聖子夏コンで思ったこと〜忍び寄る高齢化に向けて

 ワタシ、ここにきて“オッサン化”に歯止めがかかりません。頭頂部は急激に涼しくなってしまって、それと反比例するようにお腹まわりはいつの間にタプタプと厚い脂身で覆われて、まるで洋ナシ(用無し)。ははは。
 もうじき52歳。気持ち的にはまだまだ若いつもりで居ても、トシを考えれば仕方のない事なのかも知れないよね。
 さて、翻って、ワタシより二つ年上で、その真逆を行かれている方がいらっしゃいまして。50代半ばに差し掛かっている今も、まさに永遠の少女のように、若々しい容姿を保ち続けているあの人、そう、聖子さんShining Star(通常盤)
 マヤミキと対談すれば、「自然が作ったパールみたいな輝き」「美を浴びた」と称賛され、某ジャニーズの番組にゲスト出演すれば、メンバーから「今までのゲストの中で一番可愛い」「いつになったら老けるのですか?」と感動の声が上がる。
 たしかに、聖子さんのその“永遠のアイドル”キャラは、見た目では成功しているのかもしれないけどね。(・・・とは言え、かのジャニ番組ではワタシ、聖子たんのデコの皺がとても気になったのだけど。苦笑)
 でもね。
本当にそれでいいのかしら?いつまで、これを続けるのかしら?
 先日開催されたコンサートを観ながら、ワタシ、ふとそんなことを思ったのです。~35th Anniversary~ Seiko Matsuda Concert Tour 2015‘Bibbidi-Bobbidi-Boo’ [DVD]
 会場を埋め尽くす、妙齢の女性ファン(茶髪率高し!・・・つまりはあの人も、この人も、ブリーチ・・・)と、ロマンスグレーあるいはワタシと同じく頭頂部がクールな男性ファンたち。そんなファンたちにとっては、聖子はいつまでも80年代のあの頃のままのビッグ・アイドル。
 若々しい聖子ちゃんがブリブリなドレスを纏って、全盛期のビッグヒットをメドレーで歌ってくれれば、ファンも皆あの頃に戻って声援を送り、一緒に歌って盛り上がる。そう、確かにそれは歌手とファンとが共有する、最高の瞬間だと思うのね。
 聖子本人と一緒の空間で、ファンは一瞬にしてあの頃に戻って、それぞれの若かった頃のパワーを呼び覚まし、過酷な現実をその瞬間、忘れることができる。そんなマジックとパワーを、たしかに聖子さんは持っていると思う。
 でも。でもね。
 誰だって、歳をとるのよね。見た目を若くキープするために、どれだけエステにお金を掛けフィットネスや生活習慣で本人が努力したとしても、老化というものは確実に身体の内側から進んで行くもの。
 聖子さんは、歌手。全盛期は特に喉を酷使してきたぶん、声の衰えは如何ともし難いのだ。昨年の紅白が、それを証明したようなものね。そこに目をつむったまま、観た目だけの変わらなさを追求してアイドルを続ける意味が、果たしてどれ程あるの?って。
 私たちオールドファンのために、「永遠のアイドル」でいてくれようとするのなら、たとえ声が出なくても、出ない声のままで、それに見合った歌を聴かせてくれればいい。そう思うのよね。
~35th Anniversary~ Seiko Matsuda Concert Tour 2015‘Bibbidi-Bobbidi-Boo’(初回限定盤) [DVD]
 今回のコンサートでは、アコースティック・コーナーにかなりの時間をとって、懐かしい曲・レア曲を披露してくれた聖子さん。すべてナマで歌ったその声は、正直言ってハリが無く、ベストコンディションには到底思えなかった・・・。しかしたとえ、キイを下げてかなり曲の雰囲気が変わってしまっていても、懐かしい曲が不意に歌われたとき、あっという間にあの頃にタイムスリップしてしまう“一瞬のマジック”は確かに存在していたし、会場とのやりとりもリラックスしていて、とても素敵な時間と空間だった。
 それで、感じたの。
 極論を言えば、歌わずに(口パクで!それが言いたかったの!!)舞台上を走り回ったり踊ったりする聖子さんは、もう最小限でいい。ファンだって、もう若くないからずっと立っているのは辛いもの(笑)。それよりも、今のコンディションのままでいいから、今の聖子さんに合うアレンジとバンド編成で、しっかり「歌ってくれる」彼女であればいい、そんな風に思えたのよね。アレンジとキイを変えたナマ歌で、あれだけ聴衆を引き付ける力があるのだから。
 高齢化しつつあるコアなファンのことを思えば、ファンに「いつまでも夢を届けたい。」そんな聖子さんサイドの思いもわかるし、そうしなければ、聖子さんのコンサートを「夏祭り」的に楽しみにしているファン層をガッカリさせてしまうかも知れない。
 でも、それを続けるには、永遠に変わらぬ聖子を“見せて”いくためにエステに精を出し(一部メンテして)、過酷なトレーニングも積んで、テクノロジーに頼った(苦笑)ステージづくりを続けていく必要があるわけでね。ビッグスターのマドンナやユーミンはそちらの方向を選んでいるけれど、もともと彼女らのステージはより「大がかり」で、とても毎年開催できる規模ではなくて、逆に言えば、いつ辞めてもいい(笑)。毎年恒例となっている聖子コンとはそもそも違うわけよね。
 私としては、例えば平井堅の「Ken’s Bar」。大会場にもかかわらず、シンプルなバックで、じっくり聴衆に歌を聴かせてくれるコンサート。聖子さんもかつて「Seiko Ballad」Seiko Matsuda - Seiko Ballad [Japan LTD DVD] UMBK-9259という、それに似た形式のコンサートを開いてくれたよね。そんな方向に、そろそろ舵を切るべきか見極めるべき難しい時期に聖子さんも来ているのではないかな?と思うのだ。
 毎年開催するのであるなら、良い意味でもっと力を抜いた(構成を毎年同じにして力をぬくのではなく、ね)、本人にもオールドファンにとっても負荷の少ないコンサート。“夢”とか“盛り上がり”、ド派手な舞台装置ばかりではなく、ウタ声と選曲で楽しませてくれるコンサート、ね。もうワタシは、それでいいような気がする。
 聖子さん!頑張ってね!!