「Put Our Hearts Together」〜lead vocal Seiko Matsuda

Esprit De Four

Esprit De Four

 70年代後半に一世を風靡した“フュージョンサウンド”の代名詞的存在、ボブ・ジェームス率いるグループ、Fourplay(フォープレイ)の新作『ESPRIT DE FOUR』に、ゲスト・ヴォーカルとして我が聖子さんが招かれたと聞いて、早速CDを購入して聴いてみた。
(以下、ボブ・ジェームス作品の数々。ポップなジャケットが好きでワタシも何枚か持ってました。)TouchdownLucky Seven (Reis)H (Reis)One on One
 
 
 アルバム10曲目、ボーナス・トラック的に収められたこの曲、5曲目にインスト・バージョンが入っていて、ボブ・ジェームスの娘さんがこの美しい曲にインスパイアされて詞をつけた、とのこと。
 3分少々の短いトラックで、サラっと終わってしまうので、リピートでこの曲だけを数十回流して聴いていたのだけど、これは聴くほどに聖子さんの歌手としての素晴らしさを再確認できる素晴らしい作品。
 終始、ウィスパーとファルセットを中心に構成した軽く力を抜いたヴォーカルで、確かにこれまでの聖子ソング独特のインパクトは無いけれど、相当に集中して取り組んだであろうことがわかる“発音の美しさ”や、特に高音でのビブラートの繊細さがとても新鮮で、コンテンポラリーなボーカリストとしても通用する彼女の実力を今更ながら実感する。特に、曲のエンディング近くでの「♪ Put Our Hearts Together」のリフレインでの、抑制を利かせながらもエモーショナルに盛り上げるヴォーカルには思わず涙が出そう。「そう!これでいいのよ!聖子さん!」と思わず叫びたくなったワタシ(笑)。
 前々から言い続けていることだけど、枯れた聖子の今の声にはジャズやスタンダード・ナンバーこそが合うはずで、セルフの相変わらずな“お花畑ポップス”ではないのだ。それは缶コーヒーCMでの名唱の数々や昨年クインシー・ジョーンズとの共演で披露した「上を向いて歩こう」のイングリッシュ・バージョンで証明済みであって、あとは聖子サイドがどれだけ本気になるか、なのだと思う。
 理想は、これまでの散発的な取り組みはあくまでも序章でしかなくて、スタンダード・ナンバーやジャズ・ナンバーを収録した聖子さんの本格的ヴォーカル・アルバムが、近いうち「満を持して」リリースされること、なのだけどね。
 でも、それは期待薄かしら。今回のフォープレイとのコラボは、ボブ・ジェームスさんが昨年の東日本大震災への支援の一環で、被災地(岩手)のビッグ・バンドと共演したことがNHKの番組で特集されたことがきっかけらしいのね。そのからみで「Put Our Hearts 〜」のボーカル・バージョンの歌い手を探していたボブ側に、NHKと“蜜月状態”の聖子たんを番組プロデューサーが紹介したらしいのだ。そんな素敵な(旨い?)ハナシを聖子たんは断るはずもなく、晴れて今回それが実現した、というわけね。だから、これをステップに聖子さん本人がいよいよ(最後の)全米進出!とか、ジャズ・ボーカリストに挑戦よ!とかいう野心を抱いているかといえば、おそらくそれは無いのかな〜と。(今回も大好きな外人さんから声をかけられたから、得意な英語の歌を気持ちよく歌っちゃったわ〜。くらいな感じ?)
 でも、久しぶりに今の聖子さんを手放しで誉める題材を提供してもらえて、聖子さんに感謝したいくらい。(て、どこか歪んでるかしらね 笑)
↓ ボブおじさんと嬉しそうな聖子たんのツーショット。曲もちょっと聴けます。