「夕陽のスケッチ」天地真理、そして・・

 かつてのトップ・アイドル、真理さんは根強い人気があるようで、以前このブログで取り上げたときの記事も、ナニゲに今だに訪問者が多かったりする。
 前回の記事でも書いたのだけど、真理さんは人気凋落後こそ聴くべし!な感じでして(笑)、とくにデビュー5年目の筒美京平三部作「さよならこんにちは」「夕陽のスケッチ」「矢車草」は、会心の出来なのだ。その中でも俺のイチバンのお気に入りがこれ「夕陽のスケッチ」。1975年12月5日発売の真理さん16枚目のシングルで、作詞:宮中雲子、作曲:筒美京平、編曲:萩田光雄という布陣。この曲はミヨちゃんの「赤い風船」に通じる、どことなくノスタルジックな現代の童謡とも言えるような作風で、これが真理さんのまったりとした声にぴったりのイイ曲なのよね。作詞の宮中さんはサトウハチロー門下の詩人。この詞も、さりげない表現のなかに思春期の娘特有の熱い血潮が感じられるような素晴らしい詞で、とても味わい深い作品になっている。(ちなみに宮中さんの名前「雲子」は「くもこ」と読んでね。ウ○コじゃないからねっ!)。
 一世を風靡したトップアイドルには、ピンク・レディーの「うたかた」とか、桜田ジュンコさんの「美しい夏」とか、南沙織さんの「春の予感」だとか、活動後期の売れなくなった時代の曲に「知る人ぞ知る(知られざる?)名曲」というのが少なくなくて、それは全盛期の座付き作家からの呪縛を解かれたからこそ生まれた新しい才能とのコラボの結果でもあって、この「夕陽のスケッチ」もそんな作品の一つとして挙げて良いように思う。
 こんな素晴らしい曲なのだけど、オリコン最高位は58位、売上げ1.7万枚と、全盛期の真理さんからは考えられないほどの惨敗。それで、まさかないだろうな〜なんて思いながら動画を検索したら、なんと存在していたので、ここに貼り付けておきます。(すぐ削除されてしまうかもしれないけど。)

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 ここからハナシはガラっと変わってしまうのだけど、この動画の真理さんを観た人、「ン?真理さん、なんかヘンだぞ」とは思いませんでした?私はね、ちょっと感じたのです。
 何だか視点が定まっていない感じ・・・というか。声にもハリがないし。。。かつての輝くような白雪姫スマイルは見る影もなく。。。
 でね、すぐに思い出したのがコノ人なの。

 そう、コムロに捨てられた直後のトモちゃんね。ボーっと直立不動で、やっぱり視点がどこか行っちゃってる。
 真理さん、この時期はもしかしたら(落ち目になって)すっかり様変わりしてしまった環境のせいで、少し精神不安定になっていたのじゃないかしら。動画を見てどことなくそんな感じがしたのだ。(実際、翌76年に3枚のシングルを発表後、しばらく体調を崩して活動休止となる真理さん。)
 ついでにオマケ動画を。

 ナンノ。この人もちょっとエキセントリックな感じが漂う女の子でしたね。「ザ・ベストテン」で、突然ウタが歌えなくなっちゃったこのシーンは衝撃でした。噂では競演の静香姐さんと楽屋でひと悶着あったとか無かったとか。
 ひょんなことから少しとりとめのないエントリーになってしまいましたが、そんな折、加藤和彦さん自殺のニュースが飛び込んできました。まりやの「ドリーム・オブ・ユー」「不思議なピーチパイ」とかヨシリン「愛してモナムール」「どきどき旅行」など、加藤さんの作品は軽やかな印象でありながら実は濃厚な味わいの独特なポップ・センスが光っていて、大好きでした。ご冥福をお祈りします。