「夏八景」麻丘めぐみ

hiroc-fontana2008-08-16

 蒸し暑い毎日が続きます。こんな時は爽やかな歌声を聴いて気持ちだけでも涼しく・・・と言いたいところだけど。
 いや!それは違うわよ!とhiroc-fontanaは主張したいのである。
 夏だからこそ、暑苦しいウタを!ム〜っと湯気が立ち昇るようなHOTなウタを!目には目を!みたいな(笑)
 この「夏八景」は、1976年6月発売。爽やか系のタイトルとは裏腹に、めぐみさんの鼻にかかったネットリ絡みつくような歌声と筒美ディスコ特有の粘っこいビートが融合した、実にアツ〜イ名曲なのだ。作詞は阿久さん。この方の詞もいつもながら実に暑苦しい仕上がりで、それこそ真夏の若者たちの汗臭い欲望が、夏の夜の熱気とともに肌にまとわりついてくるようなイメージ。さすがといえばさすがです。

 花火がポンとはじけた時 くちびる盗んでいったひと
 ビキニの胸をかくした時 キュートでいいよと言ったひと
 夏はいろいろです ほんとに

 危険にさせるお酒に酔い サンダル脱ぎ捨て千鳥足
 踊りに熱が入った時 フレアのスカート舞い上がる
 夏はいろいろです ほんとに

 こんな具合。「思わせぶりエッチ」で。阿久悠節、炸裂ですね。
 この曲、デビュー5年目を迎え、いささかトウが立ってアイドル人気も下降線を辿っていた麻丘さんが、起死回生を狙って再び筒美先生と組んだ第16弾シングルだったのだけど、オリコン最高位は64位と惨敗。そういう俺も実はこの曲、全然覚えていなくって、今から10年前の一連の「筒美京平30周年」リスペクトの中での企画盤『筒美京平SOUL&DISCO』筒美京平 ULTLA BEST TRACKS / SOUL & DISCOで耳にして「あら、めぐみ・ミーツ・ディスコ、これ、いいじゃん!」と初めて認識した次第で。
 ところで『筒美京平SOUL&DISCO』というCD、これは岩崎ヒロリンの「未来」や優雅「胸さわぎ」、シェリーの「恋のハッスルジェット」やヒロミ・ゴーの渋めのヒット「君は特別」をはじめ、70's筒美ディスコの夏の名曲が満載で、オープニングとエンディングに筒美氏率いるインスト・ディスコ・バンドであったオリエンタル・エキスプレスのナンバーを収録する構成も良くて、1枚まるまる熱く踊れちゃうよな(俺は踊りませんけどね(笑))好盤で、オススメです。これにジュンコの「リップスティック」や中原理恵「ディスコ・レディー」なんかが入ったら、完璧だと思うのだけどね・・・。
 70年代の夏の歌謡シーンは、百恵さんは毎年「横須賀ストーリー」や「イミテイション・ゴールド」や「プレイバックPart2」といった暑苦しい曲をリリースしていたし、南沙織さんでは「純潔」「傷つく世代」「夏の感情」というビートの効いたロック歌謡が夏の風物詩のような感じだったし、「Mr.サマータイム」とか「勝手にシンドバッド」とか、やっぱり「どマイナー」な暑苦しい曲の方が、印象に残っているのよね、俺の場合は。やっぱり、そんなマイナー調のジトっとした曲のほうが、この蒸し暑い日本の夏に合うのじゃないかと思うのよね。そんなわけで、真夏のベトベト系ポップスの代表として今回「夏八景」を紹介したわけだけど、あらそういえば結局、麻丘さん本人についてはほとんど言及できなかったですよね、ごめんなさい。