選曲について、「「木綿」とか「赤いハイヒール」といったヒット曲だけでない、アルバムのイイ曲を沢山持っている太田裕美を知ってほしい」と語っていたのが印象的でした。そう、太田裕美は、歌謡アイドルでもなく、ニュー・ミュージックでもなく。「太田裕美」というレッキとしたひとつのジャンルなんです!そう強く思わされた、今回のコンサートでした。
 コアなファンとしては、初日の緊張からか所々に見られた“歌詞間違い”も「バレてるぞ〜」的にサラリと流すとして(笑)、全体としては本当に、本当に、ここ数年ではピカイチの、まさに太田さんと私たちの40年の濃密な時間を感じられるライブでした。
 「白い季節/雨だれ」を披露したとき、「デビュー当時はまさか40年以上経ったいまも、こうして皆さんの前で変わらずに歌っていられる自分を想像することはできなかった」と言っていた太田さん。いえいえ、ファンとしても、40年以上太田さんが変わらずに歌い続けてくれていることが奇跡のようで、本当に幸せだな、と思うのです。
 今の声の絶好調さからすればあと10年は楽勝でしょう、太田さん。これからのご活躍を心から楽しみにしています!

Far East

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