桜田淳子「ミスティー」

 久々にジュンコさんをピックアップ。My Dear+7(紙ジャケット仕様)
 この曲は1981年6月発売。作詞:小林和子、作曲:小田裕一郎、編曲:大村雅朗。 そう、小田さんと大村さんといえば初期セイコの布陣ね。というか、セイコのデビューは1980年だから、完全にカブってたことになる。そもそも、セイコさんはジュンコさんの事務所の後輩(サンミュージック)だし、こういった流れがあっても当然なのよね。
 「ミスティー」は大ヒットこそしなかったものの、hiroc-fontana的にはテレビでこの曲を歌うジュンコさんを結構よく覚えていて、印象的な曲なのよね。なんたってこの曲のジュンコたんの衣装ってば「全身タイツのラメ入り」というモノスゴイ代物で、妖怪人間ベムか?はたまたジュンコの罰ゲーム大会かしら?みたいな感じで・・・。それに少しトウのたった感じのケバいメイクのジュンコさんが、何だか痛々しくてね。聖子さんはじめ、フレッシュな80年代アイドルたちが続々と脚光を浴びる中、ライバル百恵なきあとで孤軍奮闘する淳子さんとしては、何とかエンターテイナー路線で勝負するために必死だったというのが伝わってくるのよね。
 でもね、先般復刻された「ミスティー」収録のアルバム『My Dear』のライナーによると、あの全身タイツはジュンコさん本人が発注した、というのだからオドロキ。どうやら当時流行ってたオリビア・N・ジョンの「フィジカル」をイメージしていたらしい・・・。それが「妖怪人間ベム」になっちゃったわけで(笑)
 しかし曲の方は、テクノポップで味付けされた独特の浮遊感あるメロディーが絶妙な名曲!で、それを23歳のジュンコさんがニュアンスたっぷりのウィスパー・ヴォイスで聴かせてくれる。この曲でのジュンコさんが、8分音符の連なりで出来たメロディーをちょっとハスキーな声で音節ごとに区切って歌うあたり、アルバム『パイナップル』の頃の聖子さんのボーカルに共通するところもあって、あ〜やっぱりセイコさんは「ポスト百恵」でありながら、その音楽世界は百恵さんの対極にあって、百恵さんのライバルであり事務所先輩でもあった桜田淳子さんに近かったのかもな〜、などと思ってしまうのだ。
 さて、「ミスティー」の最高位は53位。このあと淳子さんは「This is a“Boogie”」というビッグ・バンドのサウンドを大胆に導入した作品(モー娘「Mr.Moonlight〜愛のビックバンド」を20年も先取りしていた)や、「♪マドマドマドマドマド・・・」というサビが印象的な和製シャンソン「窓」など、ショウビズ路線を色濃く反映したシングルを発表していくのだけど、シングルチャートへのチャート・インは「ミスティー」が最後となってしまう。チャート的には寂しかった後期の淳子さんだけれども、実は名曲が多いというのは一部でよく言われているハナシ。興味ある方はそれらの曲たちも是非聴き直してみてくださいまし。残念ながらベスト盤にはあまり収録されてないんですけどね(涙)
 さて、こちらがジュンコの罰ゲーム、全身タイツ(笑)。↓