アキナは猫

歌姫ベスト~25th Anniversary Selection~
 とあるゲイの掲示板で、このブログの昨年の日記中森明菜『DIVA』のレビュー)が紹介されて、ちょっとだけだけど、閲覧が増えたのね(笑)。これはホント、ありがたいこと。
 でね、その掲示板に寄って見たら、結構みなさん熱く語ってるのね、アキナのこと。
 俺の場合セイコ派だから、正直言っていまだにアキナは苦手ではあるのだけど、いざ過去の日記を振り返ってみたら、結構俺も熱く語っていたのよね(苦笑)。とりあえず、紹介しときます、過去ログ。どれも結構、その気になって評論家しちゃってて・・・(汗)。
ムード歌謡〜歌姫昭和名曲集
アキナの中のモモエ
歌姫の失われた90年代〜中森明菜『90's BEST』」
アキナの聴き方
Liar
 とは言っても俺には、アキナって、一部ファンが語るように、新しいボーカルスタイルを自ら作ったウタの開拓者だ!とはどうしても思えないし、ヒバリさんのような“天才肌の歌手”とも思えないのね。
 アキナを熱く語る人って、たとえば“彼女の持ち歌の歌世界=アキナの人生”のように語るけれど、俺はそれは絶対違うと思う。アキナはどこまでも歌手であって、作家ではない。それに、歌手としても、アキナは決して器用じゃないと思うのね。ただ、歌い方に独特のクセがあって“味がある”ということ。だから、ファンを熱狂させるのよね、それだけは確かで。あとは、ウタに対する彼女なりのこだわりがあって、でもそれはどちらかというと彼女のフィーリングによるところが大きいから、成功と失敗のフレがとても大きいような気がする。つまり、その辺のセンスも微妙だと思うのだ。
 ただ彼女自身、プライベートの部分でこれまでに恋愛関係のもつれによる自殺未遂や、プロダクションとのトラブルなんかを抱えて、破滅的・退廃的なイメージを抱えてきたわけだけど、そんなイメージのまま特に最近は露出が極端に少なくなって、自分を饒舌に語ることは滅多になくなった。だから、ファンはどんどん勝手な想像をしたくなるのね。だから、アキナのことを語ろうとすると、みんな熱くなっちゃうのだと思う。俺もそうなんだけどね。
 動物に例えるとね、アキナは、猫なのよね。
 身のこなしやたたずまいは、傍から見ている限りは、しなやかで美しくて、完璧。そして、一旦目が合えば、賢そうな眼差しで何かを語ってくる気がする。
 だから自然と人は猫に魅力を感じて、絵を描いたり写真集を作ったり、猫を主人公にしたお話もたくさんあったりするわけね。でも犬はどう?っていうと、犬は犬として、あくまでも人間のパートナーとして描かれることはあっても、犬を擬人化して作られた物語って、あまり見当たらないよね。
 で、猫と犬とどっちが利口かというと、一概には言えないかもしれないけれど、一般的にはやっぱり猫のほうが分が悪いわよね。。。何故かマタタビでゴロニャンしちゃったり、何故かサカナが好きなところもヘンなんだけど、おまけにサカナ食べたあとの生臭い口でカラダじゅう舐めまわしちゃったり。つっこみドコロも満載で。
 つまりアキナの場合、その猫のようなミステリアスなスタンス(言い換えると支離滅裂なスタンス)こそがキモであって、それを守っていく限り、彼女の熱狂的なファンは離れることはないような気がするのね。またそれを彼女自身、あまり計算してやっていない(天然でそうしているだけ、な)あたりがアキナのすごいところでもあって。そこが猫っぽい、と思うわけ。
 結論。アキナのウタには、何かがあるような“気がする”。そこが肝心なんだと思う。