パクリじゃない!〜“クリソツ”ソング特集

 五輪真弓さんの回で、「次のメロディー展開が予想できるオーソドックスな曲づくり」と書いたのだけど、彼女の曲のなかで79年の「合鍵」と言うヒット曲、これがね、その代表格だと思うのだ。まずは、聴いてみてください。

 どこかで聴いたことあるよな〜、でも、なんだっけ?みたいな(笑)。実はそれが、五輪さんの真骨頂なのね。パクっているようでいて、そうじゃない。言うなれば・・・「オーソドックス」(これしか言いようが無い 笑)。でもそうなんだと思う、たぶん。。。
そんな感じで、大ヒットした「恋人よ」の次にリリースされたこの曲「運命(さだめ)」を聴いてみるとね。。。

 あれ〜?このサビもどこかで聴いたことあるわ・・・。いやいやこれはたしかに・・・ハゲ・ヒゲ・カマのあの三人組が歌ったアノ曲・・・そう!アリス「秋止符」(←動画サイトにリンク)のサビと一緒よね。
 
 さて、そんなわけで今回のテーマは“クリソツ”ソング特集です。でも断っておくけどこれは“パクリ”とは違う。明らかに元ネタの曲が存在していて、「これ、イタダキ〜!」という意図的なものが感じられるかどうか。それが“パクリ”と“クリソツ”の違いであって、例えば有名どころではかの筒美センセイが洋楽から“いただいちゃった”数々の名曲・迷曲たちは残念ながら前者よね。一方、五輪さんが紡いだ“クリソツ”ソングってのはそんなドス黒い意図が感じられない分、むしろ聴いていてホッとするような安心感があって、だからこの類の曲には、広く愛される曲も少なくないような気がするのね。
 まずご紹介したい“クリソツ”は、これ。

 男の中の男・小林旭さんが大瀧アニキと組んだ1986年の大ヒット曲「熱き心に」。これが何に似ているかというと、この曲(←リンク)なのね。
 こちらもドスの聴いた声がオットコらしい、みゆきさん(「空と君のあいだに」1994年)でした。彼女の曲も結局のところは「ENKA」なのよね(笑)。こうして聴き比べればよくわかる。「♪ここにいるよ 愛はまだ」のサビのメロディー展開はもちろん、「ダド・ダド・ダド・・・」とダサめに刻むベース・ラインがクリソツです。
 さて、こちらも意外なクリソツ。
 居酒屋も似合う庶民的なショウビズ界の女王、木の実ナナさん1976年のヒット「おまえさん」。これは意外な曲に生まれ変わってました。


 そう、八神純子さんの1980年の大ヒット「パープル・タウン」。あらいけない、この曲は“パクリ”疑惑でも話題になったんだっけ(発売後に「元ネタ」の作曲者レイ・ケネディの名前を急遽クレジットに加えることで一件落着)。
 御三家のひとり、デビュー曲は演歌だった野口ゴローちゃん。彼のヒット曲のなかに、のちにエンカに生まれ変わって大ヒットした曲があったとは、初耳でしょ?まずは大ヒットした演歌のほうを先にご紹介。
 “ふんどし”まぶしい(笑)ジョージ山本「みちのくひとり旅」です。

さてゴローの原曲の方は(ウソよ)、1976年のヒット曲「女友達」。メロディー展開がほぼ同じ、なんです。
 林哲司さんが全面プロデュースしたお洒落なサウンドで定評があったアイドル、モモコたん。彼女のヒット曲「夏色片思い」が、ユーミン作曲・石川ひとみの「まちぶせ」にクリソツだというのは、前にこのブログでも指摘したところ。メロディーは全然違うんだけど、譜割が同じという面白い例。


 お次は90年代。職業作家が減った分、J−POP華やかなりしこの時代は、意図的にお題拝借する“パクリ”はむしろ高等技術に格上げとなってしまったようで、どこかで聴いたような“クリソツ”ソングが隆盛を誇るようになってしまったような気もする。その代表格がこれね。ところどころ聴いたようなメロが出てくるけれど、サビが決定的。

 高校の合唱で歌わされたアノ曲(「翼をください」よ!)が、ハナ歌で作曲しているうちにいつの間にサビに出てきちゃった、みたいなね。
 わが永遠のアイドル、聖子たんの作曲法もそんな感じでね。本人は全く意図していないのに、いつの間にどっかで聴いたような曲になっちゃう。だからね、“パクリ”じゃないの!彼女の場合は(笑)。(“パクリ”の真犯人は作曲パートナーの小倉良なのよね、たぶん。)


 さて、探せばまだまだ出てくるに違いない“クリソツ”ソングたち。またある程度見つかったら、第2弾を企画してみてもいいかしらね。
 最後に、冒頭の「合鍵」だけど。
 そういえば似ている曲があったわ。きっとこれよ!よりによってのちのライヴァルが歌っていたアノ曲とはね。。。