“オリから”の狂風に煽られて〜セルフ聖子復活

SEIKO STORY~80’s HITS COLLECTION~オリカラ
 ファンの間でなぜかジャケットの評判が散々な80s’Best『SEIKO STORY』。たしかにね、ブリブリアイドルだった聖子たんをカラフルなイメージで表現したかった気持ちはわかるのだけどね、このセンスはやっぱり、ただのアイドルではなく偉大なシンガーだった聖子さんと80年代の宝ともいうべき質の高い作品群へのリスペクトがあまりにも足りない気がして、アウトよね。とはいってもちゃんとオリコンアルバムチャートではトップ30内まで上昇、そのアーティストパワーおそるべし!という感じね。
 さて、私はと言えば、本編はどうにも手が伸びなくて、今年3月に発売になった「オリカラ」盤をゲットしたのね。本編3500円に対してカラオケ2500円。差し引くと聖子さんのボーカルは1000円ってわけ?何だかなあ、と思いつつ、このCDのウリでもあるブックレット(本編と同一)をチェックすると、あら、貴重なアウトテイクの写真が満載で。ファンにはこれだけでも買いかも。
 勿論私、車の中で、このカラオケに合わせて歌いまくってます。と言いたいところだけど、いちどチャレンジしたところ、アルバム序盤「裸足の季節」に始まり「チェリーブラッサム」あたりでもう息も絶え絶え、「風立ちぬ」の頃には声もガラガラと、たった1回通して歌っただけで、まるで聖子さんの数年間のキャリアを再現したみたいになっちゃって。初期の彼女のパワー唱法には、その笑顔の裏側にどれだけの体力と根性が求められていたかを身をもって体験したのでした(笑)。
 この「オリカラ」、聴いて気がついたのは、ほとんどの曲でガイドボーカル的な音がとても少なくて、アレンジがとてもシンプルだな〜ということ。言い換えると、あくまでも聖子さんの「歌唱」を中心に置いて、無駄な音は極力抑えたようなアレンジになっている。だからシロートにはとても難しい、歌うには不安感を抱かせるアレンジなのね。こんなアレンジで一発録りのレコーディングをこなしていた聖子さんに改めて脱帽です。
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 そして春の嵐が吹き荒れた先週、聖子さんの新譜情報が届きました。
 やっぱり・・・・・・・・(テンの数で落胆度合を表してます)という感じの、見事なセルフ作品。
 5月2日発売。タイトルは「涙のしずく」。えっと、「月のしずく」でもなく「涙がただこぼれるだけ」でもなく・・・涙のしずく、ですからね。ファンの皆さま、お間違えなく(苦笑)。
 カップリングは「上を向いて歩こう」。今のところ沙也加とのデュエットかソロかは正式発表はなし。これは結構、ファンにとっては重要な情報だと思うのだけど、そこをはっきりさせない辺りがユニバーサル・ミュージックのスタッフのダメさよね。公式サイトに“Duet with〜”というクレジットが無いので、やっぱりソロと考えるのが妥当かしら?
 「涙のしずく」はこちらでちらっと聴けます。曲調がどうこうより、歌い方がもう、演歌ですわ。ジャケ写そのまんまです(涙)。
 「特別な恋人」で良い兆しが見えたあとが、これですもんね。半ば予想できていたとはいえやっぱり、ガッカリです。いまの聖子さん、純粋に“歌を作りたい”んでしょう、きっと。誰かの知らない曲を歌う、ということよりも。エステとCM撮影の合間に、ヒマにまかせてピアノの前で鼻歌を歌うように“ご趣味の作曲”をしている聖子たんのお姿が目に浮かびますもん、私。
 ファンが望んでいることと本人がやりたいことが時と共にズレてくるというのは、アーティストとファンの間ではある程度仕方のないことで、私たちリスナーは“今回のは聴いてみたい”と思えるものだけをチョイスすれば良いだけ、それは分かっているのだけどね。やっぱり期待を持たせるに値する存在だと思うから。。。
 たぶん私、今回も“不買”です。。