アキナの計算<セイコの打算

Bible III
 2月14日の「HEY!×3」は松田聖子中森明菜のボーリング対決!という、かつてのアイドル好きには夢のような企画だったが、実際は少々肩透かしを食らったような内容だった。二人ともボーリングが下手で試合にならないし、リアクションもごくフツー。友達同士が暇つぶしでするボーリングを見せられているみたいだった。ダウンタウンの両者へのツッコミもイマイチだったように思う。ただ明菜の異様なハシャギっぷりだけが目に付いた。
 何がイチバン面白くなかったのか?それは聖子・明菜両者が必要以上に「オトナ」だったことだ。聖子がまぐれに出したストライクに二人が抱き合って喜んだり、明菜が投げるときに聖子が応援の声かけをしたり。かつてライバルとして緊張関係にあった二人が、時を経て雪解けを迎え、新たな絆で結ばれた..という両者の計算と演出?が鼻についたのだ。キャリアを積んだ二人なら、敢えて「ケンカ試合」さえ演じられたはずだ。どうせならそのくらいやって欲しかったな。(まあ、それをするには本当に仲が良くないと難しいだろうけど。)そんなわけで、仲の悪さはおくびにも出さないけど、どこかよそよそしい二人の表面的な関係が、番組全体にシラケムードを与えてしまったのだろう。
 両者の勝敗を決めるとするなら、テレビ的には、トークも頑張って、オイシイところを全部持っていった感のある明菜の勝ち。だが、トータル的には貫禄の聖子が打算の逆転勝利だ。はしゃぎまくる明菜に対して「アタシは無理しないわ。ダウンタウンにいじられてればいいの。だって大スタアなんだもの。」というつぶやきが聞こえてきそうな聖子の超然とした態度。明菜の「少々無理のある頑張り」を逆手にとって、見事に「慎ましやかな大スター」を演出して見せたわけで、そんなシタタカでステキな聖子、バンザイ!そして正直に頑張ってボロが出ちゃう明菜も、やっぱりイカシテル。