歌姫ホントに復活?中森明菜〜SONGSスペシャル

 1月9日放送。昨秋放送の「SONGS」明菜特集のラストで「第2弾放送決定!」とか大々的に告知していたのが、これだったのね。
 昨秋から行われていたロスでのレコーディング風景やその合間のインタビュー、街で買い物をする明菜のオフショットなどを中心に、NYのスタジオからの紅白中継の舞台裏や、1月末に発売予定のニューアルバム『歌姫4〜My Eggs Benedict〜』から2曲のスタジオライブと、盛りだくさんな内容で、50分間アキナ・アキナ。色々な意味で「フッカツ」は大きく印象付けられた感じ。
 (ちなみにこれが新譜のジャケット。なんだか昔のフュージョン・アルバムみたいね。→)歌姫4 -My Eggs Benedict- (初回限定盤)(DVD付)
 年末の紅白歌合戦では、か細い声での挨拶や不安げに揺れる視線から、正直「明菜、ホントーに大丈夫か?」という印象が拭えなかったのだけれど、今回の番組でインタビューに答える明菜は時折自然な笑顔も見せながら存分に思いのたけを語ってくれていて、あの紅白の挙動不審な態度は極度の緊張からくる「いつもの明菜の行動」だったことが今更ながらわかった次第。(ちなみに私が"不可解"と感じた紅白歌唱中に挿入されたイメージショットも、明菜本人が演出の一環で指示したものとのこと。)
 でもね、元気になった彼女が一生懸命に歌やステージに対する思いや、ファンへの期待に応えたい気持ちをマジメに(熱く)語るほどに、それを観ていて不安な気持ちに駆られてしまう、一視聴者としてのhiroc-fontanaもいて。
 明菜さん、そんなに頑張ってくれなくてもいいのに・・・って。
 ロスにあるセレブご用達の靴屋で、ステージで身に着けるための靴を選ぶ彼女の鬼気迫る姿に、どこか空々しさを感じたりもした。

「本当に明菜、ステージに上がるつもりなのだろうか?(・・・無理でしょ?当分は・・)」みたいなね。そしてナレーション・・「結局その日、明菜は何も買わなかった・・・」(苦笑)。
 そう、インタビューでも思いがけず本音をポロッとこぼしてしまったけれど(「今はレコーディングがハードですし大丈夫です、でもこれが終わったらまたガーンときちゃうかもしれないけど・・」みたいなハナシ!)、彼女自身、そうして自分を駆り立てておかなければ、またいつ折れても仕方ない、そんな状態がまだ続いている気がしたのよね。
 だからこそ、ファンの期待に応えるために色々な顔の自分をセルフプロデュースしてきた、というような明菜のスタンスや思いを番組が強調するほどに、「やっぱり明菜、相当無理して出てきているんだろうな〜」という疑心暗鬼が却って湧き上がってきてしまってね。
 実際に今回、ロスのスタジオでの収録でカバー曲2曲(「スタンダード・ナンバー」「長い間」)が披露されたのだけど、凝った演出と明菜のパフォーマンス自体は素晴らしかったものの、見ていてわかるほどに手が震えていたのと、ボーカルがおそらく「口パク」であったことも、少しばかり不安を残したのは確かで。
 ただひとつ面白かったのは、"明菜の流儀〜常に新しい自分を見せたい〜"というキャプションがアップされたインタビューで「ファンのみんなを飽きさせたくない。ずっと同じことをやって、あ、好きだけどおんなじね、みたいのがイヤで。。。」なんてことを語っていて、"ずっと同じことをやって"って、まさしく聖子たんのことじゃん、みたいに思ったのよね(笑)。聖子も明菜もプロ中のプロだけど、かつての2大アイドルのこの両極端のスタンスこそが、80年代の面白さだったのだな、なんてことも改めて感じたりして。閑話休題
 さて、そんな感じで、結局は俺には観たことで安心したのか不安になったのかわからない「明菜復活」番組だったわけだけれど、インタビューに答える明菜の表情は休業前よりは確実に穏やかに見えたし、何より「オリジナルアルバムのレコーディングをしている」というビッグニュースも本人の口から聴けたので、ファンとしてはやっぱり「とりあえず復活してくれて良かった」と思えたし、しばらくは穏やかに"成り行き"を見守りたいな、と。
 この笑顔が見られれば、大丈夫だよね。