マイラバ。小林武史とその周辺。その1

 さわやかな5月の午後にぴったりのBGMがある。My Little Loverの「風と空のキリム」。映画『深呼吸の必要』の同名主題歌とのカップリングで、リリースは昨年4月、ほぼ1年前だ。このCD,あてなくレンタルショップを冷やかしているときにふと目に止まって、ジャケ買いならぬ、「ジャケ借り」してしまったもの。マイラバは一時結構聴いていたのだけれど、ジャケットのAKKOさんの涼しげで少し憂いのある横顔がとても綺麗だったので「何となくいい予感」がして、聴いたことも無かったこのCDを借りたのだ。
 1曲目、「深呼吸の必要」の静かなピアノイントロに続いて入る、AKKOのボーカルの儚いほど優しいタッチ。5月のそよ風が南の窓から部屋に優しく舞い込むかのようだった(月並みな表現しか出来ないけど・・・)。My Little loverとの再会はそんな感じだった。そして2曲目「風と空のキリム」。これもいい。陽だまりの草の上で大好きな人と二人きり、言葉も交わさずに、しかしとても満たされた時間を過ごしている、そんなイメージの曲。静謐、幸福、そして切なさが入り混じったひととき、みたいな。2曲とも大人しい曲には違いないし、予想通あまり売れなかったけど、俺としてはこのジャケ借りは久々の大ヒット!だった。
 さてマイラバ、というか小林武史の作るマイラバサウンドはとても好きだったんだけど、どうもAKKOのボーカルが好きになれなかった。「ア」の発音が「エ」に近いところとか(工藤静香に似ている時がある)、歌いだしの音で喉を締めて(「ア・アー」みたいに)音程を誤魔化すところとか(松田聖子に似ている時がある)、とにかく歌い方が「アイドル」だったから。マイラバのシングルには「ALICE」とか「Now&Then」とか、歌うにはとても難しい曲が多くて、それをAKKOはとても良く歌っているな、とは思うのだけど、あのアイドル唱法だけは許せないところがあったのだ。しかし「深呼吸の必要」「風と空のキリム」で聴ける彼女の声は、変わっていた。一言で言えば「フェミニン」。相変わらず昔からのクセはあるけれど、それに勝る、母となった女性のさりげない優しさが溢れている。きっと、幸せなんだろうね。Akkoも、その優しさを引き出した、旦那の小林武史も。
 さて、どんどん書こうと思っていた本題からずれてきちゃったので(本当はキョンキョンにおける小林作品とかに触れたかったのだ)、続きはまた今度にしよっと。