最新作をかる〜くレビュー

My pure melody(初回生産限定盤)(DVD付)

My pure melody(初回生産限定盤)(DVD付)

 セイコたん専門評論サイト「MR&O」さんの閉鎖以来、レビューを読んでから聴く、というのができなくなってしまった聖子さんの新作。今回のはアタリかハズレか、正直ドキドキしながら買わないといけなくなっちゃった(笑)。さて結果は。
 及第点、ね。でもはっきり言って前作『Baby's Breath』の手法をそのままなぞった感じもあって、期待以上、というわけにはいかなかったかもね。
 収録曲の質は確かに向上していて、特に1〜3曲目までの曲の流れは最高で、最初聴いたときは「これいける!」と思ったほど。オープニングの「春色の恋」のサビで、聖子さんの声に女性コーラスが被さるところなんか、とっても当たり前のアレンジなんだけど、新鮮に感じちゃったり。2曲目「私の恋の物語」ではバロック調のアレンジが流れのなかでアクセントになっていたり。あ、そういえば誉めているのはアレンジのことばかり(笑)。実際、アレンジのバリエーションによって曲の単調さをカバーしている感じも拭えないのは確かで。でも、ラテンフレイバーの「Don't wanna lose you」や、全盛期を彷彿とさせるキャッチーなポップス「KISSをしてね」など、ソングライターとして確実に幅を広げている聖子さんがいるのも確か。詞の方は相変わらず陳腐な表現が多いのだけど(これを聖子たん本人は「誰にもわかりやすい世界を」とイイワケしちゃってるみたいだけど・・苦笑)、せめて曲のタイトルだけでも工夫すれば、もっとインパクトが加わるのにね。だって「明日へのふたり」とか「あなたの手に導かれて」なんて、聴くまでもなく中身が透けて見えちゃうもの。
 あとは、声。魔法の声は健在だけれども、やっぱり声が枯れて肌理が粗くなってきた感は否めない。発せられる言葉に込められた伝達力の強さは変わらないけれども、「SH」音の不要な強調と、「イ」音の金属的な響きが少々耳障りな感じになってきた。これが20年前の彼女だったら、もっと発声がまろやかだったし、アルバムも魅力的に聴こえていたかも。
 さて、なんやかや言って、何度もリピートしては、どこかもっと良い所は無いか、というより良い所を探す為に毎日リピートして(笑)、結局最後は好きになりそうなこのアルバムであります。これがきっと、聖子ファンというものなのでしょうね。セイコたんの思うツボかも。