通勤電車の忌々しい人々

　朝、短い時間でも通勤電車の中で座れると、ハッピィな気分になれる。３０代までは通勤時間も短かったし、体力もあったから、カッコつけて隣のオバサンに席を譲る余裕があったけど、今はもう駄目。たとえ一駅でも、空いたら即、座る。途中で降りそうな乗客の見分けも上手くなってきたし。
しかし、今朝は頭に来た。俺の隣にいた若いカップル。男がロングシートの席に座り、女は俺の隣でつり革につかまって立ってた。男が座り、女が立った格好で、周りを気にする様子もなくしゃべり続けている。よくいる迷惑カップル。普通、女を座らせて男が立つもんだろ。なんて思いながらも、朝から不快な気分になりたくないから、二人を見なかったものにして意識から排除しすることにした。俺の正面に座っていた男性客が降りる支度をはじめたとき、座れる〜、という期待感と同時に、なんだか嫌な予感がした。そして男性客が腰を上げたとき、その嫌な予感は的中した。俺の正面の空いた席に男がさっと腰を移し、同時に前に立っている女の手をひっぱって、自分の隣に座らせたのである。文字通り席の横取りというやつだ。
　そのあとも何食わぬ顔で、空しく立ち続ける俺の目の前で乳繰り合いを続けるカップル。平然を装ってはいたが、多分俺のこめかみには血管が浮き出ていただろう。
　もちろん、通勤電車の座席なんて、座る権利は誰にも平等にあり、早いもの勝ちだ。しかし、暗黙のルールってものは、あるのだ。席が空いたら、正面に立っている人が座るのがひとつのルールだ。座りたくなければ、空いた席の前から去ることによって他に権利を譲れば良いし、つり革の間の微妙な位置が空いた場合は、一呼吸置いて、先に動いた人が座る。その辺のあ・うんの呼吸が、日本人のデリカシーなんじゃないか。・・・・
　なによりも頭に来るのは、たかが席取りのことであほらしくも腹を立ててる自分であり、それを1日引きずってしまったことだ。あ〜まだまだ青いな。