ム歌詞バナシ・“死語”の世界

 昨今、歌謡曲のCD復刻が隆盛で、hiroc-fontanaもついつい、いろんなCDに手を伸ばしてしまってダメなのよね。完全に中高年にターゲットを絞った、レコード会社の「お得意さま」状態で(笑)。
 おかげで、私のヘッドホンプレーヤーの中は時空を超えたカオス状態。アムロちゃんや佐良アニキやマイケルやマイラバや石野マコやオリビアや平原さんがダダダ…とつながって出てくる(笑)。でも、俺にとっては全部好きなアーティスト達だから、こんな混沌としてても全然違和感がない!そこがスゴかったりして。ははは。
 でもね、先日ピンク・レディーの曲を聴いていたら、ん?と、あるフレーズが引っかかったのよね。それが、これ。

ゴールデン☆ベスト ピンク・レディー~コンプリート・シングル・コレクション
 ビキニがとってもお似合ですと 肩など抱いて
 ちょいとおにいさん なれなれしいわ
     「渚のシンドバッド」 (詞:阿久 悠) 

 「ちょいと、おにいさん」って・・・。なんでビキニのギャルが突然、小料理屋の女将になっちゃうのよ!みたいなね。思えばこの曲がヒットしたのは1977年、今からもう34年も(!)前なのよね。当時はたいして違和感がなかったのに、今となってはもの凄くヘン。
 
 そう、今回はこんな風に歳月とともにいつの間にか死語になってしまったコトバで綴られた、どこかモノ哀しさ漂う曲たち(名付けて「ム歌詞ソング」!)を取り上げてみようかなと。
 まずは時代をぐ〜っと1960年代まで遡ってみると、当然ながらそんな曲はゴロゴロあります。ただね、それはもう古典というか時代劇のセリフみたいなものだから、もう違和感を通り越しちゃってるのね。でも、当時ムリヤリに「新しく」攻めようとした曲の中には、ちょっと恥ずかしい「ム歌詞」ソングがあったりします。サンプルは、1960年のセンセーショナルなヒット曲「黄色いさくらんぼ」。

浜口庫之助作品集~人生いろいろ~
 若い娘は ウフン
 お脈がありそで ウフン 
 なさそで ウフン ありそで ウフン
 なんだか 黄色いさくらん
      「黄色いさくらんぼ」 (詞:浜口庫之助

 “ウッフン”てのもちょっとアレですけど。「お脈がありそうで」とか言っても多分今の若い子には意味わかんないでしょうね。若い娘なのに虚弱体質で心臓でも弱いの?とか、逆に訊かれちゃうかしらね。。。
 70年代アイドルの曲ではもうひとつ、こんなのも。

あこがれ+12
 もしもあの日あなたに逢わなければ
 この私はどんな女の子になっていたでしょう
 足に豆をこさえて 街から街
      「芽ばえ」   (詞:千家和也

 当時はホント天才的に可愛かった(笑)、麻丘めぐみさんのデビュー曲「芽ばえ」です。あのお姫様アイドルが足に豆を「こさえちゃう」ってのが、今となっては何だかトホホ感を漂わせてしまうのは、何故かしらね。「こしらえる」って言うと、何だかおばあちゃんっぽい感じがしない?
 めぐみさんだけでなく、私の大好きな太田裕美さんの曲も実は「ム歌詞」の宝庫で、けっこう死語の世界を楽しませてくれるのよね(笑)。GOLDEN☆BEST 太田裕美太田さんの場合、「赤いハイヒール」(詞:松本隆)に出てくる「アラン・ドロン」や「タイプライター」というキイワードがその代表格ね(ドロンさんには申し訳ないけどね)。あとは79年のシングル「ガラスの世代」(詞:ちあき哲也)には「♪ 今どき、スナック」なんて歌詞も出てくる。言っとくけどスナック菓子じゃなくて、70年代初頭に流行った、バーのようなお店のことよ。その意味では太田裕美さん、音楽性はまだしも歌詞だけで言うと、今の若い世代には通用しない部分があるのかもね。。哀しいかな。
 例えばタイプライターのように、今ではもう無くなってしまったグッズやら何やらが出てくるのも「ム歌詞」ソングの定番と言える。国分万里さんの「ポケベルが鳴らなくて」(詞:秋元康)とか、ややさんの「夜霧のハウスマヌカン」(詞:いとうせいこう/李秀元)なんて、物悲しさを通り越しちゃって、もはや文化遺産級かもね。ナンノ「フィルムの向こう側」(詞:飛鳥涼)というのも、デジカメ時代の今となっては死語の世界へカウントダウンかも。ちょっと寂しい。
 ところで、中島みゆきさんの歌詞で使われる「あたい」とかいう独特のやさぐれワード、これもよくよく考えるととっくに死語だったりするのだけど、それはみゆきワールドのなかでは今もしっかり通用していたりして、その意味ではみゆきさんはもう、古典の世界に足を踏み入れているのかしらね(笑)。夜を往け(紙ジャケット仕様)(余談だけど、それに続く存在が椎名林檎ちゃんかもしれない。)
 さて、最後は竹内まりやさんの登場。この人の詞にはキムタクが出てきたり(「今夜はhearty Party」)、「プチうつ」なんていう流行ワードを使ったり(「みんなひとり」)で、相変わらずのオチャメさんなのだけど(皮肉よ)、これらもあと10年経てばきっと「ム歌詞ソング」行き確実、という気もして“なんだかな〜”という感じで(苦笑)。
 そんな中、まりやさんからは突然にこんな言葉遣いが飛び出したりもするのだ。

Quiet Life
 わけもなく集う宴のあと やりきれなくて
 終電の扉にもたれてる 君はまだ若い
 幸せ比べて 足りないもの探すのに飽きたら
 新しい夜明けが訪れる
      「Quiet Life」  (詞:竹内まりや

 どうよ、わけもなく集う宴(つどう うたげ)よ。庭園の小川を囲んで「歌会始め」でもやっとんのか!と思わずツッコミを入れたくなってしまうのだけどね。。。実は俺、この曲、大好きなの!だから、文句言えない(笑)。
 そんなわけで、最後はなんだか支離滅裂になってしまってゴメンナサイ。次回はもっとちゃんと書きます・・・(汗)