「Blue Velvet」工藤静香

 久しぶりに静香姐さんをレビュー。Shizuka Kudo 20th Anniversary the Best
 97年5月発売のこのシングル、94年の「BLUE ROSE」の成功で味を占めた(?)歌謡ロック路線の決定打!後藤次利とのコラボ時代にも「くちびるから媚薬」とか「ぼやぼやできない」とか、軽快なロックンロール路線は静香姐のひとつの路線としてはあったのだけど、あの線はどうもヤンキーが過ぎて、俺としては「いかがなものか」なカンジ(笑)だったのね。それが永年のパートナー後藤氏と離れての第一弾、「BLUE ROSE」のシャウト系歌謡ロックがビックリするほど鮮やかにキマって、次の「Jaguar Line」も、スバラシイ出来だった。
 そして極めつけと言えるのが「Blue Velvet」。「BLUE ROSE」でパット・ベネターばりのしゃくりあげ唱法をモノにした静香姐さん、この曲ではもう、とにかく歌い方が自由!で、荒削りでテンポの速いバッキングに負けることなく、シャウトはもちろん、音の終わりをしゃくったりダウンさせたり、ラフなんだけどその分と〜っても勢いのあるボーカルを聴かせてくれる。誰も追い着けないような疾走感がこの曲の肝。
 特に歌い出しのフレーズでは、
「♪ラントゥーザ・ハリケ〜ェン〜ドーラマティックな〜ァ」
までを余裕シャクシャクのワンブレスで押し切っているあたり、「天下無敵のアタシに勝てると思ってんのアンタ!」みたいな姉御の貫禄さえ漂ってます。思わず、いえいえ滅相もございませんよ姐さん、みたいな。
 ところでこの静香姐さんにしろ、全盛期の明菜にしろ、こういうドスの効いた声と強力なビブラートの「吠え系」シンガーの歌というのは、聴いてるうちに段々と何とも言えない「カタルシス」に襲われる気がするのよね。たぶん知らず知らずのうちに一種の「ヒステリー状態」にこちらも引き込まれてしまって、自分の中に溜まっていた喜怒哀楽のマグマが、彼女らのウタを介した「叫び」と一緒に開放されていくからかもしれないな、なんて思うのよね。
 「Blue Velvet」ではタンバリン片手に、腰をくねくね、ロングヘアーを掻き上げながらスタンドマイクで歌う静香さんのお姿は、かのフリートウッド・マックの姐御、スティービー・ニックスを彷彿とさせるものがあったわね。スティービー姐さんも、見目麗しいルックスとは裏腹の、ドスの効いたダミ声と骨太なロックがお似合いの方でした。
 さて、この曲の作・編曲はシャ乱Qのはたけ。どうも、工藤ネエは長髪系ロッカーに弱かったみたいね(エックス・Jのヨシキとか・・・最終的にはキムタクのヨメに収まるわけだけど)。この動画でもはたけと実に息のあったところを見せ付けてくれてます。あやしいぞ。それにしても、間奏で、はたけのギター・ソロに姐さんの「Fu〜〜!」のというハミングがかぶさるところ、とってもカッコイイっす。