Pre 40th Anniversary Seiko Matsuda Concert Tour 2019 ~聖子愛にめざめて~

 JAZZコンサートに続いて聖子さんに会うのは今年2回目。6月8日、さいたまスーパーアリーナでの"Seiko's Singles Collection" コンサートツアー初日に行って来ました。
 高崎線に乗り、さいたま新都心駅に到着すると、ホームは見るからに半世紀以上の生を重ねているであろう貫禄を見せる、妙齢の女性たちで溢れ返っていました。みな一様に、笑顔を輝かせて…。
 歌手生活プレ40周年ですものね。聖子さんがデビューした年に生まれた人でさえ、今年で満39歳になるわけで、ファンの高齢化は仕方のないことですわね。そんななか、中年ゲイのワタシ、一人きりでも何の違和感もなく集団に溶け込んでしまって、何とも言えない安堵を覚えていることに気づいたりもしまして。それが現実だし、それで良いのよね、もう。
 今回、会場に向かう群衆に紛れながら、同じくファンの高齢化著しい太田裕美さんのコンサートとは雰囲気が随分違うな、なんてことも感じたのです。その違いは、方や男性ファン中心、方や女性ファン中心であるということはもちろんだけれど、それぞれのコンサートでそれぞれのファンが期待しているものがそもそも違うこと、それが大きいのだな、なんて思ったのです。
 太田裕美さんのコンサートでは、各自の思いを引っさげて、さて今回はどんな曲を用意して我々をあっと言わせてくれるのかと、ファンは太田さんの挑戦を受けて立つというような、気合いのようなものを感じることが多くてね。まあよく言えば秘めた熱量が高いのだろうし、悪く言ってしまうと、いささかマニアックが過ぎる印象なのですね。
 一方、聖子さんのコンサートに向かうファンは一様に肩の力が抜けていて、まるで花火大会の会場に集まる善男善女のようで。華やかなものを見て一瞬でも晴れやかな気分になって帰れれば御の字。そんな感じでね、まさにお祭り気分という印象なのです。ハッピを着ている人さえチラホラ見かけたりして。
 それでね。
 ワタシも開演を前に、意識を切り替えることにしたのです。今日は、いや今日こそは、難しく考えたりせずにとことん、この雰囲気に飲まれてしまおうとね。だって、なんたって、プレ40周年、シングルコレクションのコンサートなんですもの!
 実はワタシ、今回のコンサートに出向く直前に、椎名林檎ちゃんの2018年のライブのブルーレイを鑑賞しましてね。選曲から振付け、ステージ構成、衣装やライティングに至るまで、考え抜かれて凝りに凝ったそのクオリティに圧倒されてしまい…。さてこの林檎ショックのあとで、良くも悪くも前世紀から引き継いだ様式を頑なに守り続けている(この表現、奥歯にモノが挟まってますよね…)聖子たんのコンサートを、果たしてフツーに楽しめるものか、不安を抱いての参戦だったのですよ。

Seiko Matsuda Concert Tour 2018 Merry-go-round(初回限定盤) [Blu-ray]

 しかしそんな不安をよそに、いざコンサートがスタートすれば、呆れるほどに変わらない聖子さんは今回もとてもお元気に登場されて、1ミリのブレもなく王道の聖子ワールドをこれでもかと繰り広げてくれるわけで。ブリブリのアイドルソング永遠の少女宣言したあとは、しっとりとバラード(ときに演歌?)を歌ってオトナアピール。もちろん歌の合間にはいつもながらリラックスした会場との掛け合いが楽しい“ガハハトーク”が挟まれるわけで、その何の迷いもない安定感を前にワタシの不安など一瞬で遥か遠くに吹き飛ばされてしまってね。その上、途中にはシングルしばりだからこそのレア曲披露のサプライズもありで、まあ結局は、ワタシ自身の意識改革の結果も半分くらいあるかも知れないけれど(笑)、フタを開ければ終始、このひとときを心から楽しんでいるワタシがいた、というわけね。

  強いて言うなら選曲の方は、せっかくなら35周年記念リリースの好編集盤『we love Seiko』

We Love SEIKO Deluxe Edition-35th Anniversary 松田聖子 究極オールタイムベスト 50+2 Songs-

くらい各時代バランスの取れたものだったら言うことなしだったのだけど、それでも往年のナンバーワンソングはほとんど歌ってくれたわけだし、要は花火見物だと思えば、この構成で文句の付けようはないのよね、やっぱり。

 何より今回も、聖子さん自身が歌うことをとても楽しんでいるのが伝わって来て(ナマ歌とフルコーラス歌唱が例年より多かった気がするのだけど、どうだったのでしょうか?)それだけでも「いいもの見たな」という思いにさせてもらったのはたしかでして。最後には、こうした形でのコンサートが、ファンに対する聖子さんの精一杯の愛であるなら、あれこれ文句つける前にこっちも精一杯、愛をもって聖子さんに答えるのがきっと正解なのだ、なんてことを今さらながら確信して、さいアリを後にしたワタシなのです。今までにないくらいの、「聖子愛♡」を噛み締めながら。

(追記)

「どの公演にご来場されるお客様にも楽しんでいただけますように、セットリスト/演出内容等をネット上(ブログ/TwitterFacebook等その他SNSを含む)へ書き込む等の行為は、禁止とさせていただきます。」(by松田聖子オフィシャルサイト)

 言いたいことはわかります・・・けどね・・・ということで、今回は何だかボヤケた内容になってしまいまして、ゴメンナサイ。