キャンディーズ解散、そして空白の25年。

 キャンディーズは、日本の歌謡史上、不世出のコーラスグループ、だったと思う。「歌の妖精」のビデオを見て、再認識。デビュー曲「あなたに夢中」はAメロからハーモニー全開だし、「ハートのAが出てこない」の頭サビのコーラスもとってもバランスが良い。それが生うたってのがまた凄いのだ。(「あなたに夢中」は多分「全員集合」の映像だから、生放送?)一方、レオタードをアレンジした衣装と志村けんでおなじみの振り付けが我々の世代には懐かしい「やさしい悪魔」は、ユニゾンばかりで記憶よりずっとチープだったりして、これはご愛嬌。そのあとの「暑中お見舞い申し上げます」。これが衣装・振り付けともに可愛らしさ全開で、サビでの鉄壁のコーラスと完全無欠のユニゾン。しびれた。ビデオ「歌の妖精」には当時のスタッフが一曲ごとに解説を付けたりエピソードを語った小冊子が付いているのだが、その中のエピソードで、ハイファイセットキャンディーズのユニゾンの実力を高く評価していたということが書かれていて(コーラスよりユニゾンの方が難しいらしい)確かに「暑中お見舞〜」でも、3人の声が完全に溶け合って、一人の声のように聴こえる。
 思えば、ピンクレディーというライバル(今思えば全然別物なんだけど)から刺激を受けながら翌年の解散に向かう迄の、77年後半あたりが、彼女たちが一番輝いていたころかもしれないな、と思った。
 しかし、日本のエンターテインメント界で女性コーラスグループの成功例って、なんでこうも少ないのだろう。キャンディーズ以前は「ザ・ピーナッツ」がいたけど(こまどり姉妹なんかもそう?)、キャンディーズ以降は皆無だ。ハイファイセットやサーカスは混声だし、上品すぎてスター性はなかった。WINKにコーラスの概念はなかったし、Mike?少女隊?顔さえ覚えていない。唯一、初期のモーニング娘。には久しぶりに少し「おっ」という感じを抱かされたが、LOVEマシーン以後の彼女らは「全編セリフ」みたいな歌ばかりで、もはやその面影はない。
 アメリカでは、古くから○○シスターズの名がついた女性コーラスグループは連綿と続いてきて、最近はR&B系の、アン・ヴォーグとか今はデスチャなんかに着実に引き継がれているのではないか。
日本はやっぱり単音の文化なのかな。アメリカ人なんか、酔って皆で騒いで歌っちゃう時でも自然にハモリを入れる人が必ずいるって言うしね。俺なんか、カラオケで無理にハモリを入れようとして思い切り自爆どころか相手も巻き込んで爆死させちゃったりするし。でも、コーラス物って聴くのも歌うのもやっぱり気持ちよくて、好きなのだ。
 キャンディーズ・FOREVER。そして長い空席状態にある女性コーラスグループの復活を望む。