アイドルグループ面白見本市〜フィンガー5

 まずはこちらを。

 途中で切れちゃってるのが残念だけど(苦笑)。フィンガー5の8thシングル「バンプ天国」。1975年3月発売。1973年にブレイクした彼らとしては、その人気に翳りが出始めた頃のシングルで、チャート最高位は13位。企画盤を除くとデビュー以来初めてトップテンを逃したのがこの作品なのね。
 でも、カッコよくない?これ。晃くんの良く伸びる声“ハハハ〜ハ〜ン”というスキャットで始まる導入から、♪バンバン・バ・バン・バン!というアニキたちのキャッチーなコーラス、それに被さるフェイクたっぷりの晃くんの“イェーイェー!”にシビれちゃう。サビ部分は途中で切れちゃってるけど、ビートルズの名曲のフレーズをパクリながらも(笑)、独特の切迫感を醸し出してスリリングそのもの。
 全盛期はメインボーカルの晃、妙子の幼少組を中心に据えてのフォーメーションだったのが、この「バンプ天国」では左から年長(背・高)→年少(背・低)と順番に並んでいて妙に新鮮だし、“見せる”ことを前提としたダンスも、次々入れ替わるボーカルにしても、あら、ピンク・レディーも少年隊もモー娘。も、そのルーツはこの兄弟だったのかしら?と気付かされる、貴重な映像よね。
 続いては5th「恋の大予言」と両A面となった「上級生」。こちらはmusic only。
これはまるで60年代モータウン。Aメロで聴かせる、晃くんと正男兄ちゃんのオクターブユニゾンにゾクゾク。凄いわ。途中で入る“フ〜〜〜〜”のハミングもグッド。この曲の頃から晃くんが声変わりして高音がでなくなってしまったお陰でテレビでのパフォーマンスはなかったというのが残念だけど、こちらがA面でヒットしていたら、彼らのその後の評価も少しは変わっていたかもね。
 フィンガー5と言えば、ワンレン(!)にトンボ眼鏡(サングラス)という晃くんのグロな出で立ちと、それに反してオトナ顔負けの本格的な歌唱力のせいで、当初は同年代のコドモだった俺にも、まるでステージママの自己満足だけで出来上がった番組「子供のど自慢大会」(←大キライだった!)を見せられているような、キワモノ臭プンプンのイヤらしいグループにしか見えなかったのね。
 ただ、その一方で黒っぽいメロディー・ラインとビート感がたまらなくカッコ良かった「個人授業」をはじめ、♪リンリンリリンのとハーモニーが被さってくる冒頭からスピード感たっぷりな「恋のダイヤル6700」や、“ヘ〜イヘイヘイヘ〜イヘイ!”のコール・アンド・レスポンスが当時の小学校のあちこちの教室から聞こえてた「学園天国」など、大ヒットした曲たちの魅力にはやっぱり逆らえなかった。ふたつ年上の俺のアニキとも、よく一緒に歌ったのを覚えてる。(もちろん俺は“♪どちらもどちらも大好きよ〜ん”という妙子ちゃん役。。微笑)
 まるっきりジャクソン5のコピーじゃん、と言う向きもあるでしょうけど、俺は逆にね、あのジャクソン5をこんなに本格的にコピー出来た、フィンガー5というグループの実力こそ、評価されるべきだと思うのだけどね。
 子供たちを対象にしながらも、音楽的には手を抜かず、パフォーマンス的にも本格派だった、と言えば、フィンガー5ピンク・レディーのプロトタイプでもあるのね。(デビュー曲「個人授業」の作詞・阿久悠、作編曲・都倉俊一というのは、PL「ペッパー警部」はじめ一連の大ヒット曲と同じラインナップなのだ。)その後のピンク・レディーにバトンを渡した、それだけでも彼らは日本の音楽史上、とても重要な存在だったといえるのかもね。
 晃の声変わりとともに急速にフェードアウトして、レコード会社移籍でトラブったり、音楽修行と称して芸能活動休止して渡米したりで、その後のフィンガー5は名子役が辿る運命同様に、あまり恵まれないオトナ時代を過ごしていくわけだけど、今は吹っ切れて地道に音楽活動をしたりそれぞれの道を歩んでるようで、晃・妙子の同年代としては、何だかシミジミしてしまったりして。

ゴールデン☆ベスト フィンガー5

ゴールデン☆ベスト フィンガー5