和製エルトン?〜原田真二〜

 原田真二にハマっている。俺が持っているCDは「ABSOLUTE SINGLES」だけなのだが、週末のドライブBGMで久々に引っ張り出して聴いて以来、ハマってしまったのだ。原田真二といえば、最近では松田聖子がらみで久々にスポットライトを浴びた感があるが、どっこい、デビュー以来コンスタントに活動を続けていたのね。HPを覗けば、コアなファンががっちり着いているようだし。ある意味、77年(もう28年も前!)のデビューがあまりにも鮮烈的すぎたのが不幸だったのかもしれない。
 初期の作品は作詞が松本隆。たしかこの頃は「和製エルトン」と言われていたように記憶しているのだが、確かに職業作家である松本隆と組めば、バーニー・トーピンエルトン・ジョンのコンビになぞらえることも出来たかもしれない。実際、「てぃーんず・ぶるーす」の瑞々しさは「Your Song」に近いような気がするし、「タイムトラベル」では「Rocket Man」のように鮮やかにイマジネーションを喚起させてくれる。しかし、78年秋の「OUR SONG」(←題名から和製エルトンを意識していたことが垣間見える)からは作詞も本人が担当、コンビは解消してしまう(80年代に復活する。)。それと同時に原田真二も加速度的に勢いを失っていくことになった。やはり作詞は職業作家にまかせて、本人は「サウンド作りの職人」に徹して持ち味を最大限に発揮すればもっと人気も長続きしたのかな、なんて思う。
 例えばこの人、言葉のリズム感をメロディーに乗せる才能が凄いと思う。「タイムトラベル」のサビ(じかんりょこーのツアーはいかが)のリズム感とか、「シャドーボクサー」のフレーズ(ぼくのーねの きずーとは ーきえないよ)の連続シンコペーションでは、次々とパンチが繰り出されるような感じさえする。
 それと、筒美京平先生にも共通するような、洋楽エッセンスのとても分かり易い消化。「キャンディ」や「A DAY」はもろポール・マッカートニーだし、「MARCH」(この曲がマイフェイバリット!)にはビリー・ジョエル「MY LIFE」やビートルズ「ALL YOU NEEDS IS LOVE」の匂いも感じる。AORの真髄「シャドー・ボクサー」(エンディングのコーラスが最高)や、ヘビーなロックそのものである「スウィート・ベイビー」は文句なしにカッコいい。それらをただのパクリとは感じさせないところが、彼の才能というか、器用さだったのではないか、と思うのだ。(ただ残念なことに、80年代中盤以降の作品には、個人的にはあまり魅力を感じなかった。リアルタイムで聴いていなかった、ということもあるだろうけど。)
 とりあえず、オススメの1枚。