「リトル・ミス・サンシャイン」

 久々の映画でのエントリー。
 この映画、好き嫌いが別れると思うんだけど、俺、大好きです。時々プッと吹き出したり、ほろっとしたりして、最後は泣き笑いだった。泣き笑いできる映画って、ありそうでないものね。
 あんまり関係がうまくいっていないお父さんとお母さんに、一風変わったスパイシーなお爺ちゃん、反抗期で何も喋らないお兄ちゃんに、ゲイの伯父さん。そして主役は純粋でちょっとナマイキな少女。家族の設定もありきたりだし、エンディングに向かってそんな家族の心が次第にひとつにまとまっていく筋書きもよくある感じなのだけど、最後はやっぱりこうあって欲しいよね、っていうところにちゃんと落ち着いていて、それが一層この映画を愛すべきものにしているような気がする。美少女コンテストに集まるアクシュミな人々や、ゲイの伯父さんの別れた恋人とのエピソードなど、ところどころピリッとアクセントも効いてます。
 ところで、誰かと旅行すると、往きの車内ではワクワクの反面、ちょっと緊張してたりするんだけど、帰りの車内ではいつの間にか絆が深まっていて、ワイワイ騒ぎながら、ああ、この人たちと一緒にずっといたいよな、なんて感傷的な気分になってしまうこと、あるよね。車窓にきれいな夕日が見えたりすると、余計に寂しく思えちゃったりして。
 この映画はロードムービーなんだけど、観ているうちに、旅を通じて色んな事件をこの主人公の家族と一緒に経験して、一風変わったこの家族全員がだんだん好きになっている自分に気づく。そんな感じが巧いな、と思う。ところどころにカットインする長閑な車窓の風景や、車に揺られてうたた寝する家族の顔なんかもとても効果的で。映画を通じて全体に暖色系の色使いが多くて、それも「夕日」の感傷的なイメージにダブるのかもね。
 ところで俺はいま、家族がいないんだけど、大家族の中で育ったのね。で、この映画で例えば食事のシーンでメニューがフライドチキンとスプライト(!)でお爺ちゃんが激怒するところとか、クラッチの故障した車を家族みんなで押して走らせるところとか、何だか昔のウチの家族でもこんなこと、あったよな〜なんて(ホントは無いけど)思わされちゃうような、どこか滑稽で温かいエピソードが散りばめられていて、そんなところも普段ひとりで強がっている俺には「ツボ」だったりする。
 さて主人公のオリーブちゃん。生意気なんだけどコロコロぽっちゃりなルックスがとてもキュートで、バラバラな家族をひとつにしているのは結局、彼女に対する家族それぞれの「深い愛情」なのね。果たして彼女は成長してもキュートなままか?彼女が成長しても家族はまとまっているか?という想像をしてみると、きっと彼女は愛情あふれる女性に成長して家族を明るくまとめているだろうな、なんて未来が想像出来ちゃうところもこの映画の良いところ。
〜〜勝負に負けるのが負け犬ではない。
     勝負を挑まないのがホントの負け犬だ。(By スパイシー爺ちゃん)