My Sweet Home

 家を改築した。亡くなった両親から引き継いだ家で、変形3LDK。当初は手持ち資金でリフォームのつもりが、いつの間にか借金までして全改築することとなった。
 こういう大きな話というのは、あらゆる場面で逐一、自分の判断力を総動員して進めているはずなのに、終わってふと振り返って見ると、何か計り知れない大きな力に飲み込まれていて、自分はそれに乗っかっていただけのような感覚に陥る。動き出したら止められない「運命の波」のようなものにね。俺の経験で言えば例えば30代後半で転職したときもそうだった。人生の大きな決断だったけど、いざ動いてしまえばあとは無我夢中で、嵐が過ぎたらいつの間にか落ち着くところに落ち着いていた、そんな感じなのだ。まさに夢の如し。
 わが家の建築や、転職成功までの経緯をリアルタイムでレポートしたホームページもたくさんあるが、そんな風に平常心でいられる人が羨ましく思う。
 さて、新しい家。風呂は全自動で、沸けば「お湯が沸きました」と女性の声で知らせてくれる。システムキッチンは収納も調理スペースも充分。おまけに浄水器つき。窓はペアガラス。築40年だった改築前の家と比べればまさに天国だ。今回の改築はスタンダードでお願いしただけだから、知らないうちに、日本の住宅事情は凄く変化してた、ってことね。
 ただ、独り暮らしにはあまりにも広いMy Sweet Home。正直、ここまでする必要があったのかな?という思いがよぎることもある。けれど、将来もほぼ確実に独りである中年ゲイとしては、心のどこかで、何か形あるものをこの世に残しておきたかった、というのは間違いなくある。つまり・・・そういうこと。
 とりあえずは C'monna my house!Everybody!