ロックなユーちゃんに“ナッカウッ!”〜早見優

Thank YU~30th Anniversary Single Best~
 花の82年組の中で、キョンキョン、アキナの次にhiroc-fontanaが好きなのは優ちゃん。やっぱり筒美京平の三部作(どれも名曲!)の好印象が何と言っても大きいわね。
 そんなわけで、82年組が揃って30周年を迎える今年、俺がいち早くアニバーサリー・リリースで手に入れたのが早見優ちゃん。何しろ優ちゃんってば、コンパクトにシングル全曲を収録したベスト盤がリリースされるのは今回が初めてなのよね。(もっとも、同じ82年組でも明菜やキョンキョンではとっくにコンプリートベストが発売されていることを考えれば、やっぱりその辺に“格下”感が滲み出ているかしらね。。涙)
 でもね、このCD、お買い得でしたわ。初期の筒美作品を中心としたアイドルチックな作品の楽しさ(「Me☆セーラーマン」の能天気さにいい意味で腰が抜けました 笑)はもちろん、1985年のアン・ルイスのアルバム曲カバー「Tonight」から始まる怒涛のロック路線に、今更ながらシビレたhiroc-fontanaなのです。
 リック・スプリングフィールド作品「STAND UP」(ステンドゥー)、トップテンヒットになった「PASSION」(パシャン)、「CLASH」(クラシュ)、「西暦1986」(ナイティー・エイリ・スィー)。(以上、ユーちゃんのネイティブ発音を無理矢理カタカナでなぞってみました 笑。)
 これら、文字通り横文字系タイトルの連続リリースは、「PASSION」以外、正直言って印象が薄かったのだけど、改めて聴き直すとどの曲もポイントになるフレーズをちゃんと覚えていたりして、あ〜、さすがテレビに引っ張りだこだった82年組ね!て感じ。
 そして何より、曲がどれも粒ぞろいで、今の若い人にはちょっと古く聴こえるかもしれないけれど、それこそ80年代に「盆ジョビ」やら「ジャ兄イ」やら「鯖イバー」やら、メロディアスなロック(俗名「産業ロック」)を奏でるバンドたちに浸った世代にとってはたまらない、コンパクトで起承転結のはっきりした“美味しいロック”が目白押し。それこそ「夏色のナンシー」(ナツイロ・ノ・ネァンスィー。。。しつこいかしら?笑)のイメージでしか優ちゃんを捉えてなかったアナタ、是非機会があったら聴いてみて。優ちゃんのこの昭和ロック魂、目からウロコです。
 ところで同じ82年組で優ちゃんの最大のライバルと言えばやっぱり、ヒデミちゃん。石川秀美よね。同じ“夏オンナ”として、まるで日米対抗戦のように毎年夏の勝負曲で火花を散らしていたかと思えば、いつの間に揃ってロックに転向。でもやっぱりこの勝負、どうやっても大和民族的な暑苦しさが残るヒデミちゃんに対して、ネイティブな発音とアメリカン(薄味)なイメージで勝るユーちゃんに軍配が上がるのかな?なんて俺は思うのだけど。(ヒデミファンの皆さま、ごめんなさい。)
 さて、このベストCDで何より収穫だったのは、筒美三部作と化粧品CMソング「誘惑光線・クラッ!」に挟まれた格好でトップテンを逃した地味な作品「抱いて マイ・ラブ」(詞:松本一起、曲:John Stanley)。こちらが早見優ちゃんの将来の方向性を予見したような、クールなディスコ・サウンド(どうやらアバの「ギミー・ギミー・ギミー」を拝借したよう)。サウンド的には甘さや可愛さなど微塵もなく、「アイドル」の枠を完全に外れてます。そしてこのサウンドに負けることなくデビュー2年目と思えない安定したボーカルとリズム感(そしてネイティブな発音!)で立ち向かう優ちゃんの実力に、今更ながら脱帽であります。