ガンコなセイコに根負け。『My Prelude』

My Prelude(初回限定盤)
 5月26日発売の30周年記念アルバム。ウィキによるとオリジナルアルバムとしては44枚目だそう。へえ〜、そんなに出してたっけ。自分もそれを、ほとんど聴いてるんだもんね。我ながらスゴイわ。
 ざっと通して聴いてみて、う〜ん、悪くない、結構好きかも、て感じ。。。最近のセイコさんのアルバムって、いつもこんなビミョーな印象なのよね(苦笑)。セルフ・プロデュースになってからの作品の評判は一般的には散々なものだから、どうしてもファンとしては“それにもメゲずにいろいろ頑張ってるセイコちゃん”みたいなものを加味して聴いちゃうところがあるのかもね。
 今回の作品も、John Reevesなるナゾの人物の作・編曲のオープニング曲「Into the mirror world」の洋楽テイスト(イントロがかつてのマイケルっぽい)にちょっと90年代のセイコが感じられてワクワクさせられたりね。続く「You are my ideal」は悪名高き(笑)Ryo Ogura作品ながら、ポップな曲調に乗せてウィスパーっぽく歌うセイコさんが妙に新鮮で。そして3曲目はヒットした「いくつの夜明けを数えたら」が来て、改めてイイ曲だわ、なんて思わされちゃってて。。。そんな調子。
 だってね、「Into the mirror world」が90年代のセイコっぽくて嬉しくなっちゃう、なんて、狐につままれているみたいなものなのよね。俺にとっては。あのセイコさんの失われた10年がよ、戻ってきて嬉しいなんて。。。。
 つまりはね、セイコとしてはあの頃からず〜っと、ず〜っと、同じことを繰り返してるだけなのよね、たぶん。ただ、ときどきローテーションで前面に出すものを変えている、それだけ。なのに、口を開けて待ってるだけのファンの方はすっかり、大味なセイコたんの自作詞と小倉良の凡庸なサウンドに馴らされてしまって、いつの間にかその中の小さなバリエーションでさえも、いや、だからこそ、彼女の小さな“変化”が、とっても美味しく感じるようになってしまったのかも、ってね。
 そう、これはガンコなセイコさんの、最終勝利。わたしたちファンの根負けね。
 今思えば、前作『My Pure Melody』の発売は2008年で、プレ30周年の昨年2009年はシングルもアルバムも新作の発表はなくて、30周年の今年、ようやくこの『My Prelude』の満を持しての発売、というシナリオには「してやられた」感があるのよね。飢餓感、めいっぱい煽られたものね(笑)。それだけでもこのアルバム、贔屓目に見ちゃうって。やるじゃんセイコ!計算高いっ!みたいなね。
 実際、オリコンの動きを見ると、そんな効果もあってか、とても動きがいいみたい。アルバムチャートのトップテンも夢じゃないかも。そうすると、80年代、90年代、00年代、10年代と4ディケイドでトップテン入りの快挙!てことになるわけね。。。期待しときましょう。
 そうそう、気になっていた声の衰えは、CDを聴いた限りではほとんど気にならない。むしろ、今回はファルセットにも力がついて、ここ数作でのボーカルのマンネリを脱している印象がある。これも30周年効果かしら。(ただ唯一、80年代風なサウンドの「30th Party」だけは、声の衰えが顕著。曲もつまんないし、やっぱりこれは、やめるべきだったと思う。)
 その他の曲ではボサノバ調の「Sha la la」、メロディーが綺麗な王道バラード「ふるえる心」、マイケルのアース・ソング風な「Tomodachi」など、ひととおり取り揃えている感じで、曲の並びもまあまあいい感じ。これなら繰り返しに堪えられそう(笑)。