華原朋美「Hate Tell a Lie」

 97年4月発売のミリオンセラー。KAHALA COMPILATION
 俺この曲、大好きだったのよね。小室ファミリーの曲は、アムロちゃんにしても篠原涼子にしてもglobeもTRFも、もちろん朋ちゃんも、全体としてはもうひとつピンと来なくて、当時は「何でこんなに売れるんだろう」と思っていた俺なのだけど、ときどきものすごい名曲が紛れ込むものだから、何やかや言って、90年代前半はフツーにコムロサウンドに傾倒していたのよね、いま思えば。
 ちなみに小室プロデュース作品で俺が好きなのは、globeの「Anytime smokin' cigarette」とか、アムロちゃんでは「Don't wanna cry」とか、TRFでは「OVERNIGHT SENSATION」、朋ちゃんは「I'm Proud」そしてこの「Hate Tell a Lie」ね。
 まあ正直言って、小室さんの作曲家としてのクリエイティブな才能は、実は80年代の美里さん「My Revolution」やアイドルに提供した作品(キョンキョン「Good-Morning Call」なんかサイコーよね!)の頃に出尽くしたんじゃないのかな、というのが俺の印象で、90年代の一連のプロデュース作品は、どこか「やっつけ」な感じが漂っている気がして仕方ないのよね。まあその中では先に挙げた作品たちは、オリジナリティがあって印象に残っているのだけど、誰も聞いていないような洋楽を現地で仕入れてきてはパクってる、なんていう噂も絶えなかった小室さんだから、俺としてはお気に入りの作品に関しても少し割り引いて見ちゃったりしてるのだ。
 結局、当時から小室さんは、どこか「うそ臭さ」が漂っていたのよね、たぶん。何だかみんな、薄々それに気付きながらも「旬の素材」としてのコムロを楽しんでいた、みたいなね。その意味では、この人、朋ちゃんっていうのは、その小室ファミリーのシンデレラとしては格好の素材だったのかもしれないね。
 歌唱力はあるのかないのか。よくわからない。
 美人なのか大したことないのか。よくわからない。
 そしてあの、どう見てもシロートに毛が生えた程度のぎこちないパフォーマンス。
 いまだから言える。小室ファミリーのシンデレラ、華原朋ちゃんもやっぱり「うそ臭かった」のだ。だからこそ、コムロがああいう事件を起こしたいま、90年代の彼の華やかな業績を思い起こすとき、だれもが真っ先に思い出すのはglobeでもTRFでもアムロちゃんでもなく、やっぱり「華原朋美」なんじゃないかな、なんて思う。
 彼、コムロテツヤが好きなように弄んで、そして壊した、朋ちゃん。うそ臭いコムロ氏の、うそ臭い分身。
 ハナシは大分それてしまったけど。
 さて「Hate Tell a Lie」は、頭から1小節づつ段階的に音が上がりながら同じ音階で細かい音符を重ねていく構成なのだけど、出だしの「♪Say Good-bye!」の音(2度)の選びがとにかく斬新で、そこが俺にとってのツボなのね。メロディー自体はシンプルながら、切れ目なく音符が続く「シーツ・オブ・サウンド(音の織布)」状態で、その畳みかける感じが、朋ちゃんのか細い声によって何ともいえない切迫感を醸し出す感じがして、素晴らしい。パクリかどうかは知らないけれど、このメロディーを引っ張り出してきたことは、やっぱりコムロさんの才能なんじゃないかな、と思う。
 ただね、この曲、歌詞ははっきり言って、意味不明。そもそも「Hate tell a lie」って文法的に正しくないでしょ?正しくは「Hate Telling a lie」とか・・・わからないけど。(これについてネット検索したら「憎め!ウソをつけ!」という和訳にすれば正しいみたい。イヤだよね、そんなウタ。笑)
 噂によると、朋ちゃんが浮気したとき(!)に作った曲だそうで、そういうシチュエーションを想像して読めば、何となく意味もつかめてくるような気もします。

Say Good-bye! おはようさえいわなかった街の雑踏で
手を振って顔が見えなくなるまで
人の波にさらわれそうでも1mmも動きたくない 離れたくない
何から何まであなたがすべて 私をどうにか輝かせるため
苦しんだり悩んだりしてがんばってる
いつからか どこからか
Hate get pill
Hate tell a lie 輝きたくて

やなことがとても多すぎて
毎日がなんだかとてもSlowly
きらいって言うのは簡単で でも言ったって何も変わらない
うそつきも多すぎて自分らを みんな守るだけだって
なんだって飲みすぎは良くなくて ほら
そこの飲んだくれ 飲みすぎなあの子を助けて
                 作詞:小室哲哉

・・・ちょっと、女々しいっていうか。それにしても「Hate get pill」って、なんなんでしょうね!ナゾです(笑)
 それはさておき、この作品、PVもなかなかでした。桜がとても印象的な、傑作です。
(結局、この作品、褒(ほ)めたのかしら貶(けな)したのかしら。。。)