現状維持の難しさ〜安室奈美恵『Uncontrolled』

Uncontrolled(MV11曲入りDVD付) [CD+DVD]

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 アムロの新作。賛否両論を巻き起こしているようね。やれシングルの寄せ集めだの、トータル性が無いだの。
 俺も最初、そう思ったのよね。「あ、現状維持だ…。」てね。
 常にJ-pop界のトップを走ってきたアムロちゃん。彼女にとって、現状維持とはもはや“後退”を意味する。。。そんな気がしたのだ。
 何だか、聴いたことのあるフレージングやリズムやメロディーが多いような気がして、今までの彼女の新譜を聴いたときの「うわー、スゲー!こう来たか!」というようなスリルが、足りない、というか。
 俺の場合、コアなファンと違って既発シングルはほとんどノーチェックで、今回アルバムで初めて聴いた曲が多かったのだけど、そんな俺でもそう感じたのだから、コアなファンには物足りない印象なのは当然か。
 ただ、見方を変えれば、シングル曲が多いと言うのはそれだけ彼女がここ数年、精力的に活動してきた証しでもあるし(そのうえタイアップが多いのは旬である証拠)、1年前に出来上がった曲を収録しただけでシロートの俺に「現状維持」を感じさせてしまうほどに、これまで“トガった”音楽を次々繰り出し、リスナーの期待に応え続けてきたアムロちゃんがいたという、それだけでもスゴイことなのかもしれない。
 今回は全編英語詞の曲が半数以上あって、実はアヤシかったアムロちゃんの英語発音も今回はかなり改善されていて、その辺りに彼女のストイックな頑張りが見える。ただ反面、それによって、これまでの彼女の音楽の特徴でもあったムリヤリ早口日本語が生む独特のグルーヴ感が失われてしまった感もあり、賛否が分かれる要因の一つになった可能性も高い。まあ、これが世界標準、といえばそうなんだけどね。
 サウンド的には流行りのエレクトロ路線が中心で、これまでの黒っぽいR&B路線からより洋楽的になったことも、やっぱり世界標準、なのかしらね。俺的にはどこかK-popに近い感覚もしたりして。。。
(ところで、贔屓の引き倒しじゃないけど、12曲目に収められた新曲「Only You」をどこかで聴いたことあるな〜なんて思っていたら、なんとセイコたんの全米発売盤『Area62』収録の「i'm right here」にソックリでした。。。そう、セイコたんはなんと10年も前にエレクトロ路線で頑張ってたのよね!)
 閑話休題。話を元に戻すわね(笑)。
 まあ、なんやかや言って『Uncontrolled』、付属DVDのPVは文句なしにカッコいいし(それにアムロちゃんが一段とビューティフル&チャーミング!)、声の艶も格段に増して魅力的だしで、結局毎日、ヘビロテしてます。俺としてはちょっと前のPrinceみたいな「Hot Girls」が好きかな。あとオープニングを飾る「In The Spotlight(TOKYO)」あたり。小室時代の「Never End」みたいな主題歌「Tempest」はあくまでもサービス・トラックということで。。。これはいらなかったかしらね。